FXレポート

下値模索の展開継続!?

先週末のドル円は序盤、米株安を受けて安く寄り付いた日本株が下げ幅を縮小するに連れてジリジリと値を伸ばし93.080円まで上昇した。しかし、前日の米国時間に形成したレンジを上抜けする事が出来ずにあえなく反落、前日(木曜日)同様欧州勢参入後にユーロが売りが強まると下げ足を加速した。ユーロ円の下落を主導に対円通貨が下落基調の中、米国時間に発表された米小売売上高が市場予想を上回ると(予想:前月比+0.2%、結果:0.4%)一時的に値を戻したものの流れを変える程の力はなく、再度下値を試す展開となり91.802円まで下落した。その後は、下落の主導が外部要因であったこともあり、週末のポジション調整から買い戻しが入り、引けにかけて値を戻し92.427円で取引を終えた。

ユーロ円は、東京時間では揉み合う展開となったが、欧州勢参入後はユーロ売りが再開し値を崩した。ギリシャ・スペイン・ポルトガルのソブリンリスクは一巡しているものの、欧州株価が軟調に推移した事や、サルコジ仏大統領が対ギリシャ融資を承認したユーロ圏首脳会議で、自国のユーロ圏離脱の可能性をちらつかせ、ドイツに協力を迫ったとの報道が伝わると、ユーロに対する先行き不透明感が強まり下値を試す展開となった。その後は5月7日直近安値113.634円が意識され、辛うじて113.500円で下げ止まったものの戻りは鈍く、終値は114.292円となり、地合の弱さを確認した格好で週末クローズとなった。

                                             今週の展開

ドル円は、ユーロ等の欧州通貨売りを主導とした円買いの影響で値を崩す場面も見られたが、米経済の回復や安全資産としてドル(米国債)が買われやすい環境が支援材料となっており、底堅い動きが継続しているように思われる。対ユーロでの上昇がドルの強さを表しているが、ユーロ問題を発端としたリスク回避の円買いが勝り、下値試しとなった場合、5月6日直近安値87.952円から5月13日直近高値93.634円までの上昇に対し61.8%押しとなる90.123円が下値目処となりそうだ。また今週は米住宅関連、消費者・生産者物価指数といった注目度の高い指標発表やFOMCの開催も予定されている事から、ボラティリティの高まりを予感させる週となりそうだ。

ユーロ円は、IMFとユーロ各国による緊急支援によって、19日に迫ったギリシャ国債償還をギリギリの日程で乗り切る事ができそうだが、デフォルトを避けるための一時的な措置であるため、今後はギリシャをはじめとした南欧諸国による財政再建の実行性・経済の先行き懸念が市場の焦点となりそうだ。財政健全化にあたり、歳出削減策の1つである公務員の給与削減に対するデモ、景気低迷による歳入減少、低金利政策の長期化等、問題は山積みとなっている。緊急支援は最悪のシナリオを回避し問題を先送りしただけであり、財政赤字は短期的に解決できる事ではないため、ネガティブ材料に事欠かないユーロにとっては厳しい相場展開が継続しそうだ。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円  90.100- 94.000
ユーロ・円 110.000-118.700
ポンド・円 129.700-139.800

【今週の主な経済指標】

5/17
08:01  GBP  ライトムーブ住宅価格
08:50  JPY  国内企業物価指数
08:50  JPY  機械受注
21:30  USD  ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:00  USD  対米証券投資
02:00  USD  NAHB住宅市場指数

5/18
07:45  NZD  四半期卸売物価指数
08:50  JPY  第三次産業活動指数
14:00  JPY  消費者態度指数
17:30  GBP  小売物価指数
17:30  GBP  消費者物価指数
18:00  EUR  貿易収支  
18:00  EUR  ZEW景況感調査  
18:00  EUR  消費者物価指数
18:00  DEM  ZEW景況感調査
21:30  USD  建設許可件数
21:30  USD  住宅着工件数
21:30  CAD  対カナダ証券投資額  

5/19
13:30  JPY  鉱工業生産・確報値
17:30  GBP  英中銀金融政策委員会
18:00  EUR  建設支出
18:30  ZAR  小売売上高
20:00  USD  MBA住宅ローン申請指数
21:30  USD  消費者物価指数
21:30  CAD  卸売売上高
03:00  USD  米連邦公開市場委員会

5/20
08:50  JPY  対外対内証券売買契約等の状況
08:50  JPY  四半期実質国内総生産
13:00  JPY  日銀・金融政策決定会合  
15:00  DEM  生産者物価指数
17:30  GBP  小売売上高指数
17:30  HKD  消費者物価指数
21:30  USD  新規失業保険申請件数
21:30  CAD  景気先行指数
23:00  EUR  消費者信頼感
23:00  USD  景気先行指標総合指数
23:00  USD  フィラデルフィア連銀製造業景気指数

5/21
14:00  JPY  景気先行指数
15:00  DEM  国内総生産
17:00  EUR  サービス部門購買担当者景気指数
17:00  EUR  製造業購買担当者景気指数
17:00  EUR  経常収支   
17:00  DEM  IFO企業景況感指数  
17:30  GBP  マネーサプライM4速報値
20:00  CAD  消費者物価指数
21:30  CAD  小売売上高


≪2010年5月14日クローズ時点≫

ドル・円     : 「ブル」
ユーロ・円   : 「ブル」
ユーロ・ドル : 「ブル」
英ポンド・円 : 「ブル」
豪ドル・円   : 「ブル」
NZドル・円   : 「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
対ユーロにおける高値更新で基軸通貨であるドルの強さが再確認され、「ブル」が優勢と
なっている。米国時間にはニューヨーク連銀製造業景気指数・対米証券投資の発表が控えて
いることから発表後における急変動の可能性もあるため注意が必要となりだろう。

ユーロ円は「ブル」
ポジションは「ブル」。先週はじめに高く寄付き、週の高値122.305円をマークした後は8円
超の下落を記録し割安感があるものの、週のローソク足は上影陰線となっているため下落継
続の可能性が高まっている。ユーロ売りのトレンドに変化がなければ、5月6日にマークした
110.507円も視野に入ってきそうだ。

ポンド円は「ブル」
ポジションは「ブル」。英国選挙が終わり連立政権が誕生した事で、政局に対する選挙前の
不透明感は解消されたものの、南欧諸国同様に多額の財政赤字を抱えているため、ユーロと
同じく下値を試す可能性を秘めている。主要国の株価下落から投資家のリスク許容度が低下
し、円買いが強まった場合は5月6日安値129.681円までの下落もありそうだ。

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