FXレポート

ドル安相場がどこまで続くか!

昨日のドル円はFOMC(連邦公開市場委員会)議事録公表の根強い追加緩和観測に、オセアニア時間では81.75円付近まで売られたものの、既に織り込み済みとの見方も浮上したことからドル安の流れは一服した。東京市場では株式市場寄り付き前に発表された日本の8月機械受注が予想に反して大幅なプラスとなったことで日経平均が心理的な節目となる9,500円台に乗せたことや、「中国が年内利上げしない」との一部現地報道を受けてリスク選好的な反応がみられると、ドル円は82.00円付近まで上昇した。欧州勢参加後は米追加金融緩和観測を背景としたドルの先安感が上値を抑える中、概ね81.75-95円付近の狭いレンジ内での値動きとなった。NY時間では中国の貿易統計で輸入が大幅に増加したことを背景にNYダウが4営業日続伸すると、リスク選好の地合いから各通貨に対しドル売り・円売りの展開となったが、結局前日比+0.002円と横ばいの81.782円で引けた。

ユーロ円はウェーバー独連銀総裁のタカ派的な発言や、周小川・中国人民銀行総裁が「中国は年内の利上げは行わない」と述べたと報じられたことを受けてリスク選好が高まったほか、英ネーションワイド消費者信頼感の下振れなどを背景に対ポンドでユーロ買いが強まったこともサポートとなり、東京市場には114.45円付近まで上昇。欧州市場に移っても欧州株が上昇して始まり、GLOBEXのNYダウ先物も上げ幅を拡大したことなどから、リスク選好の円売りが優勢になると114.65円付近まで上値を伸ばした。しかし、NY勢参加後はユーロドルが1.40ドル台に乗せた事で複数のユーロ圏要人からの「ユーロ高・ドル安」をけん制する発言があり、一時113.764円まで下落した。引けにかけてはNYダウやコモディティ価格の上昇を背景に、円売りが進んだため再び114円台を回復し114.173円で取引を終えた。


                         本日の展開

先日のFOMC議事録を受けてドル安相場がどこまで続くかが焦点となっているが、来月FOMCでの追加金融緩和は既定シナリオとなっており、議事録の内容も特に目新しい部分はないとの見方から、もう一段のドル安には新たな材料が必要となろう。むしろ一部メンバーの反対で決定が際どくなるとの見方もあり、米追加金融緩和を材料としたドルのショート・ポジションの巻き戻しが起こる可能性もありそうだ。

ドル円では引続き政府・日銀の円売り・ドル買い介入の動きを眺めながら神経質な展開が予測される。白川日銀総裁は昨日「円高は企業マインドに大きな影響を与える可能性があり、重大な関心を持っている。必要なら基金を活用して金融政策を行う」と強気な発言が目立った。しかし、野田財務相は「介入は特定のレベルを支えるものじゃない」「長期に渡って介入しない」とし、菅首相も「自国通貨を安く誘導することはG20全体の協調から外れている。中国や韓国も共通ルールで責任ある行動を取ってほしい」と述べている手前、急激な円高が進行しない限りは介入は困難と捉えるべきだろう。米追加金融緩和観測を材料としたドル売りや、本邦当局の弱腰なスタンスに動意はつきづらく、今週のレンジである81.50円-82.40円付近で戻り売りや押し目買いを検討してみたい。

ユーロドルはECBの出口戦略を睨んだユーロ買いと、米国の追加金融緩和観測を背景としたドル安の流れにサポートされ、基調としては底堅い動きとみるものの、前日は一時1.40台を示現したことで欧州当局者から口先介入が入る可能性があり、高値警戒感が漂っている。また、昨日はウェーバー独連銀総裁がECBの早期利上げの可能性や債券買い入れプログラムの終了を示唆する発言をしたものの、来年1月に危機対応の資金供給を終了するかどうかも確かではなく、ECBが利上げを検討しているとみるのは時期尚早とも思える。当面は高値圏での一進一退の動きが続くとみられ、慎重な押し目買いにとどめておくのが賢明かもしれない。対円もシカゴ筋のロングポジションがたまっているうえ、政府・日銀の円売り介入への警戒感剥落により、騰勢を強めていたユーロが一息つく可能性も小さくないだろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   81.50-83.00
ユーロ・円 112.10-115.00
ポンド・円 127.60-132.50

【今日の主な経済指標】
08:50 JPY 国内企業物価指数
17:00 EUR 欧州中央銀行(ECB)月報
21:30 CAD 貿易収支
21:30 USD 貿易収支
21:30 USD 卸売物価指数(PPI)
21:30 USD 新規失業保険申請件数

≪2010年10月13日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
9月15日の円売り介入以降は一方的な下げとなっており、そろそろ調整による
買い戻しが入るのではといった思惑や、中長期的に見て買いレベルであると
の判断から「強気」スタンスに変化はない。しかし、G7後も政府日銀による
円売り介入が入らない失望感から円売り圧力が高まる可能性や、円高の影響
による日経平均下落からリスク回避の円買いにも注意が必要となろう。

ポンド円は「ブル」
9月の英雇用統計は、失業保険申請件数が事前予想の4.5千人に対し5.3千人と
やや弱い結果となり、影響は限定的であった。むしろNY市場にてセンタンス
・英中銀金融政策委員会委員が「緩やかな利上げが正しい政策」などと述べ
たことが伝わると「ブル」が優勢となった。NYダウ堅調とボラティリティ低
下によりリスク選好が回復しつつあるものの、英国は景気が脆弱で緊縮財政
送りの可能性もくすぶっていることから、短期的にはアンダーパフォームが
続く可能性は高く、慎重スタンスは維持したい。

豪ドル円は「ブル」
NY金が過去最高値を更新し、原油価格も上昇するなど商品相場の値上がりや、
10月の消費者信頼感指数が上昇したことでリスク選好の展開に一時81.269円
まで上値を拡大させるなど「ブル」継続。対ドルでも 0.9936ドルまで上昇
し1983年に変動相場制に移行して以来の最高値を突破。豪ドル/ドルは上値
抵抗線の0.990以上を明確に維持するようであればパリティ(等価)を目指す
可能性が高まりそうだ。その場合対円での心理的節目でもある82円突破の可
能性もありそうだ。

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