FXレポート

ドル円は材料難、レンジ相場の様相!?

ドル円は序盤、方向感の乏しい値動きとなったNY市場での流れを引き継ぎ、90.30円前後での小動きとなった。しかし、東京市場中盤では本邦輸出企業のドル売りが活発化したほか、ここ最近の上昇を受けて利益確定の売りが優勢となる中、日経平均が軟調に推移するなどリスク回避の円買いを促し89.90円付近へと下落。売り一巡後は90円前後で一進一退の展開となったが、欧州市場に英米系格付け会社フィッチが「財政健全化措置が不十分の場合はポルトガルを格下げする可能性がある」との見解を示したことから、ユーロ円を中心に円買いが優勢となり、89.630円まで値を下げた。NY引けにかけ、米3年債入札は応札倍率が3.13倍と過去6回の平均2.98倍を上回るなど好調な結果に米10年物国債利回りが上昇に転じたことが意識され、90円台を試す局面も見られたが大台には届かず、89.967円で取引を終えた。

ユーロ円は序盤、日経平均が軟調な値動きとなったこともあり122.30円付近へと下落。その後も、GLOBEXのNYダウ先物や原油など商品相場も冴えない値動きとなる中、英米系格付け会社フィッチが「財政健全化措置が不十分の場合はポルトガルを格下げする可能性がある」と示唆。更に「英国は2014-15年までに、赤字を対GDP比3%まで縮小させる必要ある」「ユーロ圏には、ソブリンデフォルトの可能性ある」とコメントした事で、リスク回避姿勢からユーロ売りが強まり、122円を割れると121.455円まで下げ幅を拡大。ただ、売り一巡後は値を戻す展開となり、安く始まったNYダウが上昇に転じたほか、商品相場が底堅く推移したことが買い戻しを促し、122円台を回復。122.361円で取引を終えた。

                    本日の展開

さて本日のドル円だが、90円台定着にはまだ時間がかかるかも知れない。米国の労働市場の改善が進んでいることでリスクは緩和されたものの、積極的にリスクテイクするような材料は見当らず、やや方向性の見定めが難しい展開が想定される。中期的にみれば日本の追加金融緩和観測や円売り介入の再開観測、米長短金利の上昇などがサポートとなることで、ややドル買いに分がある状況か。

ユーロ円は、ギリシャ問題が徐々に消化され不安感も後退しつつあったが、格付け機関フィッチは英国を始めユーロ圏にはソブリンデフォルトの可能性があると指摘したことで、ソブリンリスクが高まり、米雇用統計発表前の水準である121円台前半まで押し戻された。ギリシャを発端としたユーロ危機はドミノ倒し的に影響を拡大し、不透明な部分も多く油断できない状況である。欧州にポジティブなニュースが出てくればユーロの買い戻しが加速して大きく上昇する可能性も捨てきれないが、不確定要因が錯綜する状況の中、売り買いどちらにもポジションを傾けづらく、各国要人発言に注視しながら、どちらにでも動けるように現時点では中立スタンスで様子をみるのが賢明とも思える。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  89.50-90.80
ユーロ・円 120.00-123.80
ポンド・円 133.00-136.50

【今日の主な経済指標】

08:50(日) 2月企業物価指数
08:50(日) 1月機械受注
09:30(豪) 1月住宅融資額
16:00(独) 2月消費者物価指数(確報値)
16:00(独) 1月貿易収支
16:45(仏) 1月鉱工業生産
18:30(英) 1月製造業生産
18:30(英) 1月鉱工業生産
21:00(米) 週間住宅ローン借換申請指数
24:00(米) 1月卸売在庫
24:00 (米) 1月卸売売上高
05:00(NZ) NZ準備銀行理事会(政策金利)

≪2010年3月9日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 米雇用統計の好結果を受けて世界景気の先行き懸念は後退しており、米景気回復の兆しが
 みられることから、引き続き「ブル」優勢。しかし、90円を割れて徐々に米雇用統計の上
 昇分を吐き出す格好となっている。米雇用統計直前のレベルである89.55-60円が目先の下
 値目処として意識されそうだ。もっとも、欧州圏のソブリンリスクが沈静化するまでドル
 円は、対ユーロで連動する可能性は高く、一方的に円高が進む状況も考えにくい。今週金
 曜日に発表される米小売売上高とミシガン大学消費者信頼感指数の発表までは、方向感の
 乏しいレンジ相場となる可能性も視野に入れておきたい。

 ポンド円は「ブル」
 130円台では値ごろ感からか参加者の「ブル」が継続しているが、英国の景気下振れ懸念や
 財政悪化懸念、ソブリン格下げ観測などポンドの悪材料も払拭されていないことから、ポ
 ンドを買いづらい状況といえよう。しかし、年初から2ヶ月で10%超下落し売られ過ぎ感、
 割安感が出ていることも確かではあるが、押し目を狙う場合は慎重に仕掛けていきたい。

 豪ドル円は「ブル」
 豪ドル円は堅調。アジア時間に発表されたANZ求人広告件数-2月が19.1%となり、現行基準
 で統計を開始以来最高となったことで、豪経済の回復基調を改めて確認。今回の結果を受
 け、追加利上げが早まるのでは?との期待が強まったことが参加者心理をサポートし、7割
 前後が「ブル」となっている。今後注目が集まるのは、貿易相手国である中国経済指標と
 考えられ、木曜日に発表される消費者物価指数、生産者物価指数、鉱工業生産、小売売上
 高、固定資産投資といった景気指標が上振れすれば豪ドルのサポート要因となるだろう。

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