日米の金融政策決定会合の結果に注目
金曜日のドル円は、日銀による追加金融緩和期待を背景に円が主要通貨に対し売られる展開となり、一時90.70円付近へと強含みに推移したものの、3月末決算を控えたリパトリに上値が重い展開となり、中盤にかけて90.50円付近へと反落した。売り買い一服後は白川日銀総裁が「量拡大だけで景気刺激効果は限定的」との見解を示したこともあり、値を戻した後は上値も限定されほぼ同水準での小動きが続いた。NY時間に入ると注目された米小売売上高-2月が予想以上(-0.2%)に強い結果(0.3%)となった。事前予想では、大雪の影響で減少が見込まれていただけに、プラスとなったことはサプライズとして受け止められた。また、小売の強い結果を受け、NYダウ先物や欧州各国の株式市場も上昇、株価上昇を背景に、リスク志向が強まったことから一時91.084円まで上値を拡大。しかしその後は、ミシガン大学消費者信頼感指数-3月(速報値)の弱い結果で嫌気され、値を下げる展開となり最終的には90.519円で取引を終えた。
ユーロ円は、サルコジ仏大統領が「弱いユーロを支持しない」と発言したことがユーロのサポート要因となる中、日銀の追加金融緩和期待を背景に日経平均が引けにかけて一段高となるなど、リスク選好の高まりを背景とした円売りが強まり、欧州市場序盤にかけて124.30円付近へと上昇した。また、一部では中国人民銀行が預金準備率を再度引き上げるとの観測もあり、買い安心感につながったのか、ユーロは堅調に推移。ユーロ圏の1月鉱工業生産が1.7%と1989年8月(3.0%)以来の伸びを記録した事や、オーストリアの現地紙が「ギリシャはEUから550億ユーロの支援を受ける可能性がある」との観測記事を報じた事からユーロを押し上げる結果となった。引きにかけては利益確定の売りなどが散見し反落したが、124円台をしっかりキープし、124.603円で取引を終えた。
今週の展開
さて、今週のドル円だが、日米の金融政策決定会合の結果に注目が集まる。16日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されており、先週の米小売売上高が予想を上回ったことで今回のFOMCで「長期間」の低金利長期継続を示唆する文言を微調整するとの見方も浮上している。さらに日銀が追加の金融緩和を実施するとの思惑から、円が売られやすい地合いが続く可能性は高いと思われる。しかし反面、日銀の金融緩和については期待が先行している分、結果公表後に材料出尽くしとして円は買い戻される可能性も考えられることから、失望感が強まればドル円は急落する可能性もある。また、テクニカル面では年初来高値と安値の61.8%戻し91.630円近辺が上値抵抗線と考えられる。また、12日現在91.83円に控える200日線が来週には、徐々に低下傾向となっており、61.8%戻しをさらに重くする要因となるだろう。91円台に上値を抑えられ、89円台を探るレンジ相場となることも想定しておきたい。
ユーロ円は、先週発表された中国の消費者物価指数及び生産者物価指数からインフレ懸念の拡大もみられ、月内に中国人民銀行の利上げが実施されるのではと考えられることから、円高に推移する可能性も考慮する必要があろう。しかし、本日はユーログループ(ユーロ圏財務相会合)と16日のEU財務相会合が控えており、ギリシャが財政赤字削減計画の進展報告をEUに提出する予定となっている。ギリシャを巡る信用不安がさらに沈静化する可能性があり、また、EUがソブリン債CDSの空売り規制を検討していることから、投機筋のショートカバーが強まる展開をメインシナリオとしたい。又、本日から夏時間に移行する為、冬時間に比べ1時間早まるので注意したい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 89.00-91.70
ユーロ・円 122.00-126.90
ポンド・円 133.90-139.60
【今週の主な経済指標】
03/15
17:15 (スイス) 2月生産者輸入物価指数
21:30 (米) 3月NY州製造業景気指数
22:00 (米) 1月財務省対米証券投資
22:00 (米) 1月対米証券投資
22:15 (米) 2月設備稼働率
22:15 (米) 2月鉱工業生産
03/16
16:45 (仏) 2月消費者物価指数
19:00 (ユーロ) 2月消費者物価指数
19:00 (独) 3月ZEW景気期待指数
20:45 (米) 週間チェーンストア売上高
21:30 (米) 2月住宅着工許可件数
21:30 (米) 2月住宅着工件数
21:30 (米) 2月輸出物価指数
21:30 (米) 2月輸入物価指数
21:30 (加) 第4四半期農業労働生産性指数
21:55 (米) 週間レッドブック大規模小売店売上高
03/17
