FXレポート

ドル円一時83円割れ!財務省・日銀の介入や如何に!

昨日のドル円は東京市場序盤、日銀の追加金融緩和期待から円売りが先行する中、5・10日仲値でのドル需要もあり、83.60円付近まで上昇し、もみ合う展開になった。注目された日銀金融政策決定会合では予想に反して政策金利を0.10%から0.00~0.10%に引き下げることを決定。また、「物価安定が展望できる情勢になるまで実質ゼロ金利を継続」するとの時間軸を明確化したほか、国債やコマーシャル・ペーパー、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など多様な金融資産を 5兆円規模で購入する「資産買入基金」を新たに創設する包括的な金融緩和策を発表したことで一時83.990円まで急上昇した。しかし、欧州市場に入り日銀金融政策決定会合による円売りが一巡すると83.50円付近へと反落。その後も米ISM非製造業景気指数が予想を上回る結果となったものの、ドル買いの反応はなく、むしろ根強い米追加緩和観測や、株価・商品市場の上昇から、リスク選好的なドル売りが散見され一時82.965円まで下落した。引けにかけ政府・日銀の円売り介入警戒から下値が支えられ83円台は回復したものの、小幅反発にとどまり83.219円で取引を終えた。

ユーロ円は序盤113.90円付近で膠着状態が続いていたが、日銀が想定以上の追加金融緩和策を発表したことを受けて円売りが優勢になると114.90円付近まで急騰した。欧州勢参加後は米格付け会社ムーディーズがアイルランドを格下げ方向で見直すと発表したことを受けて一時的にユーロ売りが強まる場面があったものの、反応は限定的となった。その後はGLOBEXのNYダウ先物の上昇を受けたリスク選好ムードの高まりによりユーロ買いが強まると、独、ユーロ圏のPMIサービス業は速報値から上方修正が行われユーロの上昇を後押しし115.10円付近まで上値を拡大した。NY市場に移ってもNYダウが上げ幅が拡大した事や、米追加緩和観測からドル売りが加速しユーロドルが上値を追う地合いとなるとユーロ円も連れて上昇。引けにかけても堅調な地合いが継続し115.136円で取引を終えた。

                              本日の展開

本日のドル円だが、日銀が政策金利の引き下げや、国債などの資産購入を含めた追加緩和に踏み切るなど、為替介入だけではなく金融政策面でも円高阻止やデフレ脱却に向けた姿勢を示したことは、下支え要因として考えることはできる。しかし、想定外の措置の割に市場の反応はさほど大きくなく、結局前日比マイナスで引けるなど円高抑制効果は一過性にとどまる可能性が高そうだ。また、一時82.965円まで下落するなど9月15日に財務省・日銀が市場介入に踏み切ったときの水準まで値を下げたが当局からの介入実施の報は聞こえてこなかった。介入不在の背景にはドル安政策を掲げているオバマ大統領から日米首脳会談後に何かしらの協定が出来ているといった可能性や、今週末に7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)もあることで介入に対する批判を警戒しているとの見方もあるようだ。今後は財務省・日銀の介入レベルを模索しながらのトレードになると思われるが仮に現レベルにて介入しない場合には当局の弱気姿勢を嫌気して円高が加速、1995年4月につけた安値79.700円も視野に入ってこようか。

ユーロはテロを巡る警戒感や欧州金融システムに対するネガティブなニュースをきっかけに、最近の急ピッチな上昇に対する調整が入る可能性はあるものの、昨日にバーナンキFRB議長が「過去の資産買入れには金利低下、景気支援の効果。追加の資産買入れは金融状況を緩和させる効果も」と発言するなど、市場では米追加緩和観測を背景としたドル敬遠の動きも強く、ユーロは対ドルを中心に底堅い展開が続くと考えられる。対円は剥落しつつある介入期待や、日銀の追加金融緩和の評価が微妙であることから、過度な強気は避けたほうが無難かもしれない。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   83.00-85.50
ユーロ・円 112.00-114.90
ポンド・円 131.50-135.00

【今日の主な経済指標】
14:00 JPY 金融経済月報
18:00 EUR 四半期域内総生産
19:00 DEM 製造業新規受注
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
20:30 USD チャレンジャー人員削減数
21:15 USD ADP雇用統計
23:00 CAD Ivey購買部協会指数     

≪2010年10月5日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル円は「ブル」
米追加緩和策への期待感がドル売りを後押しし、じりじりと値を削る展開となり
一時82.965円を示現すると、参加者は当局の介入期待から約95%が「強気」と圧
倒している。介入警戒感が強まっており83.00円付近での押し目買い意欲は非常
に強いものの、FRBによる追加緩和観測を背景に、相関性が高いといわれている
米2年債利回りは過去最低水準で推移するなど、金利面でのドル売り要因も根強
いことから上値も重く、83円を中心とした狭いレンジ内で神経質な動きが続きそ
うだ。

ポンド円は「ブル」
日本の追加金融緩和と米国の追加金融緩和期待にポンドは一定のサポートを受け
「ブル」が勝っている。しかし、英中銀金融政策委員会の政策発表を控える中、
英中銀の資産買い入れ規模拡大の思惑も高まるとみられることから、注意する必
要があるだろう。各国の金融スタンスに対する評価が固まるまでは慎重に押し目
を狙っていきたい。

豪ドル円は「ブル」
RBA(豪州準備銀行・中央銀行)は内需鈍化の兆しがあるとして、市場予想に反し
て政策金利は4.50%据置きと発表したことで急落、一時80円を割れる展開に参加
者の押し目買いが目立ち「ブル」優勢となった。ここ2週間ほどレンジ安値の79.
80円付近がサポートラインとして機能しているが、仮にこの水準を割り込むとテ
クニカル的に下値余地が78円近辺まで一気に拡大することも想定しておきたい。
また、最近の各国通貨安競争から逃避的に買いが集まっていたことを鑑みると失
望感から一旦調整の売りが入りやすいと思われるため警戒が必要となろう。

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