FXレポート

米感謝祭前のポジション調整か!

金曜日のドル円は、菅副総理兼経済財政担当相が閣議後の会見で、日本経済の現状が3年5ヵ月振りにデフレに陥っているとの認識を示し、日銀11月月例報告においてもデフレ宣言されたことで、マーケットは円高へと反応し、88.677円まで下落。その後は、週末を控えて一方向への動きに対する警戒感もあり、下落の勢いは継続せず、NY時間に入っても特段材料もなく全般的に動意薄。週末特有のショートカバーの動きから89円台を回復する動きを見せたものの、上値も重く、89円を挟んでこう着状態が続き、88.934円で引けた。

ユーロ円は下落。周小川中国人民銀行総裁が「中国は金融・財政政策を柔軟にすべき」と発言したことで金融引き締め懸念が再燃し、リスク資産からの逃避目的の売りが目立ち弱含みに推移した。さらに、トリシェECB総裁やショイブレ独財務相などが、長期にわたる景気刺激策に否定的な見解を示したことなどが材料視され、欧州株が下落しユーロ円は下げを加速させ132.134円で取引を終えた。

一方のポンド円も続落。18日に公表されたBOE(英中銀)議事録で「マイルズ委員が資産買い入れ規模の400億ポンド拡大を主張」したことが一段の金融緩和の可能性が示されたことが引き続き重石となっている。さらには、10月の英財政赤字が最大(114億ポンド)となったことから、財政悪化への懸念が高まったことも下落を後押しし146.804円で取引を終えた。

さて今週のドル円だが、日本の3連休や米感謝祭休暇、米系ヘッジファンドの11月末決算などを前にポジション調整が予想され、ドルキャリートレードによるドル売りポジションを買い戻し決済する可能性がある。季節要因で一時的にドルが買われるかもしれないが、米国の景気二番底懸念や低金利長期化観測を背景とした懸念材料も十分考慮したい。

ユーロ円は米感謝祭休暇や月末を控えてのリスク資産圧縮の動きに注意したい。また、上昇トレンドの金先物相場だが6営業日続伸しており、今週は調整が入る可能性は否定できず、株価・商品市場の動向次第では、さらに下落する可能性も想定しておくべきだろう。さらにECBでは、出口戦略は時期尚早との見方が多く聞かれており、下値拡大リスクも警戒したい。

  [今週の予想レンジ]
 ドル ・円  87.20-90.50
 ユーロ・円 129.00-134.00
 ポンド・円 140.00-150.00

【今週の主な経済指標】
23日
18:00(欧)  サービス部門購買担当者景気指数
18:00(欧)  製造業購買担当者景気指数
22:30(加)  カナダ 小売売上高
24:00(米)  中古住宅販売件数
24日
16:00(独)  国内総生産
18:00(独)  IFO企業景況感指数
18:30(南ア) 四半期国内総生産
19:00(欧)   製造業新規受注
22:30(米)   四半期実質国内総生産
23:00(米)   ケース・シラー米住宅価格指数
24:00(米)   住宅価格指数
24:00(米)   リッチモンド連銀製造業指数
24:00(米)   消費者信頼感指数
28:00(米)   米連邦公開市場委員会
25日
08:50(日)   貿易統計
18:30(英)  四半期国内総生産
18:30(南ア) 消費者物価指数
21:00(米)   MBA住宅ローン申請指数
22:30(米)   新規失業保険申請件数
22:30(米)   耐久財受注
22:30(米)   個人消費支出
24:00(米)   新築住宅販売件数
24:00(米)   ミシガン大学消費者態度指数
26日
08:50(日)  金融政策決定会合議事要旨
09:30(豪)   四半期民間設備投資
11:00(ニ)   NBNZ企業信頼感
18:00(欧)   マネーサプライM3
27日
08:30(日)   全国消費者物価指数
08:30(日)   有効求人倍率
08:30(日)   失業率
08:50(日)   小売業販売額 
19:00(欧)   消費者信頼感
19:30(ス)   KOF景気先行指数
22:30(加)   四半期経常収支

さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年11月20日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 方向感のない一日となり、参加者もポジションメークしづらい展開だったが、今回も88円台では買いが
 集中し「ブル」。米感謝祭休暇やヘッジファンド勢の11月末決算を控えていることもあり、リパトリを
 意識した取引が予想できるが、要人発言や予想外指標結果などで突発的なフローには注意を払いたい。

 ポンド円は「ブル」
 英財政赤字の悪化から3日続落のポンド円は押し目を狙う買いが優勢で「ブル」となったが、OECDの経済
 見通しでは、改めて英国について財政懸念が根強いと判断され、資産買い入れ枠を拡大する可能性や、準
 備預金金利をゼロに引き下げる追加金融緩和の可能性も浮上しており、今週もポンド売りが続きそうな雰
 囲気が漂っている、10月7日の安値139.694円も視野に入れておきたい。

 豪ドル円は「ブル」
 前日の大幅下落に対する買い戻しや、日米の低金利長期化を背景に金利の高い豪ドルの人気は変わらず
 「ブル」は継続された。先進国中で唯一の利上げ通貨である豪ドルの魅力は今後も高まっていくだろう。
 ただし、短期的には株安連鎖や商品市場の調整をきっかけに、資源国通貨への売り圧力が高まるリスクは
 排除できず、米感謝祭休暇や月末を前にヘッジファンド勢の手仕舞い売りが加速する可能性も否定できない。

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