FXレポート

政府・日銀による円高政策への警戒強まる!

ドル円は序盤、米国の景気減速懸念を背景としたドル売りから下値を試したが、政府・日銀の政策に対する警戒感から下値は限定的となり85.115円で下げ止まった。その後、菅首相と白川日銀総裁の会談が週明けの23日に行なう方向で調整されているとの報道や、荒井経済財政担当相が20日から追加経済対策の検討に着手すると発言したことが円高対策への観測につながり、今後の政策対応をめぐる思惑から円買いを抑制した。米国時間には米住宅着工件数・許可件数が共に予想を下回る結果となったものの、8月10日のFOMC声明文に「住宅着工件数は依然不振な水準だ」との一文があったこともあり、ネガティブな材料への反応は限定された。その後、横ばい推移が続いていたが、米鉱工業生産が予想を上回った事や(予想:前月比0.5% 結果:1.0%)5日続落となっていたNYダウが前日比100ドル超の反発となったことからリスク志向が強まり、85.679円まで上昇、値を維持したまま85.513円で取引を終えた。

ユーロ円は、リスク回避の流れから下値を試したが、先週からのレンジ下限(109円近辺)で下げ止まり値を戻した。その後は対ドルでの上昇に連れる形でユーロ円も上昇し、欧州時間に発表されたユーロ圏経常収支が前月から改善した事や、独ZEW景況感調査(期待指数)が上振れするとの噂が流れ上昇幅を拡大した。なお、ZEW景況感調査は期待指数が予想を下回った事で一時的に値を崩したが、同時刻に発表された現況指数が予想を大幅に上回った事もあり、売り一服後は再度上昇に転じた。米国時間に入ってからはNYダウの堅調な動きが支援材料となり、終値は110.123円と110円台を維持して取引を終えた。


                             本日の展開

さて本日のドル円だが、首相と日銀総裁の会談予定日が発表されたことで、円買いに対する警戒感が強まっている。日本単独での為替介入では効果が薄い、日銀の金融政策には限界に近い等、否定的な見方もあるが、具体策の発表までは極端なポジションはとりづらい状況であろうか。本日は主要な米指標の発表も予定されていないため、主要国の株価動向に左右される展開が予想される。目先は8月11日直近安値84.730円、8月13日直近高値86.370円が意識される水準となりそうだが、円高を牽制する要人発言によって上下に値が振れるケースも想定されるため突発的な材料にも警戒が必要となりそうだ。

ポンド円は軟調な動きが続いている。消費者物価指数がインフレ目標を上回っている状況が続き、キング総裁は3・5月に続き政府に書簡を送った。書簡によると、物価の高止まりは付加価値税の引き上げや原油価格の上昇に起因する一時的なものであり、中期的には目標を下回る公算と述べている。一時は低金利政策の早期解除期待から買われていたポンドではあるが、書簡の内容からも政策金利引き上げの必要性が薄れていることから軟調な展開が予想される。また、本日の英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨の内容も注目したい。


[本日予想レンジ]
ドル ・円   84.800- 86.400
ユーロ・円 109.000-111.200
ポンド・円 132.000-134.500

【今日の主な経済指標】

14:00 JPY 景気先行指数(CI)・改定値
14:00 JPY 景気一致指数(CI)・改定値
17:30 GBP 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
18:00 EUR 建設支出[前月比]
18:00 EUR 建設支出[前年同月比]
18:30 ZAR 小売売上高[前年同月比]
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数[前週比]


≪2010年8月17日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
菅首相と白川日銀総裁の会談予定日が決まり、円高対策に対する期待感が膨らんでおり「ブル」とな
った。世界景気減速懸念や、欧米が自国通貨安の容認を背景に円が買われやすい環境が続いていたが、
85円近辺では反発期待からの買いも入りやすくなっている。上値を追う程の積極的な買い意欲は感じ
られないものの、底堅い展開となる可能性が高そうだ。

ユーロ円は「ブル」
昨日の正午を境に流れは上向いており「ブル」となった。ユーロ圏では財政不安、信用不安といった
ネガティブ材料を抱えているものの、株価上昇に伴いリスク志向が高まった場合は上値を追いやすい
傾向にあることから、昨日の米国株高に連れて他国の株価も上昇となれば上値を伸ばす展開も想定さ
れる。

ポンド円は「ブル」
直近レンジの133円台前半近辺を横ばいに推移しており「ブル」継続となった。時間足ベースで形成
している三角持合の頂点に差し掛かっているため、値が跳ねるかどうかが注目となりそうだ。三角持
ち合いにおいて右肩下がりの形状となっているため下離れの可能性が高いことから、悪材料が出た場
合急落の可能性を秘めている。そのためポジションを買いに傾けている場合、いつも以上に悪材料に
は警戒が必要となりそうだ。

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