FXレポート

ストレステスト無事通過し、ユーロ買戻しも?!

昨日のドル円は、欧州の金融機関に対するストレステストの結果から、市場での楽観的見通しの拡大を背景に円売り先行の展開となると87.70円付近まで上昇した。その後は87円台後半に控えるドル売りオーダーに上値を抑えられたことから、87.65円を中心とした狭いレンジでの取引が続いたが、欧州勢参加後は円が買われる展開となった。寄付きから上昇して始まった欧州の主要株価指数がマイナス圏に転じ、米ダウ先物も弱含みとなったことから、87.20円付近へとじり安に推移した。NY勢参加後は米6月新築住宅販売件数が市場予想を上回ったことや、米輸送サービス大手のフェデックスの業績見通し引き上げなどを好感してドル買いが強まる場面も見られた。しかし、米6月シカゴ連銀全米活動指数や 米7月ダラス連銀製造業活動指数が予想を下回ったため、引けにかけ断続的にドルが売られる展開になり87円を割れ86.893円で取引を終えた。

ユーロ円は、東京市場では一時113.437円まで上昇。ストレステストが無難な結果に終わり材料出尽くし感が広がったことでリスク許容度が拡大し、アジアの主要な株式市場が軒並み上昇したことがユーロ買いをサポートした。しかし、その後は本邦実需筋によるユーロ売りが入ったこともあり上値を抑えられると、日経平均が上げ幅を縮小して終了したことで112.40円付近まで下落。欧州時間も動きは冴えず欧州株が軟調な推移となったことや、時間外のNYダウ先物が下げに転じたことが嫌気されて112.20円付近まで下値を拡大する展開に。しかし、NY時間に入ると米フェデックスが利益見通しを引き上げたことや、6月米新築住宅販売件数が予想より強い内容となったことを受け、NYダウが上昇しリスク選好のユーロ買いが散見、113.19円付近まで値を上げた。ただ、引けにかけて利食い売りや戻り売りが出たため、112円台後半まで下押しし、112.842円で取引を終えた。

                       本日の展開

米国の景気先行き不透明感と低金利長期化観測の広がりから米10年債利回りは依然3%割れとなっており、FRBの低金利長期化観測も強まっている。加えてドル・インデックスは6月のピークから7%近く下落しており、当面ドルは全般的に下落傾向が続くとみるのが自然かもしれない。また、欧州の信用不安が沈静化し、ストレステストというイベントを無難に通過したことで、リスク回避型のドル買いも下火になると考えられるため、特に欧州通貨に対してはドルが下落しやすい地合いと思われる。ドル円も87円台では上値の重い展開となろうか。

ユーロは、先週金曜日ストレステストで対象となった91行のうち7行が不合格となったものの、事前に報道されていた内容とほぼ同じだったことでサプライズとはならなかった。また、欧州債務問題は依然燻っているものの、債務状況や格付けに関するネガティブニュースに対する反応は以前と比べて鈍くなっている感があり、余程のネガティブなニュースが新たに出てこなければ、ユーロは上昇する可能性が高いと考えることも出来る。米国の景気鈍化懸念や低金利長期化観測からドルは当面買いづらいほか、株価堅調、ボラティリティ低下を背景に円売り意欲も高まっていることから、対ドル、対円とも相対的に買われやすい地合いと言え、テクニカル的にもユーロ円の日足チャートを見ると、移動平均線5日線112.20円付近が短期的なサポートラインとなっており、この水準を割り込まなければ、底堅い相場展開が期待されよう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   85.80-88.00
ユーロ・円 112.20-114.50
ポンド・円 133.00-136.90

【今日の主な経済指標】
08:50 JPY 企業向けサービス価格指数
15:00 DEM GFK消費者信頼感調査     
15:00 DEM 輸入物価指数
17:00 EUR マネーサプライM3
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
23:00 USD リッチモンド連銀製造業指数     
23:00 USD 消費者信頼感指数

≪2010年7月26日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
87円を割れたことでの割安感や、米輸送サービス大手のフェデックスが利益見通しの引き上げを発表したこと
などから「ブル」が圧倒する結果となった。明日はベージュブックが公表されるが、前回は労働市場に関して
は見通しが改善されていたものの、最近の雇用状況の悪化により弱い見通しが示された場合はドル上昇の重石
となりそうだ。また、テクニカル的にみると目先は25日間移動平均線がある88円付近を上抜けできるかが一つ
のポイントだが、88円を上抜けできない展開では87円を中心にした揉み合いも予想される。

ポンド円は「ブル」
英第2四半期GDP速報値の上振れを好感したポンド買いの流れが継続する中、欧州ストレステストの結果公表を
無難に通過、株高が連鎖したこともあり「ブル」。欧州の信用不安がひとまず沈静化し、欧州通貨全体に買い
戻しが入っている上、英国は堅調な景気指標を受けて年内の利上げ観測が浮上する可能性もあり、ポンドの上
昇余地が広がってきたようにも思える。

豪ドル円は「ブル」
リスク選好意欲の回復とともにアジア株やダウが堅調な推移となったことで「ブル」。明日予定される豪第2
四半期CPI(消費者物価指数)への期待感や、来週のRBA(豪準備銀)政策決定会合で利上げへの言及があるので
は?との見方から本日も底堅い値動きを予測することもできよう。

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