FXレポート

波紋広がるドバイショック!!

金曜日のドル円は、大手格付け機関のS&Pがドバイを拠点とする4銀行の信用格付けを引下げ見通しを発表したことに加え、ドバイの政府系投資持ち株会社ドバイワールドが全債務について支払いの繰り延べを求めたことを背景にリスク回避の動きが活発化、85円台まで下落すると個人投資家の損失確定売りを巻き込み、そのまま急落して84.810円まで下値を切り下げる展開となった。しかし、藤井財務相が「米欧当局とは臨機応変に協議する。今の動きは異常であり、適切な対応をとることもありうる」と協調介入を示唆する発言をしたことから、短期筋からのショートカバーなどが入り反発、85円台を回復。その後も管副総理大臣から「急激な為替の動きは好ましくない」など、円高を警戒する発言が相次いだことから、介入警戒感が強まり更に上げ幅を拡大、86円半ばと前日終値付近まで上昇し86.410円で引けた。

ユーロ円も中東の信用不安をきっかけにエクスポージャーが大きいとされる欧州金融機関への懸念が広がり、さらにECBの緊急利下げの噂が流れたこともユーロのマイナス要因となり、129.80円から126.95円付近まで約3円も急落。しかし、日本の政府要人から円高けん制発言が相次いだほか、日銀のレートチェック観測もあり反発。その後は欧州株が落ち着きを取り戻したことや、「東京で円高が進みすぎた反動」からジリジリと上昇すると129円台まで回復し、129.442円で取引を終えた。

                          今週の展望

今週のドル円は、ドバイショックをきっかけに84円台まで急落したことで市場参加者の一部では95年以来の80円割れも徐々に意識され始めた。ドバイショックの欧米金融市場へのインパクトは未知数であることから、株安・円高の負の連鎖が強まる可能性は排除できない。日本政府は85円近辺になると、口先介入とすると思われるが、繰り返し発言することで効果は薄れていくだろう。実際の介入や米国との政策協調など抜本的な対策が出てくるまでは警戒したいところだ。さらに今週は米11月雇用統計の発表を控えており、思惑的な動きから荒れた展開も十分考えられ、突発的なフローには注意を払いたい。
     
ユーロ円は米ウォールストリートジャーナルはドバイの債務800億ドルの半分の400億ドルは欧州の銀行が債権者であると見積もっており、欧州で金融不安が活発になるとの見方も強まっている。原油先物市場やNY金先物市場も軟調な展開が続いており、今後はリスク回避の欧州通貨売り・円買いとなることも考えられるため、下値を模索する展開には注意したい。また、今週はECBで政策金利の発表があるが、通貨当局による金融政策のスタンスに変化が見られるかどうか注目が必要だろう。一部報道では利下げに踏み込むのではとの声も聞こえており、コメント内容によっては更なる円買いを呼び込む恐れがあるため注意したい。

オセアニア通貨も、これまでの株高・商品高・資源国通貨高の流れが逆回転する可能性は否定できない。世界的な株安連鎖や金・原油など商品相場の大幅下落から、キャリートレードの巻き戻しが強まり、今まで買い優勢だったオセアニア通貨は売られやすい地合いが続くことも考えられ、ドバイショックの全貌が明らかになるまでは、下値を模索する展開を想定しておくべきだろう。


  [今週の予想レンジ]
 ドル ・円  83.00-88.00
 ユーロ・円 127.00-132.00
 ポンド・円 135.00-145.00 

【今週の主な経済指標】
11/30
06:45(NZ) 10月住宅建設許可             
08:50(日) 10月鉱工業生産(速報値)        
16:00(独) 10月小売売上高        
16:45(仏) 10月生産者物価指数    
18:30(英) 10月消費者信用残高        
22:30(加) 第3四半期GDP               
22:30(加) 10月生産者物価指数    
22:30(加) 10月原材料価格
23:45(米) 11月シカゴ購買部協会景気指数    
     
