FXレポート

ムーディーズがギリシャの格付けを4段階引き下げ!

昨日のドル円は、日経平均が前週末比+100円超で寄り付いたことを背景に、東京市場ではリスク選好の円売りが優勢となり91円後半で推移した。その後、欧州勢が参入すると株高・商品高を背景に世界景気の二番底に対する警戒感が和らいだことから、リスク選好の円売りが継続し、一時92.112円まで上値を拡大する場面も見られた。しかし、NY時間に入ると債券市場で米長期金利が下落したことや、ダウもムーディーズによるギリシャ格下げの発表を契機にマイナスへと沈降した事で91.40円付近まで下落し、91.556円で取引を終えた。

ユーロ円は、欧州PIIGS諸国や東欧を巡る信用不安が後退し、東京市場では株高を背景としたリスク許容度の拡大に買戻しが優勢となり、111.85円付近まで上昇した。その後も日経平均が上げ幅を拡大したことや、ダウ先物が前週末比プラス圏で推移したことからリスク許容度の回復を背景に、底堅い動きが継続した。欧州勢が参入すると、サンデータイムズ紙が報じたセンタンスBOE(英中銀)政策委員による「BOEは下半期に政策金利を引き上げざるを得なくなる可能性」との記事が蒸し返され、ポンドが上昇するとユーロ円も112.867円へとつれ高となった。NY時間に入ってもユーロ鉱工業生産の好結果を受けたダウが寄り付きから上昇したことを受け、リスク選好の買いが先導する形で順調に値を伸ばした。しかし、格付け会社ムーディーズがギリシャの格付けを4段階引き下げ「Ba1」としたことを嫌気し、リスク回避の流れから円買いが強まると112円を割れ、111.922円で取引を終えた。

                      本日の展開

さて本日のドル円だが、先週公表されたベージュ・ブックでは「経済活動は全地区で緩やかな回復継続」とされ、前回から進展がみられる結果となったことで米景気の二番底懸念が後退するなど株式市場のセンチメントは回復してきていると考えられ、ドルのサポートとなる可能性が高い。また、中国市場が今週水曜日まで端午節で休場のため、人民元切り上げ観測や金融引き締め懸念を背景とした思惑的な円買いもひとまず一服となりそうだ。しかし一方で、米国の利上げシナリオが未だ見えない中、米長期金利の低下が続いていることから積極的なドル買いも仕掛けづらい状況でもある。テクニカル的にも、週足一目均衡表では雲の中心で推移しており、90.50円~92.50円のレンジが続く可能性も否定できない。

ユーロ円は過度な懸念が後退したとはいえ、欧州を巡る信用不安や金融システム不安が解消したわけではなく、安心してユーロを買える状況とは言い難いと言えよう。また、ファンロンパイEU大統領は「ユーロの強さがユーロ圏の根本的な財政問題を覆い隠した」と述べており、欧州内では依然ユーロ安を歓迎するムードは根強いだろう。テクニカル的なショートカバーが一巡した後は、再び上値が重くなる可能性も考えられ、引続き警戒を怠ることはできないだろう。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  90.50-92.50
ユーロ・円 109.80-112.50
ポンド・円 132.20-135.80

【今日の主な経済指標】

08:01 GBP  英小売連合(BRC)小売売上高調査
08:01 GBP  英王立公認不動産鑑定士協会
10:30 AUD  豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表
17:30 GBP  消費者物価指数
17:30 GBP  小売物価指数
18:00 DEM  ZEW景況感調査
18:00 EUR  ZEW景況感調査
18:00 EUR  貿易収支
21:30 CAD  四半期労働生産性指数
21:30 CAD  製造業出荷[前月比]
21:30 USD  輸入物価指数
21:30 USD  輸出物価指数
22:00 USD  対米証券投資

≪2010年6月14日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
ダウが心理的な節目の1万ドルに定着し、落ち着きを取り戻し始めたことで「ブル」は継続され
た。株式市場のセンチメントは好転しつつあり、先週公表されたベージュ・ブックでも前回から
進展がみられるなど米ファンダメンタルズを背景にドル上昇のシナリオも考えられよう。

ポンド円は「ベア」
英サンデー・タイムズ紙が「英中銀は下半期に政策金利を引き上げざるを得なくなる可能性があ
る」と報じたことに加え、デール英中銀理事の「英国の景気回復の勢いは来年強まる公算大きい
」との発言が伝わったことが下支え要因となり「ブル」が優勢。英国の財政見通しが好感されて
いることも今後もポンドの支援材料となるだろう。

豪ドル円は「ブル」
株高連鎖期待の高まりから「ブル」は継続となった。株高・商品高を素直に好感する値動きとな
っており、リスク許容度の回復を下支えに底堅い推移となりそうだ。また、日足ベースでみると
5日移動平均線と21日移動平均線がゴールデンクロスを形成していることや、ダブル・ボトムの
ネックラインを上抜けしつつあり、テクニカル的な地合いも強いと言えよう。

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