FXレポート

スペインも格下げ!広がるソブリンリスク!

昨日のドル円は、米格付け会社S&Pによるポルトガルとギリシャの格下げをきっかけに欧州の信用不安
が再燃し、リスク回避の円買いが加速したNY市場の流れを引き継ぐ中、日経平均が大幅に下落して始ま
ったことから、東京市場序盤は93円付近へと下値を試す展開となった。しかし、強めの豪第1四半期消
費者物価指数を受けた豪ドル円の上昇につられたこともあり、じりじりと反発。また、上海株などアジ
ア株が下げ幅を縮小したことでクロス円に買い戻しが入り93.40円付近まで回復した。欧州市場に入る
と10年物ギリシャ国債の独連邦債に対する上乗せ金利が一段と拡大したほか、欧州株の下げ幅拡大を背
景に対ユーロでのドル買いが優勢となったことが波及すると、対円でも94円付近まで上昇する場面がみ
られた。NY時間では、FOMCが声明を発表。金利や声明文における「長期にわたる低金利政策を維持」
の文言は残ったが、見通しとして「経済は強まり続けている」「労働市場は改善し始めた」と示された
ことでダウが上昇。ドル円は一時94.315円まで上値を拡大し、94.055円で取引を終えた。

ユーロ円は、欧州の財政問題深刻化を背景とした前日の下落が急ピッチだったことから、アジア市場で
はポジション調整の買い戻しが優勢となった。また、英FT紙が「国際通貨基金(IMF)はギリシャ支援へ
の拠出を100億ユーロ拡大することを検討している」と報じたことで、東京市場中盤には123.30円付近
へと持ち直した。しかし、欧州勢の参入後は欧州株が下落して始まり、 GLOBEXのNYダウ先物も軟化す
るなどリスク回避の動きが再び優勢に。また、ギリシャの2年債利回りが一時38%台へと大幅上昇した
ほか、10年物ギリシャ国債の独連邦債に対する上乗せ金利やCDSスプレッドが拡大するなど、歯止めが
かからない信用不安の拡大がユーロの重石となり、一時123円割れとなった。NY時間に入ると、メルケル
独首相が「ギリシャ救済を加速させるべき」とした事でユーロは幾分買い戻されるも、格付け機関S&Pが
スペインの長期格付けを「AA+」→「AA」へと格下げ、見通しを「ネガティブ」としたことでユーロの
上昇は相殺。しかし、引けにかけダウや、原油が上昇したことを支えに124.335円まで回復し、取引を
終えた。

                     本日の展開

注目されたFOMCの声明は、政策金利を0.00~0.25%に据え置き、「政策金利を"長期間"にわたり異例の
低水準に維持する」との文言変更はなかった。一部では米景況感の改善から、今回のFOMCでは出口戦略に
向けた議論が活発化するとみられていたが、"長期間"の意味を市場に強く再認識させる声明文だったこ
とで、金利面においてはやや弱含む可能性もあるだろう。また、本日から日本の連休入りとあって、アジ
ア時間の円相場は様子見ムードが強まりそうではあるが、ギリシャ支援やユーロ圏諸国の格付けに関する
話題には反応しやすく、注意したいこところだ。
 
ユーロ円は、欧州ソブリンリスクへの警戒感が強まっており、上値を抑える要因となりそうだ。ギリシャ
国債が一気にジャンク級に格下げされたことで利回り格差やCDSスプレッドがさらに拡大し、投機的なユー
ロ売りをさらに呼び込む可能性は否めない。一旦は、ギリシャへの支援に向けて前進が見られたことから
懸念が後退したものの、昨日に続き格付け会社S&Pがスペインの格付けをAAに格下げしたことで、PIIGS
(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)諸国に懸念が飛び火しており、予断を許さ
ぬ状況と考えられる。他の格付け会社は今回の流れには追従していないが、ギリシャへ支援のしっかりと
したフローが示されない限り懸念はつきそうにない。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円  92.900-95.00
ユーロ・円 122.00-125.50
ポンド・円 141.50-144.80

【今日の主な経済指標】

07:45 NZD  貿易収支
15:00 GBP  ネーションワイド住宅価格
16:55 DEM  失業者数
16:55 DEM  失業率
17:00 EUR  マネーサプライM3
18:00 EUR  消費者信頼感
18:30 ZAR  卸売物価指数
21:30 USD  新規失業保険申請件数

≪2010年4月28日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ベア」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ベア」
注目された米FOMC声明文は、前回からほぼ変更なし。長期間の低金利政策が維持されるとの見方から、
ポジションは「ベア」となっている。目先は利上げがないとの見方はドルの重石となろう。また、本日
より本邦はGWに突入。過去円高局面においては、本邦不在時に海外勢の仕掛け的な円買いが入る局面も
あったことから、注意しておきたい。

ポンド円は「ブル」
ユーロを敬遠する動きから、対ユーロではポンド買いが目立ち「ブル」優勢。しかし、欧州通貨全体を
敬遠する流れにポンドも逆らうことは困難だろう。ギリシャ支援の着地点がなかなかみえておらず、今
後は弱気が優勢となる可能性も。

豪ドル円は「ブル」
豪第1四半期消費者物価指数が前期比+0.9%、前年同期比+2.9%とそれぞれ予想をわずかに上回ったこと
も支援材料となり、来週火曜日の豪準備銀行理事会での追加利上げの可能性が高まったとみて参加者は
「ブル」。しかし、消費者物価指数上振れ・追加利上げというシナリオはすでに織り込み済みとなって
おり、新たな買いを呼び込みにくい状況とも考えられる。また、ギリシャ支援を巡る不透明感や株安連
鎖懸念からリスク回避ムードが強まると豪ドル売りが強まる可能性も高いため注意したい。

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