FXレポート

不透明要因多く『質への逃避』となるか!

昨日のドル円は、先週末に米金融大手ゴールドマン・サックスがサブプライムローン関連の金融商品取引で訴追されたことを背景にリスク回避志向が拡大したことで、東京市場序盤から91.95円付近での弱含みの推移となった。さらに日経平均がNYダウの大幅安を受けて前週末比-172円で寄り付いたことや、中国国務院が不動産市場の新たな抑制策を打ち出したことを受けて上海総合株が下落幅を拡大すると、一時91.593円と約4週間ぶりの安値をつけた。しかし、NY時間に入り、米シティ・グループの決算が良好だった事、そして米3月景気先行指標総合指数が強い内容となった事で米株式市場が堅調に推移。ここまでのリスク回避志向により積みあがった円ロングが解消すると、ジリジリと上値を拡大し92円台を回復。92.392円で取引を終えた。

ユーロ円は、ゴールドマン・サックスの提訴報道が尾を引き、リスク回避の流れから約50銭ほど下方に窓を開けてのスタートとなった。また、英第2野党・自由民主党の支持率拡大を背景とした英政局不安の高まりによるポンドの下落が波及したほか、ギリシャ支援協議はアイスランドの火山噴火の影響により延期が決定。これにより、リシャ問題への不透明感が強まったことで嫌気された。加えて、アイスランドの噴火の影響で欧州各国で航空機が飛行禁止となっており、これが長期化するようなら欧州経済に大打撃を与える恐れがあるとの懸念の高まりから、欧州時間では一時123.149円まで下落。引けにかけてはNYダウの堅調や、ドル円の上昇につれて124.578円まで反発し取引を終えた。
        
                      本日の展開

さて本日のドル円だが、米ゴールドマン・サックス提訴もあり、リスク回避の流れから安全通貨のドルと円が並行して買われやすい局面と言えよう。しかし、米国は利上げ観測が後退しているほか、長期金利も大幅に低下していることで、ドル売りがやや優勢となりそうだ。また、中国では金融引き締め観測や人民元切り上げ観測に加えて変動相場制導入の観測まで浮上している。金融市場が混乱し、先行きへの不安感が強まると比較的リスクが低く流動性が高い米債券が買われる可能性があるだろう。米債権が買われ、長期金利がさらに低下した場合は、円買いの口実となる事から、前日安値91.593円を下回る展開も視野に入れておきたい。

ユーロ円は本日、ギリシャの15億ユーロ・13週間物の短期債の入札を実施する一方、82億ユーロの国債償還を迎えることから、資金繰りは綱渡り状態が続く見通しとなっている。ギリシャの資金繰りや中国の金融引き締め懸念、アイスランドの火山噴火による経済的損失など不確定要因も多く、欧州通貨を売って安全通貨の円を買い戻す動きが優勢となりそうだ。テクニカル的には4月8日安値の123.432円を割り込んだ為、弱気局面再開の可能性が高まっていると考えられる。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  91.20-93.00
ユーロ・円 123.10-125.80
ポンド・円 139.30-143.40

【今日の主な経済指標】

10:30 AUD 豪準備銀行(中央銀行)金融政策会合議事要旨公表
15:00 DEM 生産者物価指数
17:00 EUR 経常収支
17:30 GBP 消費者物価指数
17:30 GBP 小売物価指数
18:00 DEM ZEW景況感調査
18:00 EUR ZEW景況感調査
22:00 CAD カナダ銀行 政策金利

≪2010年4月19日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
ゴールドマン・サックスに関する問題が浮上している中、米シティグループの決算が良好だった事で参加者
のセンチメントは回復し、ポジションも若干だが「ブル」が優勢となった。本日は米経済指標に目立ったも
のがない為、引き続きギリシャの資金繰り不安や、中国の金融引き締め・人民元切り上げ観測、アイスラン
ドの火山噴火の影響など外部の不透明要因に影響される一日となりそうだ。
 
ポンド円は「ベア」
英ポンド円は139円台前半まで一時的に水準を下げる展開に、売られ過ぎのストキャスティクス買いサイン
から、逆張り派の買いが優勢となり「ブル」。しかし、英総選挙を控える英ポンドは、政局不安が重しとな
っており売り圧力が強まっている。加えて、アイスランドの火山噴火の影響が拡大し、英国の空港閉鎖が延
長されるなど、英国や欧州に経済的損失が広がる可能性も懸念されている。今日はさらなる下落リスクに備
えるべきだろう。

豪ドル円は「ブル」
中国の金融引き締め観測がくすぶっており、中国との貿易の比重が高い豪経済に対する影響が懸念される可
能性から、上値の重い展開となった。金利差から参加者のポジションは引き続き「ブル」優勢だが、本日の
RBA(豪準備銀)議事録で公表される内容に、今後の利上げ余地の可能性が少なくなっていることを確認す
る発言が含まれれば、豪ドルに対する売りが強まる可能性は高く、ロングの深追いには注意が必要となろう。

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