03:15 (米) FOMC(政策金利)
16:00 (独) 2月卸売物価指数
20:00 (米) 週間住宅ローン借換申請指数
21:30 (米) 2月生産者物価指数
21:30 (米) 2月生産者物価コア指数
21:30 (加) 1月卸売売上高
03/18
16:15 (スイス) 2月貿易収支
17:15 (スイス) 第4四半期鉱工業生産
18:00 (ユーロ) 1月経常収支
18:30 (英) 2月マネーサプライ
19:00 (ユーロ) 1月貿易収支
21:30 (米) ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁ディスカッション
21:30 (米) ホーニグ米カンザスシティー地区連銀総裁ディスカッション
21:30 (米) 2月消費者物価コア指数
21:30 (米) 第4四半期経常収支
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数
21:30 (米) 2月実質所得
23:00 (米) 2月景気先行指数
23:00 (米) 3月フィラデルフィア地区連銀業況指数
03/19
16:00 (独) 2月生産者物価指数
16:45 (ユーロ) トリシェECB総裁講演
20:00 (加) 2月消費者物価コア指数
20:00 (加) 2月消費者物価指数
21:30 (加) 1月小売売上高
≪2010年3月12日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米小売売上高の好結果を受け、ドル円は一時2月23日以来となる91円台まで上昇したこと
で参加者のバイアスも「強気」となった。しかし91円示現も一時的で利益確定売りや輸
出勢などの売りオーダーもあって上値を抑えられる展開となった。週末の91円台乗せ後
の動きを考えれば、まだ上値余地が残っていると考えることもできようか。
ポンド円は「ブル」
先週のBOE四半期調査でのインフレ見通しの上昇、英政府への懸念後退などポンドにとっ
て好感できる材料から前日比1.223円上昇、参加者も「ブル」で反応した。しかし、依然
英国の景気下振れ懸念は強く、財政赤字懸念や格下げリスクを鑑みれば積極的に買い進
むべき局面とは言えないだろう。今週はBOE議事録が公表されるが、今後のポンド相場の
転換期となるかどうか注目したいところだ。
豪ドル円は「ブル」
中国経済が予想以上の伸びをみせる中、中国人民銀行が緩やかに金融緩和を解除していく
姿勢を示していることが安堵感につながり、参加者は「ブル」。また、急速に切り上がる
5日線をサポートラインに上昇しており、今週85円を目指す可能性もあり得るだろう。た
だ、ギリシャ信用不安の一服から、リスク選好の拡大を背景に、金など安全資産の流出に
よる資源国通貨への影響には注意が必要となろう。1月下旬以来の高値圏にあることから、
深追いは避けたいところ。
ユーロ円は、サルコジ仏大統領が「弱いユーロを支持しない」と発言したことがユーロのサポート要因となる中、日銀の追加金融緩和期待を背景に日経平均が引けにかけて一段高となるなど、リスク選好の高まりを背景とした円売りが強まり、欧州市場序盤にかけて124.30円付近へと上昇した。また、一部では中国人民銀行が預金準備率を再度引き上げるとの観測もあり、買い安心感につながったのか、ユーロは堅調に推移。ユーロ圏の1月鉱工業生産が1.7%と1989年8月(3.0%)以来の伸びを記録した事や、オーストリアの現地紙が「ギリシャはEUから550億ユーロの支援を受ける可能性がある」との観測記事を報じた事からユーロを押し上げる結果となった。引きにかけては利益確定の売りなどが散見し反落したが、124円台をしっかりキープし、124.603円で取引を終えた。
今週の展開
さて、今週のドル円だが、日米の金融政策決定会合の結果に注目が集まる。16日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されており、先週の米小売売上高が予想を上回ったことで今回のFOMCで「長期間」の低金利長期継続を示唆する文言を微調整するとの見方も浮上している。さらに日銀が追加の金融緩和を実施するとの思惑から、円が売られやすい地合いが続く可能性は高いと思われる。しかし反面、日銀の金融緩和については期待が先行している分、結果公表後に材料出尽くしとして円は買い戻される可能性も考えられることから、失望感が強まればドル円は急落する可能性もある。また、テクニカル面では年初来高値と安値の61.8%戻し91.630円近辺が上値抵抗線と考えられる。また、12日現在91.83円に控える200日線が来週には、徐々に低下傾向となっており、61.8%戻しをさらに重くする要因となるだろう。91円台に上値を抑えられ、89円台を探るレンジ相場となることも想定しておきたい。