12/1
09:30(豪) 10月住宅融資額          
12:30(豪) 豪準備銀行理事会(政策金利)              
15:45(スイス) 第3四半期GDP   
17:30(スイス) 11月PMI              
17:55(独) 11月ロイター製造業PMI               
18:00(独) 11月失業率               
18:00(独) 11月失業者数(増減)                   
18:00(ユーロ) 11月ロイター製造業PMI               
18:30(英) 11月ロイター製造業PMI               
19:00(ユーロ) 10月失業率               
21:45(米) 週間チェーンストア売上高    前週比          
22:55(米) 週間レッドブック大規模小売店売上高   
          
12/2
00:00(米) 11月ISM製造業景気指数          
00:00(米) 10月建設支出      
02:20(米) プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁講演                    
08:50(日) 11月マネタリーベース                    
19:00(ユーロ) 10月生産者物価指数              
21:00(米) 週間住宅ローン借換申請指数              
22:15(米) 11月ADP全米雇用報告       
           
12/3
04:00(米) 米地区連銀経済報告                    
08:50(日) 第3四半期法人企業統計(設備投資)               
09:30(豪) 10月小売売上高              
16:45(仏) 第3四半期失業率              
17:50(仏) 11月ロイター非製造業PMI               
17:55(独) 11月ロイター非製造業PMI               
18:00(ユーロ) 11月ロイター非製造業PMI               
18:30(英) 11月ロイター非製造業PMI                   
19:00(ユーロ) 10月小売売上高               
19:00(ユーロ) 第3四半期GDP(改定値)
21:45(ユーロ) ECB理事会(政策金利)          
22:30(ユーロ) トリシェECB総裁記者会見                    
22:30(米) 第3四半期単位労働コスト(改定値)               
22:30(米) 第3四半期非農業部門労働生産性指数(改定値)           
22:30(米) 週間新規失業保険申請件数   
             
12/4
00:00(米) 11月ISM非製造業景気指数               
17:15(スイス) 11月消費者物価指数         
21:00(加) 11月雇用統計/失業率           
21:00(加) 11月雇用統計/就業者数          
22:30(米) 11月雇用統計/失業率              
22:30(米) 11月雇用統計/平均時間給              
22:30(米) 11月雇用統計/非農業部門雇用者数       
           
さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年11月27日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 パニック的なリスク回避志向から84円台を示現すると参加者の買い意欲が高まり「ブル」。ドバイ
 問題は引き続き注視する必要はあるが、今週は米11月雇用統計にも注目が集まる。雇用統計の調査
 対象週ではないものの、新規失業保険申請件数が50万件を割り込んできたため、雇用回復への期待
 も高まりつつある。仮に強い結果となった場合には、ドル安トレンドに歯止めをかけることができ
 るか注目したい。
 
 ポンド円は「ブル」
 英銀のドバイ関連懸念から、英政府当局者が「ダーリング英財務相は来月に英国のGDP成長率見通し
 を下方修正する見通し」と明らかにし英金融市場はリーマンショックを彷彿とさせる動向に見舞わ
 れている。中東との繋がりが強い英経済への打撃が懸念されている影響で、ポンドを取り巻く環境
 は依然厳しいと言わざるを得ない状況だ。参加者は逆張りで対応しており「ブル」となっている。

 豪ドル円は「ブル」
 明日火曜日の政策金利発表を睨み、下落局面でも豪ドル円のバイアスは依然「強気」で押し目買い
 が目立った。ドバイのデフォルト懸念については、まだ不透明感が高い状態だが、仮にドバイの問
 題が早期決着を前提で考えるならば、マーケットの視点は12月1日のRBA(豪準備銀)による政策発
 表だろう。現状での市場予想では0.25%の利上げを実施する可能性が高く、利上げ後に豪ドル上昇
 のシナリオは考えられる。しかし、市場の注目は実際の利上げ云々よりも声明文で次回以降の利上
 げにどの程度積極的な姿勢を示すかに集まっており、今後の利上げに関して悲観的なコメントが発
 せられれば、一転して下落する可能性もあり注意したい。
 

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