FXレポート

リスク回避が続く中、米経済指標に注目

先週は主要通貨に対し円買いが加速した。一時ドル円は5カ月ぶりに91.80円台に下落、ユーロ円は127.00円、ポンド円も146.70円台まで急落した。米雇用統計をきっかけとした米国経済の不透明感の台頭が、グローバル経済の過度な楽観論を修正し、リスクマネーの逃避的動きが円高を加速した。

今週の展開

先週のドル円の急落で円高圧力が強い状況がメインシナリオとなる。米経済の先行き不安は根強く、商品市況や株価の下落、米債利回りなどの要因からドル円は下値を模索しており、強いドルに戻るにはもう少し時間がかかると予想される。今週の14日からは米小売売上高を皮切りに消費者物価指数、新規業保険申請件数など米重要指標の発表が相次ぐため、内容が悪いと90円割れを試すのではとの声も出ており、その動向には注目したい。

ただし、ドルロングは先週の下落でかなり振るい落とされた可能性もあり、更なる円高に進むかどうかは材料に欠けるとも言える。ドル円で90円割れを試すには円自身の買い材料が必要となり、現状の政局不安、景況感の悪化を見れば、手放しに円を買える状況ではない。したがって、今週は円高方向へのオーバーシュートを修正する可能性もあり、こうなれば、ドル円は再度95円を試す方向も視野にいれる必要がある。

今週はファンダメンタルズの動きに左右される形相が一層強くなる可能性があり、明日の小売売上高を皮切りにNY連銀製造業指数、住宅着工件数には目が離せない状況だ。

一方、ユーロはイタリアで開かれていたG8サミットにて、各国の通貨切り下げ合戦に警戒を示す声明や、中国から準備通貨の改革が提案され、ドルを積極的に買いにくい状況もあり、ユーロがドルの受け皿になり上昇を伺う気配はある。しかし一転リスク選好が強まっていたときは、ポンドや資源国通貨に比べて一歩後退した動きとなるので注視したい。

ポンドは総体的な経済センチメントの弱さが引き続き懸念されている状況が続いている。6月24日にOECDより発表された09年の英GDP見通しが下方修正されたのに続き、8日に発表された国際通貨基金(IMF)による見通しにおいても、英国は09年のGDP見通しが従来予想の-4.1%から-4.2%へと下方修正されており、ポンド売り要因も多く、更なる下落も視野にいれておきたい。



[予想レンジ]
ドル・円    89.50~95.50

ユーロ・円 126.00~132.40

ポンド・円 145.00~155.00

【今週の主な経済指標】
7月13日
13:30     JPY     鉱工業生産・確報値 前月比
23:00     USD     月次財政収支

7月14日
08:00  GBP     英小売連合(BRC)小売売上高調査
10:30  AUD     NAB企業景況感指数
17:30  GBP     消費者物価指数(CPI)前年同月比
18:00  EUR     鉱工業生産 前月比
18:00  EUR     ZEW景況感調査
21:30  USD     小売売上高 前月比
23:00  USD     企業在庫 前月比

7月15日
12:00  JPY     日銀金融政策決定会合
17:30  GBP     失業率
20:00  USD     MBA住宅ローン申請指数
21:30  USD     ニューヨーク連銀製造業景気指数
21:30  USD     消費者物価指数(CPI)前月比
22:15  USD     鉱工業生産 前月比

7月16日
21:30  USD     新規失業保険申請件数
23:00  USD     フィラデルフィア連銀製造業景気指数

7月17日
18:00  EUR     ユーロ圏貿易収支
21:30  USD     住宅着工件数

 
さて、マーケット参加者のポジションは......

≪2009年7月10日クローズ時点≫
ドル・円 :  ブル
ユーロ・円 : ブル
ユーロ・ドル :ブル
英ポンド・円 :ブル
豪ドル・円 : ブル
NZドル・円 :  ブル
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル・円は「ブル」
91.785円と9日の安値を更新したことにより参加者は逆張りのスタンスを崩していない模様。
ただ、景気に対する楽観的な見方が後退していることから90円割れも視野に入れておく必要がありそうだ。
  
 ユーロ・円は「ブル」
5月15日以来の130円割れとなり、G8首脳会談内での新たな国際準備通貨に関する話題に対し参加者はユーロへの期待からロングポジションを維持しているようだ。しかし、株価や商品相場が引き続き下落する展開の場合、安全通貨である円に資金が集まる傾向にあるため、一段の下落の可能性もありえるだろう。

ポンド・円は「ブル」
予想されていた英中銀による資産買い入れプログラムの規模拡大が見送られ、今回の据え置きが8月も買い入れ休止との見方も広おり、英ポンドのサポート要因となり参加者の買いを誘ったようだが、景気回復への期待感が一服し、マーケットがリスクに敏感になっていることには注意は必要だろう。

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