FXレポート

今夜は、米10年債の入札、地区連銀経済報告(ベージュ・ブック) 

昨日のドル円は、3連休明けの東京市場で仲値公示後に実需筋によるドル売りが持ち込まれると軟調にスタート。午後に入ると模様眺めムードから方向感に乏しく、92.20円付近でもみ合いとなったが、欧州勢が参入すると軟調な欧州各国株・米ダウ先物を背景としたリスク回避の円買いや、前日、菅財務相とガイトナー米財務長官が電話会談を行い「為替市場安定が望ましいとの見解で一致した」と報じられたことで「日本は円安誘導しづらくなるのでは?」との憶測が、円の支援材料となってじり安の展開となり91円台へと軟化。その後も米貿易収支-11月は-364億USDと前回(-332億USD)から、赤字額が拡大するなど91円割れを示現。引けにかけて、米3年債入札は落札最高利回りが1.490%と、09年8月以来の高水準となったことを手がかりに、米長期金利が反発したことでドル買いの場面もあったが限定的、91.009円で取引を終えた。

ユーロ円は序盤、中国政府系ファンド筋から円について引き続き下落するとの見通しが示され、一時市場が円売りに反応し、ユーロ円は133円台後半での推移となったものの、ユーロ債償還の憶測によるユーロ売りが見られると下値を拡大。さらにダウ先物の下落を背景にリスクポジションを閉じる動きが出やすかったことで円買い・ユーロ売りが加速。また、WTI原油先物相場を始め商品価格も大幅安となったことを受け、終日リスクオフとなり、132円割れを示現し、131.816円で引けた。

豪ドル円も急落。東京市場序盤、日経平均の冴えない値動きやGLOBEXのNYダウ先物の軟調推移を背景にリスク回避の売りが強まったほか、1年半ぶりの大幅減少となった豪住宅ローン件数もあって下げ幅を拡大。また、中国人民銀行が銀行の預金準備率を1月18日付で0.5%ポイント引き上げることを発表。中国人民銀行による流動性引き締めが中国経済、さらには中国が主要貿易相手国の豪経済にも打撃を与えるのでは?との見方につながり、売りが加速。また、年末から約6円近く上昇していたこともあって利益確定の売りも手伝って、1.952円安の83.721円で取引を終えた。

                     本日の展開

さて本日のドル円だが、円が久しぶりの急騰となった。菅財務相の円安発言や米雇用統計の思惑で1/8には一時93.779円まで上昇したものの、昨日は90.702円まで下落し、昨年12月21日以来の安値圏まで調整となった。反発も非常に悪く、ある意味で元来の円高が回復したようなムードとなっている。今回は米早期利上げ観測の後退を背景としたドル売りが優勢となるなど、米金利見通しを巡る思惑に影響されやすい地合いが継続しており、為替相場と米長期金利動向の相関性が高い中、今夜は米10年債の入札結果などを受けた米債券市場の動向に注目が集まるだろう。また、本日28:00(14日4:00)に地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)の公表が予定されており、経済状況にある程度の改善を示すことができるのか注視したい。

ユーロ円は中国による金融引き締め政策が、世界景気の回復にブレーキをかけるとの観測が浮上したことで、リスク許容度の変化には注意が必要となろう。また、ギリシャのパパコンスタンティヌス財務相が、財政赤字削減計画を来週初めにもEUに提出すると述べ、またIMF(国際通貨基金)が財政管理や税制について支援の可能性を協議するために代表団を派遣するなど、ギリシャ信用問題の打開に向けた取り組みが進められている。しかし一方で、米格付け会社ムーディーズが、ポルトガルが信頼できる財政赤字削減策をとらなければ、同国の格付けを引き下げる可能性があるとしており、欧州の潜在的リスクには不透明感を拭えず、米金利引上げ期待はやや後退しているものの、EU財政赤字国への不安からユーロの上値を重たくしそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  90.00-91.80
ユーロ・円 130.00-132.00
ポンド・円 146.00-148.00

【今日の主な経済指標】

16:45(仏) 12月消費者物価指数
19:00(ユーロ) 11月鉱工業生産
21:00(米) 週間住宅ローン借換申請指数
04:00(米) 米地区連銀経済報告
04:00(米) 12月財政収支

≪2010年1月12日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 PBOC(中国人民銀行)が預金準備率を50bp引上げると発表したことで、円買いを誘ったようだ。ここ最近の
 円安要因だった菅副総理兼財務相の円安誘導発言も日米財務相会談を控えて、目先は封印される可能性が
 高い。また、短期的なサポートとして期待された21日間移動平均線(91.50円)を割り込み、テクニカル的
 な地合いが弱まっているため、軟調な展開が続く可能性もありえるだろう。参加者は下落局面での「ブル」
 に変わりはないものの、今夜は「米入札」「ベージュブック」と重要発表が控えており、発表前は中立スタ
 ンスで望みたい。

 ポンド円は「ブル」
 中国人民銀行が、金融機関が中銀に預け入れる預金準備率を18日から引き上げると発表。同国が金融引き締
 めを実施するのは約1年半ぶりとなったことで安全通貨とされる円買いに拍車が掛かりポンド円も急落し一
 時146.627円まで下値を拡大。147円を割れる局面では「ブル」優勢。英国は景気回復の遅れや財政悪化懸念
 がネックとなりポンド円も積極的に買いづらいものの、日本もJALの上場廃止向けた動きや、景気回復の遅れ、
 デフレリスクを背景に円も売られやすい地合いにあることは変わりなく、バイアスは傾けにくいだろう。

 豪ドル円は「ブル」
 中国の預金準備率引き上げを受けてリスク回避の動きが強まっており、特に商品市場が軒並み下落しているこ
 とで豪ドルを始め資源国通貨が弱含んだ。参加者は、米国の早期利上げ観測の後退や日本の低金利長期化観測、
 追加金融緩和観測の高まりから、「ブル」を継続している。豪国の雇用データも好調であることから、今回の
 ように売られる場面では慎重な押し目買いもいいだろう。


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