FXレポート

米超低金利政策継続!景気回復に陰りも!?

昨日のドル円だが、米株安を受けて日経平均株価が1万円割れでスタート、アジアの主要な株式も軟調に推移した事でリスク回避志向が優勢となり、90.300円付近までじりじりと値を崩した。週初から注目されている人民元については、基準値が僅かに元安水準となったものの、為替相場への影響は限定的となった。元相場弾力化発表後、上昇期待の高まりから株価へ影響を及ぼしていたが、元高局面では今まで通り元売り介入が行われているため、注目度は低下してきているようだ。目新しい材料に欠ける中、欧州時間においても円買いの流れは続き、米国時間では米新築住宅販売件数が予想を大きく下回り、過去最低(予想:41万件 結果:30万件)を記録した事で一時90円割れを示現するなど一段安となった。その後FOMCを控えて様子見ムードが広がったため、横ばいに推移したが、FOMC声明文において超低金利政策の継続期間については前回と同様に「長期間」との文言が維持され、経済状況に対しての表現を弱めた事が嫌気されドル売りが加速し89.732円まで下落した。NYダウは辛うじて前日比プラス圏まで値を戻したものの、ドル円においては大台の90円を回復する事が出来ずに89.836円で取引を終えた。

ポンド円は、前日に発表された英国緊急予算案が引き続き材料視され堅調な動きとなった。市場ではリスク回避の円買いが強まっていたものの、対ドルにおける一本調子の上昇がポンド円にも波及し、結果的に円買いを上回る形となっている。更に、欧州時間に発表された英BOE議事録では政策金利の0.25%の引き上げをセンタンス委員が主張していたことが明らかになった。約3年ぶりに利上げが主張されていたことから、米国に先行して利上げ期待が高まったことで対ドルでの上昇が加速した動きとなった。対円通貨が概ね前日比マイナス圏でクローズした中で、ポンド円の終値は134.352円と、前日比プラス圏で取引を終えた。


                        本日の展開

さて本日のドル円だが、FOMCの弱気な内容を受けて軟調な推移が予想される。今週発表された米中古住宅販売件数、新築住宅販売件数が共に弱い結果となり、4月末で終了した税控除の影響剥落が予想以上に大きいことから、今後米住宅市場が冷え込む事への警戒感も広がっている。米国時間には、新規失保険申請件数、耐久財受注の発表を控えており、米景況感を更に悪化する結果となった場合は下げ足を早める可能性も否定出来ない。90円の大台を割り込み、トレンドは下向きのため5月20日安値88.945円を試す場面もあるかもしれない。

ユーロ円は、株価下落に伴い円買い圧力が強まった場合にリスク資産として売られやすい環境が継続している。南欧諸国のソブリンリスクが沈静化しつつあると思えば、欧州主要銀行の財務健全性に対する懸念が浮上しており、ネガティブ材料には事欠かない状況だ。先日のBNPパリバ問題が尾を引く中、WSJ紙が仏銀のクレディ・アグリコルがギリシャでの損失が拡大していると報じるなど、今後も芋づる式に不安材料で出てくる可能性もある。昨日は再び110円台を割り込む場面も見られたため、同水準を維持できるかが焦点となろうか。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  88.80-90.50
ユーロ・円 109.50-111.40
ポンド・円 133.70-136.00

【今日の主な経済指標】

07:45 NZD 四半期国内総生産(GDP)
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)
08:50 JPY 貿易統計(通関ベース)[前年同月比]
08:50 JPY 企業向けサービス価格指数
15:45 FRF 消費支出
18:00 ZAR 四半期経常収支
18:00 EUR 製造業新規受注
18:30 ZAR 卸売物価指数(PPI)
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 USD 耐久財受注

≪2010年6月23日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米景況感の悪化から値を崩しているが、値ごろ感も出てきており「ブル」となった。連日米経済
指標が予想を下回り、米経済に対する不安感が増大している事が要因となっている。本日も指標
発表の予定があるため、結果発表直後の動きには注意が必要となりそうだ。また、心理的節目と
なる90円を割り込んでいるため、このもまま値を戻す事が出来なかった場合、今後は上値レジス
タンスラインとして意識される可能性も否定出来ない。

ユーロ円は「ブル」
下降トレンドを継続しているが、反発期待も根強いため「ブル」となった。しかし、フランスの
格下げ観測が浮上した事や、欧州金融機関の経営不安が今後も弱材料として意識される可能性が
高いため上値の重い展開が予想される。英ポンドのようにセンチメントを一転させるような材料
が飛び込んでくれば状況も変わるかもしれないが、現状ではあまり期待はできないと考えられる。

ポンド円は「ブル」
ユーロと経済圏が同じ事もあり、同じ欧州通貨として売り圧力にさらされていたが、英財政不安
が和らいだ事や、BOEの中で利上げを主張する委員が出てきた事で低金利政策の出口戦力に対す
る期待感が膨らんでいるため「ブル」が優勢となっている。元々ボラティリティの高い通貨ペア
のためリスク選好の動きが強まった場合、上げ足を早める可能性も高そうだ。

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