政府・日銀は効果のある円高対策を打ち出せるのか!?
金曜日のドル円は序盤、米景気の減速懸念が強まった流れから下値を試す展開となり85.195円まで下落した。その後、日銀が緊急会合を行うのでないかとの噂が広がり値を戻す展開となった。しかし、菅首相と白川日銀総裁との会談について仙谷官房長官が「具体的にいつ会談を開くかは知らない」、野田財務相の「来週に行われるかどうかは承知していない」等の発言が相次いで伝えられたことに加え、2日連続となる日銀緊急会合の噂も根拠に乏しかったことから戻りは鈍く、85円台前半の狭いレンジでの揉み合いで推移した。米国時間には米主要経済指標の発表も無く材料難の中、23日に開催される予定の菅首相と白川日銀総裁の会談に対する警戒感からじりじりと上昇、85.615円で取引を終えた。
ユーロ円は、ここ数日のレンジ下限の109円台前半を推移していたが、欧州時間にウェーバー独連銀総裁が「ECBによる無制限の資金供給を年末以降も継続するべき」との発言が欧州の流動性不安を想起、ユーロ売りが強まり108.244円まで下落、7月1日以来の109円割れとなった。その後は政府・日銀による円高対策に対する警戒感から下値を追わずに反発、買い進まれた円にポジション調整の売りも入り一時的に109円台に値を戻した。しかし、値を維持することは出来ずに反落、108.873円で取引を終えた。
今週の展開
さて今週のドル円だが、期待が膨らんでいる菅首相と白川日銀総裁の会談結果が週初の注目となりそうだ。事前に菅首相から閣僚へ円高対策の指示を出しており、20日の閣議後会見で「家電エコポイント」延長など、複数の閣僚が対策実施に期待感を示している。一方、菅首相は閣僚懇談会で「予算を伴わない形の経済対策にどういうものがあるか考えて欲しい」と指示も出しており、財政出勤に消極的な姿勢を示している。現在の日本政府にとって財源確保は難しい問題であるとはいえ、世界的に円買いの流れが継続している中で、効果的な対策を打てないようであれば、失望感から円買いが加速する可能性を秘めている。円高対策の内容が明らかになることで新たなトレンドが発生すると思われるが、好感された場合の上値目標は7月28日直近高値88.111円、失望売りが優勢となった場合は80円近辺を目標とした下降トレンド入りとなるかもしれない。
ユーロ円は以前から懸念されていたように財政問題を抱える国々が、ユーロの足を引っ張る状態が長期化している。ギリシャの財政赤字削減は当初の予定よりも早く進んでいるが、経済成長も予想以上の鈍化となっている。財政再建にはそれだけ痛みを伴う事を表している結果ではあるが、ユーロ域内ではギリシャに限らず多くの国が財政再建に取り組み始めている。国の信用を取り戻す上では必要な事で、独・仏等ユーロ圏を牽引する国の経済成長が鈍化した場合、ユーロ円の地合が更に悪化する展開も想定される。20日にはレンジ下限の109円を割り込んでしまっているため、6月29日直近安値107.317円を試すことも
視野にいれておきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 84.800- 86.400
ユーロ・円 107.000-111.300
ポンド・円 130.500-135.000
【今週の主な経済指標】
23日
17:00 EUR サービス部門購買担当者景気指数
17:00 EUR 製造業購買担当者景気指数
23:00 EUR 消費者信頼感
24日
15:00 DEM 国内総生産(GDP、改定値)
18:00 EUR 製造業新規受注
18:30 ZAR 四半期国内総生産
21:30 CAD 小売売上高
23:00 USD 中古住宅販売件数
23:00 USD リッチモンド連銀製造業指数
25日
08:50 JPY 企業向けサービス価格指数
08:50 JPY 貿易統計(通関ベース)
17:00 DEM IFO企業景況感指数
18:30 ZAR 消費者物価指数(CPI)
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:30 USD 耐久財受注・輸送用機器除く
21:30 USD 耐久財受注
23:00 USD 住宅価格指数
23:00 USD 新築住宅販売件数
26日
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
15:00 DEM GFK消費者信頼感調査
17:00 EUR マネーサプライM3
18:30 ZAR 卸売物価指数(PPI)
21:30 USD 新規失業保険申請件数
27日
08:30 JPY 全世帯家計調査・消費支出
08:30 JPY 有効求人倍率
08:30 JPY 失業率
08:30 JPY 全国消費者物価指数(CPI)
08:30 JPY 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
15:00 DEM 輸入物価指数
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、改定値)
18:30 CHF KOF景気先行指数
21:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・確報値
≪2010年8月20日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
85円のサポートは強く「ブル」継続となった。円高対策発表を控え上下どちらにも動きづらい状態の
中、辛うじて値を保っているが揉み合いエネルギーを蓄積しているため、きっかけ次第では急変動
となる展開も想定される。日足で十字線出現後に陽線となっており上向きのトレンド発生に期待も
膨らんではいるが、引き続き下値警戒は必要となるだろう。
ユーロ円は「ブル」
下値サポートとなっていた109円を終値ベースで割り込んでいるが、逆張りスタンスは継続し「ブル」
となっている。ユーロ高によって独経済は回復しているが、外需鈍化で回復のペースが減速するとの
見方もあるため、今後発表されるユーロ圏の経済指標が弱い内容となった場合には、景気先行き懸念