ユーロ円は、先週発表された中国の消費者物価指数及び生産者物価指数からインフレ懸念の拡大もみられ、月内に中国人民銀行の利上げが実施されるのではと考えられることから、円高に推移する可能性も考慮する必要があろう。しかし、本日はユーログループ(ユーロ圏財務相会合)と16日のEU財務相会合が控えており、ギリシャが財政赤字削減計画の進展報告をEUに提出する予定となっている。ギリシャを巡る信用不安がさらに沈静化する可能性があり、また、EUがソブリン債CDSの空売り規制を検討していることから、投機筋のショートカバーが強まる展開をメインシナリオとしたい。又、本日から夏時間に移行する為、冬時間に比べ1時間早まるので注意したい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 89.00-91.70
ユーロ・円 122.00-126.90
ポンド・円 133.90-139.60
【今週の主な経済指標】
03/15
17:15 (スイス) 2月生産者輸入物価指数
21:30 (米) 3月NY州製造業景気指数
22:00 (米) 1月財務省対米証券投資
22:00 (米) 1月対米証券投資
22:15 (米) 2月設備稼働率
22:15 (米) 2月鉱工業生産
03/16
16:45 (仏) 2月消費者物価指数
19:00 (ユーロ) 2月消費者物価指数
19:00 (独) 3月ZEW景気期待指数
20:45 (米) 週間チェーンストア売上高
21:30 (米) 2月住宅着工許可件数
21:30 (米) 2月住宅着工件数
21:30 (米) 2月輸出物価指数
21:30 (米) 2月輸入物価指数
21:30 (加) 第4四半期農業労働生産性指数
21:55 (米) 週間レッドブック大規模小売店売上高
03/17
03:15 (米) FOMC(政策金利)
16:00 (独) 2月卸売物価指数
20:00 (米) 週間住宅ローン借換申請指数
21:30 (米) 2月生産者物価指数
21:30 (米) 2月生産者物価コア指数
21:30 (加) 1月卸売売上高
03/18
16:15 (スイス) 2月貿易収支
17:15 (スイス) 第4四半期鉱工業生産
18:00 (ユーロ) 1月経常収支
18:30 (英) 2月マネーサプライ
19:00 (ユーロ) 1月貿易収支
21:30 (米) ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁ディスカッション
21:30 (米) ホーニグ米カンザスシティー地区連銀総裁ディスカッション
21:30 (米) 2月消費者物価コア指数
21:30 (米) 第4四半期経常収支
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数
21:30 (米) 2月実質所得
23:00 (米) 2月景気先行指数
23:00 (米) 3月フィラデルフィア地区連銀業況指数
03/19
16:00 (独) 2月生産者物価指数
16:45 (ユーロ) トリシェECB総裁講演
20:00 (加) 2月消費者物価コア指数
20:00 (加) 2月消費者物価指数
21:30 (加) 1月小売売上高
≪2010年3月12日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米小売売上高の好結果を受け、ドル円は一時2月23日以来となる91円台まで上昇したこと
で参加者のバイアスも「強気」となった。しかし91円示現も一時的で利益確定売りや輸
出勢などの売りオーダーもあって上値を抑えられる展開となった。週末の91円台乗せ後
の動きを考えれば、まだ上値余地が残っていると考えることもできようか。
ポンド円は「ブル」
先週のBOE四半期調査でのインフレ見通しの上昇、英政府への懸念後退などポンドにとっ
て好感できる材料から前日比1.223円上昇、参加者も「ブル」で反応した。しかし、依然
英国の景気下振れ懸念は強く、財政赤字懸念や格下げリスクを鑑みれば積極的に買い進
むべき局面とは言えないだろう。今週はBOE議事録が公表されるが、今後のポンド相場の
転換期となるかどうか注目したいところだ。
豪ドル円は「ブル」
中国経済が予想以上の伸びをみせる中、中国人民銀行が緩やかに金融緩和を解除していく
姿勢を示していることが安堵感につながり、参加者は「ブル」。また、急速に切り上がる
5日線をサポートラインに上昇しており、今週85円を目指す可能性もあり得るだろう。た
だ、ギリシャ信用不安の一服から、リスク選好の拡大を背景に、金など安全資産の流出に
よる資源国通貨への影響には注意が必要となろう。1月下旬以来の高値圏にあることから、
深追いは避けたいところ。