FXレポート

EU支援策もユーロ上値重い!

昨日は日経平均が前日比+53円と堅調に寄り付いたものの、中国の金融引締め懸念などを背景にマイナス圏へと反落するとドル円もつれて売り優勢となり92.70円付近へと小幅に値を崩した。その後も米WSJ紙が「米証券大手モルガン・スタンレーがモーゲージデリバティブの取引で米連邦当局から調査を受けている」と報じたことを受けてドルが売られ、一時92.45円付近まで下落する展開となった。しかし、欧州勢参入後は欧州株高や、GLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を縮小する展開となるとクロス円は反発、ドル円もつれて92円後半まで上昇した。NY時間には、ブラード・セントルイス連銀総裁が講演で「米労働市場は夏にかけて改善へ」と述べた事でドル買い優勢の展開となり93円台を回復。引けにかけて米10年債利回りが上昇したことで一時93.282円までドルが買われ、93.205円で取引を終えた。

東京市場のユーロ円は、ギリシャなどユーロ圏諸国を巡る根強い財政懸念を背景とした急激なユーロ売りの流れは一服したものの、米WSJ紙による「米当局が金融派生商品取引に関して米モルガン・スタンレーを調査」との報道を受けて日経平均やGLOBEXのNYダウ先物が下落しリスク回避姿勢が強まったことから、116.564円まで下落。しかし、欧州市場序盤に発表された独第1四半期GDP速報値が前期比+0.2%と予想の同±0.0%を上回ったほか、前年同期比も予想から上振れしたことや、サパテロ・スペイン首相が公務員給与の5%削減など2010年・2011年に追加で150億ユーロ予算を削減すると発表。財政悪化が懸念されているスペインが財政再建に向けて前進したことを好感し、118.40円付近へと反発した。その後は、株高を受けた円売り・ユーロ買いが出る一方、長期的なユーロ圏財政問題が懸念材料となり上値を抑え、117.578円で取引を終えた。
         
                     本日の展開

さて本日のドル円だが、オバマ米大統領がスペインのサパテロ首相に対し、スペインに断固たる経済改革の実施を要請するなど、スペインに対するソブリン問題の懸念から世界的景気失速への警戒感を示した。加えて、今月24日から予定される米中戦略・経済対話を控え、中国が人民元の切り上げを実施するとの憶測もみられ、ドル円は伸び悩む展開となりそうだ。また、南欧の信用不安やユーロの信認低下に歯止めがかからない上、米モルガン・スタンレーの債務担保証券(CDO)をめぐり投資家を欺いた疑いで米連邦検察当局が捜査しているとの問題はゴールドマン・ショックを想起させ、株式市場での不安が一層高まれば、リスク回避型の円買いに傾斜する可能性がありそうだ。

ユーロ円は、スペインが赤字削減で財政再建に向けて追加策を公表したことや、EUの巨額の金融支援やECB・各国中銀による政府債買い入れなど、考えられる政策が発表されている。しかし、根強い財政懸念からユーロの上値は依然として重いことで、当面反発のシナリオは一歩後退となっているように思われる。また、ECBによる国債買い入れに関しては、バランスシートや財政規律の観点から懸念が広がっており、EUはユーロの信頼を守る為、最終手段に踏み切ったと考えることも出来るため、依然としてユーロ圏諸国を巡る根強い財政懸念問題に関して目が離せない展開となりそう。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  91.70-93.90
ユーロ・円 115.20-118.70
ポンド・円 136.50-140.00

【今日の主な経済指標】

10:30 AUD  新規雇用者数
10:30 AUD  失業率
14:00 JPY  景気ウオッチャー調査-現状判断DI
17:00 EUR  欧州中央銀行(ECB)月報
17:30 GBP  貿易収支
21:30 USD  輸出物価指数[前月比]
21:30 USD  新規失業保険申請件数
23:00 ZAR  南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利

≪2010年5月12日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
NYダウが148ドル高と反発したことで参加者心理もやや改善し「ブル」が優勢となった。
欧州信用問題を背景としたリスクテイクがテーマとなる展開ではドル自身が安全資産と
して円と同様に買われやすい傾向が見られる。本日もドル買いと円買いが相殺しあい、
方向感を探る展開が予想され、レンジ内の取引も想定しておきたい。

ポンド円は「ブル」
キングBOE総裁が「短期的にはマイナス成長へのリスクがやや大きい」と悲観的な見解
を示し、更に「資産買取プログラムを増額する可能性を排除しない」とした事で、英経
済に対する楽観論が後退し、137円まで下落すると押し目買いが入り「ブル」優勢。英
総選挙を経て最大政党となった英保守党と第3党の自民党の連立が成立するなど英国の
政治空白がようやく解消された事で、本日も押し目での買い意欲は強いのではと考えら
れる。

豪ドル円は「ブル」
金価格が一時1250ドルまで上昇し、終値ベースで史上最高値を更新していることで資源
国通貨に人気が集まり、「ブル」が継続となった。しかし、欧州のソブリン問題に払拭
感が乏しく、積極的に買い進むことに対し警戒感が強まりそうだ。また、人民元の切り
上げリスクが懸念されることも中国との貿易関係が強い豪ドルには重石となろう。

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