FXレポート

株価・商品価格上昇は一服か?リスク許容度の変化に注意!

昨日のドル円は序盤、前日のバーナンキFRB議長の米低金利長期継続観測を強める発言を引きずり、上値の重いスタート。さらに、三菱UFJフィナンシャル・グループを筆頭に大手企業の相次ぐ公募増資発表による需給悪化懸念が引き続き重石となり、日経平均が一時前日比180円あまり下げ幅を拡大したことや、欧州株価、NYダウも軒並み下落したことでリスク選好姿勢が後退。円買いが強まり、一時88.638円まで下落。その後、フィラデルフィア連銀指数が予想より強い内容となったことからドルが買われ89.001円まで水準を切り返し、取引を終えた。

ユーロ円は、日欧米株価が軟調に推移したほか、NY原油の大幅下落など、商品価格の下げも目立つ格好となったことや、米感謝祭やヘッジファンドの決算時期を控えて、リスク資産を圧縮する傾向も見られ、ユーロは下値を拡大し、さらには、ユンカー・ユーログループ議長が「ユーロは過大評価」との見解を述べ、ユーロ高を牽制したことも意識され一時は、131.756円まで売られたが、132.808円で引けた。

一方のポンド円も下落。一部で予想されていた資産買い入れプログラム停止に歯止めがかからなかったほか、英中銀金融政策委員会議事録では「準備預金金利の引き下げも将来の選択肢として協議した」とのハト派的な姿勢が示されたことが引き続き材料視され、ポンド売りが優勢の展開となり、結局148.309円で取引を終えた。


本日のドル円だが、米景気先行指標総合指数は7ヶ月連続で上昇し、米景気が緩やかではあるが回復局面であることを示している。しかし、一昨日の米住宅関連指標の下振れで、米景気の二番底懸念が囁かれていることがドルの上値を重くしそうだ。さらには、株高・商品高が一服する展開が続けば、円は対照的に買われやすい地合いと考えることもでき、月末にかけては87円付近を試す展開も十分考えられるだろう。

ユーロ円は、世界的な株高や、史上最高値を更新していた金や原油の上昇トレンドが調整入りしたとの声も多く聞かれ、リスク許容度が変化しやすい状況となっている為、展開によってはユーロ円も130円近辺まで下値を拡大する可能性も視野に入れておきたい。ただし、米国の低金利長期化観測やドルの信認低下・外貨準備のドル離れ観測など、ドルを敬遠する材料には事欠かないとみられることから、対ドルで堅調が維持されればユーロのサポートとなろう。


  [本日の予想レンジ]
 ドル ・円  88.30-89.50
 ユーロ・円 130.50-133.50
 ポンド・円 146.50-150.00

【本日の主な経済指標】

16:00 独)生産者物価指数(PPI)

さて、マーケット参加者のポジションは......

 ≪2009年11月19日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 円高が進行したことで89円割れの局面で買い注文が殺到し引き続き「ブル」。経済指標ではフィラデルフィア連銀指数が予想以上に強い結果となった。中でも構成項目の雇用指数は改善(-6.8→-0.5)しており、雇用統計に 向けて明るい材料といえる。また、NYダウが下落したことで、金や原油などの商品相場も軟調で、リスク資産から安全資金にシフトする動きが活発となり、リスク回避志向が高まりからドルが買われることもありえる。しかしドル円に限っては、連動性が強く、仮にリスク回避の展開となっても「円買いドル買い」となりうる可能性が高く方向感は出にくいかもしれない。
 
 ポンド円は「ブル」
 一昨日のMPC議事録内容や、10月の英小売売上高は予想を下回る結果にポンドは、主要通貨に対して売られて対円でも147円前半まで売り込まれた。参加者は押し目買いスタンスで「ブル」優勢となったが、英中銀による金融緩和姿勢が予想以上に長期化する可能性が高くなっており、当面は失望売りによる下振れリスクは引き続き警戒するべきだろう。

 豪ドル円は「ブル」
 株価の下落、商品相場の上昇一服を受けリスク回避の一日となり豪ドルは軟調。参加者は、中期的には日米の低金利長期化観測や豪準備銀行の追加利上げ観測を背景とした強気の姿勢は崩しておらず「ブル」。しかし、本日は主だった指標がなく、日本の3連休や来週木曜日の米感謝祭休暇などを控えて、ポジションを縮小する動きから豪ドルの上値を重くする可能性も否めない。また、月末にかけて株価が調整局面に入った場合にも手仕舞い売り圧力が高まるだろうことからバイアスの傾けすぎには注意したい。

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