FXレポート

ギリシャ財政問題、再びクローズアップか

昨日のドル円は序盤、前日の米株式市場の上昇を受けて日経平均が小高く始まったことから、ジリジリとドル高の展開となった。その後、中国の第1四半期GDP(予測:11.7% 結果:11.9%)が市場予想を上回ったことを背景にリスク選好度の高まりから円が売られドル円は一時93.521円まで上昇。しかし、中国の金融引き締め懸念を背景に上海株式市場が下落すると、一転リスク回避の動きとなり、93.20円付近まで反落する展開となった。欧州勢の参入後は、ギリシャ国債とドイツ国債の利回り格差拡大を受け、ギリシャの財政問題が再び意識されたことから、リスク回避の流れが鮮明となりドル円は一時92.898円まで下げ幅を拡大した。しかし、前日安値の92.826円手前になると、ショートカバーが入り93.10円前後まで値を戻した。NY市場の経済指標では、米新規失業保険申請件数(予測:44万件 結果:48.4万件)と雇用情勢の悪化を受け、指標発表直後は93.038円まで下落したものの、4月ニューヨーク連銀製造業景気指数(予測:24.00 結果:31.86)が市場予想を上回ったため、一方的に売り進む展開にはならなかった。その後、米10年債利回りが一時上昇したことにつれて円売りドル買いが広がり93.40円まで押し戻されたものの、米10年債利回りが低下すると上値の重い展開となり93.063円で取引を終えた。

ユーロ円は序盤、高値警戒感から軟調な値動きとなっていたが、中国経済指標の強い結果がユーロ買いのサポート材料となり127円台半ばでの推移となった。しかし、ギリシャ国債とドイツ国債の利回り格差が拡大すると、再びギリシャへの信用不安が呼び起こされ、一方的なユーロ売りの展開となり安値125.818円まで下落した。その後、ギリシャ国債とドイツ国債の利回り格差が徐々に緩和されたことから、ユーロに買い戻しが入り126.65円付近まで値を戻した。しかし、ドル円が下げに転じたことで連れ安となり126円を割り込んだが、引けにかけ反発し126.327円で取引を終えた。


                      本日の展開

本日のドル円だが、米国の住宅着工件数(前回:57.5万件 予測:61万件)やミシガン大学消費者態度指数(前回:73.6 予測:75.0)などの発表が多数予定されており市場の関心を誘っている。また、市場予想ではともに改善となっており、米連銀の景気指数も改善されていることから結果次第で93.70円付近の上値抵抗線を上抜けできるか注視したい。一方では、中国の金融引き締め懸念が強まっており、今後、中国は人民元を切り上げるタイミングを慎重に計りながら対応していくのではないかと思われ、下値への警戒が必要となろう。また、ここにきて再びギリシャの財政問題がクローズアップされていることから、ポジションの傾けすぎには注意したい。

ユーロ円は、収束に向かいつつあったギリシャの財政問題が再び意識され、リスク回避一色の展開となっている。本日はギリシャ問題が中心の値動きになろうが、ギリシャの資金調達における不透明感が漂っていることから、上値の重い展開と予想される。また、ギリシャ以外にもPIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)と呼ばれ財政不安を抱えている国が多いユーロにとって厳しい状況がまだまだ続きそうだ。ギリシャの財政問題を乗り越えることが、今後のユーロの発展では重要であろう。


[今日の予想レンジ]

ドル ・円   92.100- 93.800
ユーロ・円 124.900-127.600
ポンド・円 142.800-145.200


【本日の主な経済指標】

16:15 CHF  生産者輸入価格[前月比]
18:00 EUR  貿易収支
18:00 EUR  消費者物価指数(HICP、改定値)[前年同月比]
21:30 CAD  製造業出荷[前月比]
21:30 USD  住宅着工件数[年率換算件数]
21:30 USD  建設許可件数[年率換算件数]
21:30 USD  住宅着工件数[前月比]
21:30 USD  建設許可件数[前月比]
22:55 USD  ミシガン大学消費者態度指数・速報値


≪2010年4月15日クローズ時点≫

 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」


 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル円は「ブル」
リスク選好度の高まりから円が幅広く売られ、参加者は「ブル」を選択。イースター休暇の
影響もあり、新規失業保険申請件数の結果が予想より弱かったこと背景に小安く始まったNY
株式市場も、米NAHB住宅市場指数(予測:16 結果:19)の強い結果を受け反発したことから
6連騰となった。引き続き米企業の好決算を背景とした株式上昇が続けば、雇用環境の改善
も期待され米景気が回復基調に入ったとの思惑から、上値を試す展開もありそうだ。

ユーロ円は「ブル」
ギリシャの財政問題が重石となりユーロは売られていたが、参加者は一時的なものとの見方
から「ブル」を堅持。また、短期的には投機筋のユーロ売り圧力は強まっているが、ギリシ
ャのデフォルトリスクはEUと国際通貨基金(IMF)による支援策があることから、中長期的
にみれば緩和されそうだ。本日は、欧消費者物価指数(前回:1.5% 予測:1.5%)の発表を控
えており、結果に左右されず、内容を見極めていきたい。

ポンド円は「ブル」
世界景気の回復期待を背景にポンド買いが強まり2010年2月3日以来となる145円台にを回復
したものの、ギリシャの財政問題が意識され、リスク回避の動きが出ると143円前半まで下
落した。売りが一巡すると、ショートカバーも入り144.226円まで値を戻している。参加者
は押し目買いとみて「ブル」を選択。しかし、本日早朝、ブラウン英首相がテレビ討論で
「経済政策運営を誤った場合、景気の2番底の可能性がある」と述べたことが嫌気されポン
ド売りが優勢となっていることから下落リスクにも十分備えたい。

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