FXレポート

リスクオフの雰囲気高まる! 独空売り禁止措置をうけて

昨日のドル円は、東京市場序盤は92円台前半で始まったが、アジア・欧州株の下げを背景にリスク回避の動きとなり91円台前半まで下落。売り一巡後は91円台半ばを中心に揉み合いの動きとなった。NY勢が参加するとスイス国立銀行(SNB)が対スイスフランでユーロ買い観測の噂を背景に、ユーロ円につられた形で円売りが強まり、一時91円台後半まで値を戻しロンドン時間の下げを取り戻したものの、その後に米労働省が発表した4月消費者物価指数(CPI)が前月比で-0.1%と予想(0.1%)に届かなかったことや米長期金利低下を背景にドル売りが強まり、節目となるの91円を下抜け5月7日以来となる安値90.963円まで下落した。その後はNYダウ相場が下げ幅を縮小させたことに同調する値動きとなり、引けは91.735円と引き続き方向感を探る展開となり、リスク志向後退の雰囲気が相場を支配した格好となった。

ユーロ円は序盤、112円を挟み小動きとなっていたが、ドイツの空売り規制を背景としたリスク回避で一時110.856円までじりじりと売られた。その後、ダウ先物が下げ渋ったことによる短期筋からの買い戻しやECBがユーロに対し介入を行う可能性について言及したことからユーロ買いを後押しし、上昇相場となったが114円はブレイクできず高値は113.957円、引けは113.867円とほぼ高値水準で引けた。


                                             本日の展開
                                             
ドイツ発の空売り規制の影響で、規制対象外となるドイツ以外の国へ資金流出が加速するのではないかとの思惑も広がり、昨日はリスクオフが濃厚となった。空売り規制に対しては欧州連合(EU)規模による実施もささやかれており、米国の金融規制に対する積極的な姿勢も考慮すると協調した規制も現実的に十分有り得るだろう。規制規模が大きくなればなるほど為替相場にとってはリスク回避の促進剤と考えられ、円高進行による二番底、三番底も想定する必要がでてきた。しかし一方では、リスクオフの中で意外にもユーロ自体は底堅い値動きとなっており、この空売り規制の効果が限定的との思惑も一部ではあるようだ。ドイツは規制をEU全体に広げたい意向だが、ラガルド仏財務相の「現行の規制(2008年導入)で十分」との見解のように、現時点ではどちらに展開するか判断しかねる状況だ。

為替市場が今最も危惧しているのは、ユーロ圏を取り巻く「ソブリン債務危機」と、ドイツ政府が発表した特定の「空売りに対する規制」の動向で、この2つが経済指標等よりプライオリティが高いと考えるならば、当面はリスクに対し一層神経質な相場が予想され、ユーロ相場を中心に株式動向をにらんだ不安定な相場となるかもしれない。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  90.500- 93.000
ユーロ・円 110.000-114.500
ポンド・円 129.000-133.000


【今日の主な経済指標】

08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況
08:50 JPY 四半期実質国内総生産
13:00 JPY 日銀・金融政策決定会合
15:00 DEM 生産者物価指数
17:30 GBP 小売売上高指数
17:30 HKD 消費者物価指数
21:30 USD 新規失業保険申請件数
21:30 CAD 景気先行指数
23:00 EUR 消費者信頼感
23:00 USD 景気先行指標総合指数
23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数


≪2010年5月19日クローズ時点≫

ドル・円     : 「ブル」
ユーロ・円   : 「ブル」
ユーロ・ドル : 「ブル」
英ポンド・円 : 「ブル」
豪ドル・円   : 「ブル」
NZドル・円   : 「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
91円割れ水準を見て参加者はやや「ブル」寄り。
FOMC議事録は、「本格的な景気回復までは資産売却を延期」、「短期金利の維持は主要な
政策手段として望ましい」との方針が示したが目新しさはみられず引き続き緩やかな出口
戦略維持が確認されたが、一方でガイトナー米財務長官が人民元について「中国は適切な
時期に人民元を切り上げる」、「世界は人民元の再評価に大きな利害関係を有する」と言
及しており、元の利上げが早まれば相場に対し波乱含みの展開が予想される。

ユーロ円は「ブル」
値ごろ感からポジションは「ブル」となっている。
パパコンスタンティヌ・ギリシャ財務相が「欧州連合(EU)からの離脱」について言及した
ことがユーロ売りの材料として意識される一方で、「ECBの為替介入は必至」との見方も
ユーロを下支え要因との思惑もあり、不透明な先行きに対する懸念が払拭されるまではポ
ジションを傾けづらい展開が継続しそうだ。

ポンド円は「ブル」
130円台では買い意欲が優勢となり若干「ブル」。
英中銀(BOE)議事録が公表されたが、政策金利と量的緩和の規模(資産買い入れプログラム
枠)の据え置きは9対0の全会一致で決定された。インフレについては余剰生産能力による
緩和効果が薄れつつあるとして短期的な見通しでは上昇要因と思われる。だが、先日のイ
ンフレ報告時、キング総裁の会見で事前に説明があったこともあり目新しさはないが「ユ
ーロに対する警戒感から景気の見通しについては下振れリスクあり」と指摘していること
から、ポンドはユーロの動向を見極めた上で投資判断を下す必要がありそうだ。
 

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