FXレポート

リスク回避の円買一色! 再燃のギリシャ不安払拭なるか!?

ドル円は朝方、豪州のM&A関連と本邦輸入企業によるドル買いが入り、94円を超え一時94.260円まで上昇した。その後は、上値の重さが意識される値動きとなり、白川総裁のやや強気な景気認識を示したことをきっかけに円は強含み、ギリシャの信用不安再燃と相まってリスク回避の流れが強まり、ストップロスを巻き込みじりじりと円高へ傾倒していった。NY時間に入っても、米10年物国債入札の好調を背景とした米長期金利の下落、その後のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の「住宅市場で持続的回復の証拠がない」「米国経済は困難を脱していない」などと述べるなど米景気に慎重な見解が伝わったことから更に相場を冷やし、安値93.147円まで下落した。2月米消費者信用残高が市場予想(前月比:-7億ドル)を大きく下回った(前月比:-115億ドル)ことによる米個人消費の悪化懸念がNYダウの100ドル超の下落幅の原因となったことも後押ししたようで、結局引けは93.382円と終始リスク回避の展開となった。

ユーロ円は、ギリシャ財政不安の再燃を背景に売り先行となった。一方で、ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領の「ギリシャの市場での資金調達が十分でないならEUはギリシャを支援できる」との発言や、パパンドレウ・ギリシャ首相が「ギリシャの信用クライシスは支援合意で難なく終了した」と示したことなどを受け一時ショートポジション解消の気配を見せたものの、依然として懸念は根強く、高値は序盤の126.152円で、安値は124.478円、引け124.636円と安値水準で終えた。米株安やドイツ・ギリシャ間の国債利回り格差は引き続き高水準で推移していることも重しとなっているようだ。

ポンド円は、サービス部門購買担当者景気指数(PMI)(前回:58.4、予想:58.0、結果:56.5)や英5年債入札(45億ポンド)が低調だったことが嫌気され売りが強まり、朝方の143.856が高値となり、ロンドン時間の終盤にかけて安値141.786円と約2円以上下げる場面もみられた。しかしNY勢参入後は若干反発し、引け142.376円まで買い戻される展開となるなど、底堅い一面も覗かせた
                                               
                                              
                                         本日の展開

米雇用統計などの重要指標通過後、市場は要人発言に注目しているようだ。昨日は前回のFOMCで利上げスタンスをとった、ホーニグ・カンザスシティ連銀総裁は「労働市場は安定してきており景気見通しは良好」、「金融危機の一因は低金利、政策金利1%もなお緩和的で長期間の低金利維持は既に正当化できない状態だ」と依然として強気なスタンスを貫いている。しかし一方で、ダドリーNY連銀総裁は「米国の雇用は十分に回復していない」、「FF金利を長期間、低く維持する必要がある」と指摘しており、バーナンキFRB議長も「住宅市場が持続的に回復している兆候は見られていない」、「商業用不動産は依然として困難」などと不動産セクターに対して慎重な見方を示してる。米景気先行き見通しについての意見が分かれる中、当面は方向感の定まらない状況が続くと考えられるものの、低金利政策が当面維持されるとの見方は強まっっており、ドル円相場に重く圧し掛かる可能性が高そうだ。

ユーロ円は、ギリシャ問題再燃により再度弱さが目立ち始めてきた。前日は124.478円まで安値を更新しており、124.20円付近に差し掛かる25日間移動平均線が短期的なサポートとして機能しているが、もしもこの水準を割り込んだ際はユーロ売りに拍車がかかることも考えられ注意が必要だろう。また、本日はトリシェECB総裁の会見が予定されており、ギリシャ不安でEUとIMFによる支援策が合意された後だけに、どのような質問が飛び交うのか大いに参考としたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  92.500- 94.300
ユーロ・円 123.500-126.000
ポンド・円 141.300-143.700


【本日の主な経済指標】

08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)[前週分]
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)[前週分]
08:50 JPY 機械受注[前月比]
08:50 JPY 国際収支・貿易収支
08:50 JPY 国際収支・経常収支
10:30 AUD 失業率
10:30 AUD 新規雇用者数
14:00 JPY 景気ウオッチャー調査-現状判断DI
14:00 JPY 金融経済月報(基本的見解)
14:45 CHF 失業率
15:45 FRF 財政収支
15:45 FRF 貿易収支    
17:30 GBP 製造業生産指数[前月比]
17:30 GBP 鉱工業生産指数[前月比]
18:00 EUR 小売売上高[前年同月比]
18:00 EUR 小売売上高[前月比]
19:00 DEM 鉱工業生産[前月比]
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30 USD 新規失業保険申請件数


≪2010年4月7日クローズ時点≫
ドル・円   :「ブル」
ユーロ・円  :「ブル」
ユーロ・ドル :「ブル」
英ポンド・円 :「スクウェア」
豪ドル・円  :「ブル」
NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル・円は「ブル」
リスク回避姿勢が強まり下落したドルに対して散発的なロングポジションが見られ「ブル」と
なっている。大局をドル高トレンドと見る向きは強いためだが、週間石油在庫では原油積み増
し幅が市場予想を上回っており、要人発言の大半からは慎重姿勢が窺え、地合いは徐々に軟化
しつつあるようだ。9日、9:30予定のバーナンキFRB議長の発言の如何によっては、一旦91円-9
2円台を試すことも視野にいれておきたい。

ユーロ・円は「ブル」
ギリシャ不安再燃の中で、積極的なロングポジションの解消とはならず「ブル」の姿勢が堅持
されている。敏感なマーケットを見ると、先月のギリシャ支援合意による安心感の効果はかな
り低下しているようだ。先行きは不透明となっており、本日の独鉱工業生産や欧小売売上高、
トリシェ総裁の記者会見など注目度の高いイベントで安心感となる要素があれば、一時的な懸
念となり反転することも十分にあり得そうだ。

ポンド・円は「スクウェア」
英国は総選挙を来月に控えており、ポジションは「スクウェア」となっている。心理的には動
意のつきづらい地合いとなっており、ユーロ同様イベント頼りの状況と言えそうだが、本日は
発表予定のBOE政策金利は据え置き予想(1.0%)となっており、ほぼ無風となる可能性が高くポ
ジション比率の変化を見逃さないよう要注意だ。        
 

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