FXレポート

ユーロECB理事会を控え、持ち高調整も!

ドル円は序盤、バーナンキFRB議長の「インフレ動向には極めて慎重な監視が必要」、「商品価格は消費者物価指数に影響を及ぼす」、「インフレは一時的なものだろう」等の発言が手掛かりとなり、ドル買いが強まったことで84.473円まで上昇した。その後、高値水準ではまとまった売りが観測されるなど上値が抑えられたうえ、FOMC議事録の発表を控えて様子見ムードが強かったことから84.35円前後での小動きな展開が続いた。NY市場に入ると、米ISM非製造業指数が発表を前に市場予想を上回るとの見方が強まったことで、リスク選好の動きから米国債が売られ米長期金利の利回り上昇がドル買いを誘い、84.70円付近まで上昇した。その後、米ISM非製造業指数は57.3と市場予想の59.5を下回り反落する場面が見られたものの、日米金利差の拡大を意識したドル買いが下支えとなり、下値は限定的となった。引けにかけても米10年物国債利回りが一段と上昇したことをうけてドル買いが進み84.856円まで上昇し取引を終えた。

ユーロ円は東京市場序盤、バーナンキFRB議長のインフレ警戒姿勢の発言を受けたドル円の上昇につられて119.90円前後まで上昇した。しかし、買い一巡後は米格付け会社ムーディーズがポルトガルの格付けを「A3」から「Baa」に引き下げたことを受けてユーロ売りが強まり軟調な展開に119.50円付近まで反落した。NY市場に移ると、米長期金利の上昇を背景にドル円の上昇につられたほか、米著名シンクタンクが欧金融政策の見通しに対しタカ派的なリポートを出したことが材料視され上昇。引けにかけても、堅調推移を維持し前日比プラス1.164円となる120.678円で取引を終えた。
            
                              今日の展開

ドル円は野田財務相が14日に予定されるG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)に先駆けて日銀へ金融緩和の継続を要請し、G7各国に協調円売り介入の継続を求めるとの見方から、引続き堅調地合いが予測される。また、85円付近は本邦輸出企業の想定レートであり、同水準では売りオーダーをこなす必要があるものの、震災の影響から財政悪化に伴い日本国債格下げの可能性が高まりやすいほか、日銀の国債引き受け論もくすぶっており、外国人投資家の円売りが進行する可能性も捨て切れないため、円独歩安を想定しておく必要があるだろう。テクニカル面でも心理的な節目となる85.00円を上抜けており、次のターゲットは2010年5月4日高値94.979円から2011年3月17日安値76.180円の半値戻しとなる85.58円付近となり、突破した場合は昨年の介入実施後に付けた高値85.90円付近が視野に入ってこよう。

ユーロは、米ヘッジファンドのメドレーレポートが伝わり「ECBが7日の理事会で0.25%の利上げに踏み切り、声明に一段の金融引き締めの余地を組み込む」との見方を示すなど、ECBは来月以降も段階的に政策金利を引き上げる可能性は高いとみられており、バイアスは強気となろう。また、対円も日銀の追加金融緩和観測が高まっていることから、金利面で大きくユーロに分がある上、欧州高債務国の信用不安も下火になりつつあり、中・長期的には上昇余地が大きいと考えられよう。ただ、短期的には明日開催予定のECB理事会を前に利上げ期待はほぼ織り込み済みであり、今日、明日は利益確定やポジション調整の売りが出やすいほか、本邦輸出企業の売りや投資家のヘッジ売り意欲が厚いとみられるため、強き一辺倒にはいかないと考たい。テクニカル面でもボリンジャーバンド+2σ付近、RSIをはじめオシレーター系指標は売りシグナルが点滅しているため、慎重にリバウンドを狙ってみるのも面白いだろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   83.50-85.90
ユーロ・円 119.50-122.80
ポンド・円 136.00-138.00

【今日の主な経済指標】
10:30 AUD  住宅ローン件数[前月比] 2月
14:00 JPY  景気一致指数(CI)・速報値 2月
14:00 JPY  景気先行指数(CI)・速報値 2月
16:15 CHF  消費者物価指数(CPI)[前月比] 3月
17:30 GBP  鉱工業生産指数[前月比] 2月
17:30 GBP  製造業生産指数[前月比] 2月
18:00 EUR  四半期域内総生産(GDP、確定値)[前期比] 10-12月期
18:00 EUR  四半期域内総生産(GDP、確定値)[前年同期比] 10-12月期
19:00 DEM  製造業新規受注[前月比] 2月
20:00 USD  MBA住宅ローン申請指数[前週比]
23:00 CAD  Ivey購買部協会指数 3月

≪2011年4月5日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ベア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
FOMC議事要旨は金融緩和策の終了時期について意見が分かれたものの、米10年物国債利回りが拡大したことを背景に「ブル」優勢となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が5日公表した連邦公開市場委員会(FOMC3月15日開催)の議事録によると、メンバーは6000億ドルの米国債購入プログラムが終了する6月以降の金融政策の道筋について見解が分れている。最近はタカ派の意見がドル相場を牽引していたものの、バーナンキFRB議長をはじめ慎重論も散見しており「出口戦略」に向け楽観視できない状況となってきた。今夜20:00にハト派で知られるロックハート・アトランタ地区連銀総裁の公演が予定されており、内容を注視する必要があるだろう。

ポンド円「ベア」
英3月PMIサービス業が57.1と市場予想の52.6を大きく上回り、2010年2月以来の高水準を記録したことで、英景気回復への先行きについての楽観的な見方が広まり138.260円まで上昇し取引を終えている。だが、ここ数日間に急ピッチで上昇していることに加え、BOEでの利上げに慎重な見方が広がっていることから、上値の余地は限定的とみて「ベア」が優勢。本日は、明日の英中銀金融政策委員会での政策発表を控えて、様子見ムードが強まることが予想されるものの、英鉱工業生産などの重要経済指標の発表もあり大きなフローになる可能性もあることから注意しておきたい。

豪ドル円「ブル」
RBA理事会は政策金利を4.75%に据え置き、声明文では「適度に引き締め的な政策は適切。向こう1年間の豪インフレ率は豪準備銀行の目標である2-3%以内に一致する」とするなど、利上げに対して慎重な見方を示したことから、利上げ観測が後退し豪ドルは弱含んだ。しかし、日本の低金利長期化観測が強まりからクロス円は堅調に推移し豪ドル円も年初来高値を更新したこともあり、参加者も「強気」な姿勢を維持した。また、株価堅調や新年度入りでリスク選好が高まっている上、商品高を背景に資源国通貨が物色される流れも続いていることから、安値水準では押し目買いを検討したい。

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