FXレポート

市場の関心は米国のファンダメンタルズ!

昨日のドル円だが、東京市場は日経平均が寄り付きから軟調に推移すると、87.45円付近へ下落。その後は中国株が堅調に推移したことで日経平均が前日比プラス圏へ転じると87.85円付近へと小幅に反発したが、88円付近では上値が重く87円台後半での小動きが続いた。欧州時間に入ると欧州の堅調な株式市場をにらみ、リスク回避から買われていた円が売られる展開となり、一時87.990円まで上値を拡大した。しかしNY時間では6月の米ISM非製造業景況指数が予想を下回ったことで、先週の雇用統計からくすぶる米国経済の先行き懸念が再び台頭、一時87.336円まで下落し、87.499円で取引を終えた。

ユーロ円は、IMF首席エコノミストでハーバード大学のケネス・ロゴフ教授が一部通信社に対して、「中国不動産市場の破綻が銀行システムの打撃になる」との見解を示したことからリスク回避的に円が選好され、109.25円付近へと下げ幅を拡大する展開となった。しかし、欧州勢参入後は中国国家外為管理局がユーロ圏への投資継続を示唆したことが支援材料となり110.843円まで上値を拡大し本日高値を更新した。NY時間でもダウ上昇によるリスクの改善や、弱い米経済指標を受けて対ドルでのユーロ買い優勢の展開だったこともあり、引けにかけて高値圏でもみ合いが続き110.439円で取引を終えた。

                       本日の展開

さて本日のドル円だが、前日の米6月ISM非製造業景況指数は53.8と市場の事前予想(55.0)を下回り、2010年2月(53.0)以来の低水準を記録。前回、10種全てが「50」を上回っていた構成項目では、「雇用」「新規輸出受注」「輸入」の3つが好悪分岐点であるその50を割り込んだことで景気悪化観測はさらに強まっている。また、米景気の先行き懸念から、米国債には逃避的な買いが入っており、米国債市場では利回りの低下に歯止めがかかっておらず、米長期金利軟化からドル売り圧力が強まる可能性に注意したい。テクニカル的にも5日移動平均線88.00円付近が目先の上値抵抗線に変わった可能性が高く、上昇局面では戻り売りも検討してみたい。

ユーロ円は、欧州圏の財政問題の解決が長期化することは避けられず、ユーロの戻りが継続すると見るには時期尚早と思われる。今月末には、欧州圏のストレステストの結果が明らかになるが、結果発表を巡っての足並みがそろわなければ、バランスシートの劣化している金融機関の存在が疑われてユーロが売られる可能性がある。また、結果から資本不足が明らかになった金融機関の処理が難航すれば、再び金融システムに対する警戒感が一気に高まる可能性は否定できない。前日は反発した株価だが、ストレステスト待ちの欧州、不動産バブル崩壊懸念の中国、マクロ指標が芳しくない米国と問題が山積であり、株安連鎖の一服にはもう少し時間を要すると考えられ、リスク回避型の下値警戒は継続しておきたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   86.20-88.00
ユーロ・円 109.00-111.50
ポンド・円 131.20-134.00

【今日の主な経済指標】
15:45 FRF  貿易収支
18:00 EUR  四半期域内総生産(GDP、確定値)
19:00 DEM  製造業新規受注
20:00 USD  MBA住宅ローン申請指数
23:00 CAD  Ivey購買部協会指数

≪2010年7月6日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
ダウ平均が8営業日ぶりに反発したことで参加者の「ブル」に変化はなかった。しかし、市場の関心が米国
のファンダメンタルズに移りつつある中、ISM非製造業景気指数は市場予想を下回り、サービス業の雇用回
復の脆弱さを改めて確認する結果となっており、当面はドル安の流れを意識しておく必要がありそうだ。

ポンド円は「ブル」
株式市場の反発からリスク許容度が回復したことを受けて「ブル」が優勢となっている。欧州通貨を敬遠
する動きが一服している一方、米景気指標の下振れ懸念からドルを売る動きが活発化する可能性は否定で
きず、対ドルでは上値を試す展開も考えられる。また、明日の英中銀金融政策委員会の金融政策発表では
政策金利を0.50%、資産買い入れ規模を2000億ポンドに据え置く可能性が高いとみられている。

豪ドル円は「ブル」
豪準備銀行理事会では予想通り政策金利を4.50%に据え置くことを決定。豪準備銀行の声明が一部の予想
ほどハト派的ではなかったことで、少なくとも「利下げ」の観測は後退したであろうという見解から参加
者の買い活発化して「ブル」。テクニカル的には、短期的な上値抵抗帯とみられた5日移動平均線74.00円
付近も上抜けしたことにより、地合いが強まったと考えられる。本日心理的な節目である75.00円を明確
に抜けてくるようであれば、25日移動平均線の掛かる76.80円付近までの上値も考えられる。

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