から更なる下落も考えられる。
ポンド円は「ブル」
20日は一時的に132円割れとなったものの、始値とほぼ同水準まで値を戻し底堅さから「ブル」継続
となった。また、韓国石油公社が英石油・天然ガス会社ダナ・ペトロリアムに対し買収案を提示する
等、わずかながらポンドを下支えすると考えられる材料があるものの、円の動向次第では下値を拡大
するかもしれない。
ユーロ円は、ここ数日のレンジ下限の109円台前半を推移していたが、欧州時間にウェーバー独連銀総裁が「ECBによる無制限の資金供給を年末以降も継続するべき」との発言が欧州の流動性不安を想起、ユーロ売りが強まり108.244円まで下落、7月1日以来の109円割れとなった。その後は政府・日銀による円高対策に対する警戒感から下値を追わずに反発、買い進まれた円にポジション調整の売りも入り一時的に109円台に値を戻した。しかし、値を維持することは出来ずに反落、108.873円で取引を終えた。
今週の展開
さて今週のドル円だが、期待が膨らんでいる菅首相と白川日銀総裁の会談結果が週初の注目となりそうだ。事前に菅首相から閣僚へ円高対策の指示を出しており、20日の閣議後会見で「家電エコポイント」延長など、複数の閣僚が対策実施に期待感を示している。一方、菅首相は閣僚懇談会で「予算を伴わない形の経済対策にどういうものがあるか考えて欲しい」と指示も出しており、財政出勤に消極的な姿勢を示している。現在の日本政府にとって財源確保は難しい問題であるとはいえ、世界的に円買いの流れが継続している中で、効果的な対策を打てないようであれば、失望感から円買いが加速する可能性を秘めている。円高対策の内容が明らかになることで新たなトレンドが発生すると思われるが、好感された場合の上値目標は7月28日直近高値88.111円、失望売りが優勢となった場合は80円近辺を目標とした下降トレンド入りとなるかもしれない。
ユーロ円は以前から懸念されていたように財政問題を抱える国々が、ユーロの足を引っ張る状態が長期化している。ギリシャの財政赤字削減は当初の予定よりも早く進んでいるが、経済成長も予想以上の鈍化となっている。財政再建にはそれだけ痛みを伴う事を表している結果ではあるが、ユーロ域内ではギリシャに限らず多くの国が財政再建に取り組み始めている。国の信用を取り戻す上では必要な事で、独・仏等ユーロ圏を牽引する国の経済成長が鈍化した場合、ユーロ円の地合が更に悪化する展開も想定される。20日にはレンジ下限の109円を割り込んでしまっているため、6月29日直近安値107.317円を試すことも
視野にいれておきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 84.800- 86.400
ユーロ・円 107.000-111.300
ポンド・円 130.500-135.000
【今週の主な経済指標】
23日
17:00 EUR サービス部門購買担当者景気指数
17:00 EUR 製造業購買担当者景気指数
23:00 EUR 消費者信頼感
24日
15:00 DEM 国内総生産(GDP、改定値)
18:00 EUR 製造業新規受注
18:30 ZAR 四半期国内総生産
21:30 CAD 小売売上高
23:00 USD 中古住宅販売件数
23:00 USD リッチモンド連銀製造業指数
25日
08:50 JPY 企業向けサービス価格指数
08:50 JPY 貿易統計(通関ベース)
17:00 DEM IFO企業景況感指数
18:30 ZAR 消費者物価指数(CPI)
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:30 USD 耐久財受注・輸送用機器除く
21:30 USD 耐久財受注
23:00 USD 住宅価格指数
23:00 USD 新築住宅販売件数
26日
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
15:00 DEM GFK消費者信頼感調査
17:00 EUR マネーサプライM3
18:30 ZAR 卸売物価指数(PPI)
21:30 USD 新規失業保険申請件数
27日
08:30 JPY 全世帯家計調査・消費支出
08:30 JPY 有効求人倍率
08:30 JPY 失業率
08:30 JPY 全国消費者物価指数(CPI)
08:30 JPY 東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
15:00 DEM 輸入物価指数
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、改定値)
18:30 CHF KOF景気先行指数
21:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数・確報値
≪2010年8月20日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
85円のサポートは強く「ブル」継続となった。円高対策発表を控え上下どちらにも動きづらい状態の
中、辛うじて値を保っているが揉み合いエネルギーを蓄積しているため、きっかけ次第では急変動
となる展開も想定される。日足で十字線出現後に陽線となっており上向きのトレンド発生に期待も
膨らんではいるが、引き続き下値警戒は必要となるだろう。
ユーロ円は「ブル」
下値サポートとなっていた109円を終値ベースで割り込んでいるが、逆張りスタンスは継続し「ブル」
となっている。ユーロ高によって独経済は回復しているが、外需鈍化で回復のペースが減速するとの
見方もあるため、今後発表されるユーロ圏の経済指標が弱い内容となった場合には、景気先行き懸念
から更なる下落も考えられる。
ポンド円は「ブル」
20日は一時的に132円割れとなったものの、始値とほぼ同水準まで値を戻し底堅さから「ブル」継続
となった。また、韓国石油公社が英石油・天然ガス会社ダナ・ペトロリアムに対し買収案を提示する
等、わずかながらポンドを下支えすると考えられる材料があるものの、円の動向次第では下値を拡大
するかもしれない。