FXレポート

ギリシャ問題!期待と不安が交錯

昨日のドル円は、序盤本邦祝日による東京市場の休場により商いの薄い展開となり、94円前後を挟んだもみ合いとなった。欧州勢参加後も昨日発表されたFOMCによる低金利政策の長期化声明からドル買いは全般的に手控えられ、94円を挟んで上下20銭程度のレンジ相場が続いた。その後のNY時間には米労働省が発表した新規失業保険申請件数が44万8000件と市場予想平均の44万5000件程度より若干弱い結果となったことを受け、雇用情勢に対する警戒感の高まりから、ドルが売られる局面も見られた。しかし、値動きは小幅にとどまり、終日動意のないまま94.056円で取引を終えた。

ユーロ円は、序盤ギリシャの資金繰り問題への不安感から、東京時間には一時123.749円まで下落。欧州参加後はギリシャのソブリンCDS5年物のスプレッドなどが低下したことからギリシャ問題がいったん落ち着いたとの見方が広がりユーロが買われる展開に。ユーロ円は124.30円付近まで回復。その後、4月の独失業者数は前月比で6万8000人減少、4月の失業率は7.8%といずれも市場予想平均よりも強い結果となった事や、ユーロ圏経済信頼感-4月が事前予想を上回り、08年5月以来の高水準を記録したことが好感され124.879円まで上昇した。しかし、ショイブレ独財務相が「ドイツがギリシャ支援を承認するか、まだ確かではない」との見解を述べたことでギリシャ問題への不透明感が再び意識されると上値の重い展開に。更に、格付け機関ムーディーズが「ギリシャの格付け、複数段階格下げする可能性高い」との声明を発したことが下押しする状況となり、124.437円で取引を終えた。

                     本日の展開

さて本日のドル円だが、欧州信用不安を背景とした安全通貨としてのドル買い需要から底堅く推移すると考えられるものの、本日15:00に公表される日銀の経済・物価情勢の展望レポートを受けた相場動向には注意を払いたい。2011年の物価見通しは0.0%~0.2%になると予想されており、マイナスから脱却することが見込まれている。少なくとも2011年にはデフレを脱却することができるとの観測が強まれば、円買いが進む可能性もあるため注意が必要だ。その他、NY市場の時間帯には米四半期実質国内総生産等注目される材料も多く、米企業好決算による株式相場が下支えする状況から、94円台半ばを越えられるかどうかに注目したい。

ユーロ円は、本日もギリシャをはじめポルトガルや、スペインといった欧州信用不安から目が離せない展開となろう。ギリシャに関しては情報が錯綜し予断を許さない状況にあるものの、ドイツとEU、IMFがギリシャ支援の着実な実施で一致し、支援も大幅に増額・期間延長される可能性が出てきたことで、目先は悲観的シナリオを想定していた投機筋のショートカバーを誘う可能性が高いとみる。しかし、ドイツ財務省報道官は「政府は5月3日にギリシャ支援に関して討議し、7日にも議会で支援策が承認される可能性」と発言しているものの、議会での承認が難航することも予想され、ギリシャ支援が実行されるまでは政府要人の発言や観測報道に一喜一憂する展開が続きそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  92.90-94.80
ユーロ・円 122.00-125.50
ポンド・円 141.50-144.80

【今日の主な経済指標】

10:30 JPY  毎月勤労統計調査
14:00 JPY  新設住宅着工戸数
15:00 ZAR  マネーサプライM3
15:45 FRF  卸売物価指数(PPI)
15:45 FRF  非農業部門雇用者・速報値
18:00 EUR  失業率
18:00 EUR  消費者物価指数
18:30 CHF  KOF景気先行指数
19:00 JPY  外国為替平衡操作の実施状況
21:00 ZAR  貿易収支
21:30 CAD  鉱工業製品価格
21:30 CAD  原料価格指数
21:30 CAD  月次国内総生産(GDP)
21:30 USD  四半期実質国内総生産(GDP、速報値)
22:45 USD  シカゴ購買部協会景気指数
22:55 USD  ミシガン大学消費者態度指数・確報値

≪2010年4月29日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ベア」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ベア」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ベア」
FOMCで発表された米国の超低金利政策の長期化観測が引続き意識され、売り買いは拮抗
したものの、僅かに「ベア」優勢となった。民主党の支持率低下が続いている中、検察
審査会が小沢幹事長を起訴相当とするなど、強制起訴に向けて事態が動いており、日本
の政局がまた揺れる可能性も出てきた。前日はレンジ相場となったドル円だが、政局不
安を背景に円も動意づくだろうか。

ユーロ円は「ブル」
ECB総裁が「ギリシャ支援めぐる協議は数日内に終了し非常に良い結果となると想定」と
の見通しを示し、メルケル独首相も「ギリシャ救済を加速させるべき」との見解を示し
たことが好感され、「ブル」となっている。目先、ユーロの展開を左右するのは、建案
発表のタイミングとなろう。週明けに持ち越されるようだと、ユーロ売り圧力が増しそ
うだ。もう一つは再建案の内容。もし不透明な部分を残すようであれば、ユーロは再び
下落する可能性があり、その点には注意する必要があるだろう。

ポンド円は「ブル」
格付け機関 ムーディーズが「英国を格下げするのでは?」との噂が流れていたものの、
実際はギリシャのカバードボンドの格付けを引下げたもので、英国の格付けに関するも
のではなかった事で、安心感からの買戻しを誘発し「ブル」となっている。ドイツとEU、
IMFがギリシャ支援の着実な実施で一致したことで、ひとまず不安感が沈静化する可能性
があり、売られ過ぎた欧州通貨を買い戻す動きも考えられるだろう。しかし、来週6日の
英国総選挙まで1週間となったことから、情勢次第でどちらにでも動けるように柔軟姿勢
で臨みたい。

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