FXレポート

ギリシャはジャンク級に、リスク回避鮮明

昨日のドル円は序盤、日経平均が前日の大幅上昇の反動で利益確定の売りが出たことや、先週月曜の安値から2円超の上昇となっていたことからポジション調整の動きもみられ、93.80円付近へと反落した。更に、欧州勢参加後にはギリシャ問題が再び燻り始め、リスク回避の流れから徐々に下値を拡大し93.50円付近まで下落する展開となった。NY時間に発表された4月消費者信頼感指数は57.9と市場の事前予想を上回り、2008年5月以来の好数値を記録。加えて、4月リッチモンド連銀製造業指数も30と、市場の事前予想を大きく上回り、1993年1月の統計開始以来最高となったことで市場のセンチメント改善が期待された。しかし、格付け会社S&Pはポルトガルの短期格付けを「A+」→「A-」に、長期格付けを「A-1」→「A-2」に格下げ、見通しを「ネガティブ」とした。更にギリシャの格付けがBB+/Bに引き下げられたことにより、ギリシャの格付けは投資不適格のジャンク級となった。これを受けてリスク回避の流れから円は独歩高となり、ドル円は一時92.815円まで下落。引けにかけ若干反発したものの93.244円で取引を終えた。

ユーロ円は、ゴールデン・ウィークや月末を控えた本邦輸出企業の売りに押されて東京市場から軟調にスタート。更に、上海株の下げ幅拡大を受けたリスク回避の円買いにより125円付近へと下値を拡大した。欧州時間に入っても下落は止まらず、昨日英テレグラフが「ギリシャがさらに厳しい条件を呑まないようであれば、ドイツは支援を拒否する」と報じたことが再材料視されユーロを圧迫し、124円を割れる展開となった。その後もギリシャとドイツ国債の利回りスプレッドが拡大するなど、ギリシャの資金繰り懸念が一段と高まったほか、欧州株価が下落したことで投資家のリスク回避姿勢が強まるとの見方からユーロ売りが加速。加えて、米格付け会社S&Pがポルトガルとギリシャの格付けを引き下げたことから欧州各国の財政不安が改めて意識され、ユーロ売りが膨らんだことから一時122.663円まで下落した。引けにかけ、ショートカバーが入るも戻りは鈍く、前日比-2.832円の122.910円で取引を終えた。

                     本日の展開

さて本日のドル円だが、米主要企業決算の約8割が市場予想を上回る好結果となるなど、主要企業の好業績に対する期待感を背景としたリスク選好の動きから、引き続き堅調な推移が予想される。4月消費者信頼感指数は事前予想を上回り、2008年5月以来の好数値を記録。更に構成項目の雇用関連指数も良く、ガイトナー米財務長官による「持続的な雇用拡大に向けた、最初の兆候が見える」とのコメントをサポートする内容となった。これにより本日のFOMCでは声明の文言を微調整する可能性や資産売却を協議する可能性がでてきた。また、5月7日の米雇用統計にとっても明るい材料と言える。ただし、ゴールデン・ウィークを控えた本邦輸出企業のドル売りオーダーが94円台半ばに控えていることもあり、上値が限定される可能性も否定できない。

ギリシャの支援要請報道から一時的に安心感を誘ったユーロ円であるが、再び売り圧力が強まっている。欧州委員とECB(欧州中央銀行)による要請内容の精査が行われることとなっているが、同要請の承諾にはユーロ加盟国のコンセンサスが必要となっている。しかし、ドイツ側からは否定的な意見も聞かれており、不透明感は依然として拭えない。また、格付け機関S&Pによるポルトガル及びギリシャの格付け引下げ、特にギリシャに関しては2段階の格下げで、投資不適格のジャンク級とされたことは市場に大きな衝撃を与えたようだ。パパコンスタンティヌ・ギリシャ財務相は格下げについて「ギリシャ経済のファンダメンタルズを反映していない」などと反論。ドイツのジョイブレ財務相も「ギリシャを見捨てることはない」などと述べたが、マーケットでは意に介されていない模様となっており、ユーロの地合いの弱さを物語っていると考えることができる。ギリシャを発端としたユーロ危機は未だに止みそうになさそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  92.60-95.00
ユーロ・円 121.00-124.50
ポンド・円 140.50-144.80

【今日の主な経済指標】

10:30 AUD  四半期消費者物価
12:00 NZD  NBNZ企業信頼感
18:30 ZAR  消費者物価指数
20:00 USD  MBA住宅ローン申請指数
03:15 USD  米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
06:00 NZD  ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利


≪2010年4月27日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
リスク回避の円独歩高となり、円安のバイアスは消える格好となったが、参加者は強い米経済指標
から本日のFOMCに期待感が高まり、「ブル」を選択。本日も、突発的に欧州関連のネガティブなニ
ュースが流れれば、消去法的に円が買われる可能性もあるが、長引く普天間問題や、民主党小沢幹
事長が政治資金問題が再捜査されることから、円高一辺倒の展開は考えにくいと思われる。テクニ
カル的には、25日移動平均線が93円付近に掛かっており、短期的なサポートラインとして意識され
そうだ。

ポンド円は「ブル」
ギリシャ懸念や欧州株価軟調を背景に一時141.600円まで下げ幅を拡大。142円を割れる局面ではオ
シレーター系の買いが目立ち「ブル」が圧倒した。英国の景気見通しにも明るさが出ており、押し
目での買い意欲は強いと言えるが、ギリシャ支援実施の目処が立つまでは欧州通貨を敬遠する動き
が続く可能性もあるだろう。また、ゴールデン・ウィークや月末も接近していることから、リスク
テイクも手控える展開となりそうだ。

豪ドル円は「ブル」
引続き来週の利上げ期待から「ブル」優勢の展開。現時点では来週火曜日の豪準備銀行理事会での
利上げは五分五分と言えよう。金融政策を占う上でも本日発表される豪第1四半期消費者物価指数
がカギとなりそうだ。テクニカル的には25日間移動平均線が差し掛かる86円付近が短期的な下値目
途となっていたが、この水準を割り込んだため下落に拍車が掛かることも考えられることから注意
を払いたい。

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