FXレポート

材料少なくレンジ内相場! 英米休場につき

ドル円は序盤、90.978円と91円割れで取引が始まったが、アジア株の底堅い値動きを背景に次第に買いが先行し、小動きながらもじりじりと91.611円まで上昇した。しかし、英国市場がスプリングバンクホリデー、米国市場がメモリアルデーによる休場と厚みのない取引のなか、欧州株の上昇幅を縮小させる動きや、時間外のダウ先物の上値の重さが嫌気しされ円買いドル売りが優勢となり一時90.906円まで下落した。その後1-3月期カナダ四半期国内総生産(GDP)[前期比年率]や4月カナダ鉱工業製品価格指数が予想より強い内容となったことを材料に円売りを誘う場面も見られたが、薄商いにより方向感が定まりにくい状況の中、91.219円で引けた。

ユーロ円は、ポジション調整の売り買いに振り回されるなか、株価の動きを手掛かりに112.927円まで上昇した。しかし、113円を試すも上抜けすることが出来ず、小幅なレンジ取引となった。しかしその後に発表された、ユーロ圏消費者物価指数速報が前年比+1.6%(予想:+1.7%)、ユーロ圏消費者信頼感(確定値)が-18(予想:-18)とほぼ予想通りとなったことや、主要株価が軟調な動きとなるにつれてマーケットはリスク回避に傾き、安値111.572円まで下落、112.204円で取引を終えた。取引参加者が細り市場も模様眺め気分が強く商いは総じて低調だった。


                                             本日の展開

格付け機関フィッチ・レーティングスによるスペイン国債格下げに伴うユーロ売りには、やや一服感が見られるものの、ユーロが下げ止まるとまでは言えないようだ。事実、スペイン株などの動きが鈍ると、間髪いれず豪ドルやNZドルなどのリスク通貨が売られる場面が散見され、リスクに対し敏感に反応する状況となっている。ユーロ円113円の壁は相当厚いと考えられ、引き続き下値リスクに警戒しながら、慎重な判断が求められる状況と思われる。

一方で、久しぶりにポジティブなニュースも舞い込んできている。昨日発表されたカナダ第1四半期GDPの伸び率は年率換算でプラス6.1と1999年第4四半期以来の高水準となった。また、4月カナダ鉱工業製品価格指数(予想:0.5%、結果:0.6%)も強い結果となり、本日のカナダ中銀による政策金利発表において利上げ観測が強まっているようだ。加えて、4日に予定されている5月米雇用統計は、非農業部門就労者数[前月比]の56万3,000件の大幅増が予想(ダウ・ジョーンズ経済通信)されており、米雇用環境の底堅さが確認されれば、強いトレンドに転換する可能性もある。市場はきっかけを探っている向きもあり、ドル円は場合によっては直近の高値94.989円を意識しつつ、上値を模索する展開も十分に予想される。ユーロ諸国の財政問題からリスク回避の動きが強い中、ドル円やカナダ円がどこまで上昇するかが注目されそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  90.200- 92.800
ユーロ・円 110.400-117.300
ポンド・円 126.900-135.900


【今日の主な経済指標】

10:30 AUD 小売売上高
10:30 AUD     住宅建設許可件数
13:30 AUD     豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
14:45 CHF     四半期国内総生産
15:45 FRF     非農業部門雇用者・改定値
15:45 FRF     卸売物価指数
16:30 CHF     SVME購買部協会景気指数
16:55 DEM     失業率
16:55 DEM     失業者数
17:00 EUR     製造業購買担当者景気指数
17:30 GBP     製造業購買担当者景気指数
18:00 EUR     失業率
22:00 CAD     カナダ銀行 
23:00 USD     建設支出
23:00 USD     ISM製造業景況指数


≪2010年5月31日クローズ時点≫

ドル・円     : 「ブル」
ユーロ・円   : 「ブル」
ユーロ・ドル : 「ブル」
英ポンド・円 : 「ブル」
豪ドル・円   : 「ブル」
NZドル・円   : 「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル円は「ブル」
昨日は米英の金融市場が休場となっているため、多くの市場参加者がポジションを大きく傾ける
ことに消極的だった。ポジションは動意が少ないなかで「ブル」継続となっている。中国政府が
「世界経済は公的債務問題に対し弱い」と警告し、相対的に低リスクとされる円需要を助長させ
ている向きもある。しかし、5月米雇用統計に関してはポジティブな報道も見受けられ、方向感
の定まらない状況が継続しそうだ。

ユーロ円は「ブル」
ユーロを取り巻く状況は未だネガティブであるが、引き続き「ブル」。ホルスト・ケーラー独大
統領が辞任を表明した。背景にはアフガン派兵について「ドイツの貿易利益を守るためには賛成
する」と発言したことに対して、野党などの批判が高まっていたことがある。同国大統領の任期
満了を待たない辞任は戦後初で独与党内での混乱は避けられないかもしれない。混乱がユーロ圏
に波及する恐れもあり、独政局不安は市場を冷やす新たな材料となる可能性も考えられる。

ポンド円は「ブル」
やや「ブル」だが、ポンド自体に力強さがあるわけではないようだ。発足した新政権は6月22日
に緊急予算を発表する予定だ。注目は財政削減にどこまで踏み込めるかが焦点となっており、中
短期で財政再建の負担感が出てくるようであれば低金利政策などの金融緩和政策は長期化につな
がり、短期的なポンド上昇につながりにくくなる可能性もある。ロングポジションをとるタイミ
ングには一層の注意が必要だ。

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