FXレポート

ドルは対円で7ヶ月ぶりの安値!今週は欧州銀行のストレステスト結果に注目

先週金曜日のドル円は、序盤87円台半ばで取引されていたが、FOMC議事録の内容でFRBの慎重姿勢と直近の弱い米経済指標が市場の不安感を煽り円買い・ドル売りの動きとなった。欧州勢参入後はもみ合いを続けながらも徐々に下落の勢いが加速、サポートされていた87円の水準をブレイクすると一気に86円台半ばまで下落した。その後、軟調な米株価や発表されたミシガン大学消費者景況感指数の結果が大幅悪化となると、約7ヶ月ぶりの安値となる86.257円まで値を崩し、売り一巡後にやや値を戻し86.646円で引けた。

ユーロ円は、特段の材料は見当たらず、日本が連休を控えることから112円台半ばで低調な取引となっていたが、欧州時間に入ると米景気減速への懸念からドルが売られユーロドルで5月11日以来となる約2カ月ぶりの1.30065ドルまで買われ、対円でも113.351円まで上昇した。しかし米国指標の悪化を背景にユーロ売りが強まり、111.520円まで下落、112.018円で取引を終えた。


                   今週の展開

ドル円だが、先週末は6月米消費者物価指数(CPI)は、総合がエネルギー価格が低下したこともあり前月比-0.1%(予想:-0.1%)となったものの、CPIコア指数は+0.2%と予想(0.1%)を上回ったことから、一時はドルが買い戻される場面も見られたが、ミシガン大学消費者景況感指数は66.5(予想:74.0、前回:76.0)と大きく低下したことから、米国の消費動向の低迷が米国経済、さらには世界経済回復の遅れを連想させ、市場はリスク回避の円買い優勢の展開となった。先週発表された米経済指標はことごとく期待を裏切る結果となり、FOMC議事録のFRB慎重姿勢が意識され、市場心理は急速に冷え込みつつある。一方で米企業業績に目を向けると、バンク・オブ・アメリカやGE、シティグループなどの決算は予想を上回る最終利益となっている。足元では原油流出を止めたとのBPの発表や住宅ローン商品販売をめぐるSECとゴールドマン・サックスの訴訟も5.5億ドルの和解金で合意と好材料も出てきている。昨年の12月1日以来の安値をつけている状況ではあるが、今週も引き続き米企業の決算発表が控えており、重苦しい雰囲気を払拭するようなサプライズがあるか注目される。

一方ユーロ円は、欧州銀行監督委員会の欧州の金融機関を対象としたストレステストで健全性を審査されているが、発表を控え市場は様々な思惑が錯綜している。しかし内容が悪いものとなったとしても、金融機関の問題点が明らかとなることは安心感につながる。資本の増強などを求めることで健全化が早まるといったような考え方もできることから、ユーロに一定の安心感が戻れば更なる上値にも期待ができそう。今週は欧州銀行のストレステスト結果公表に注目が集まりそうだ。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円  85.50- 88.50
ユーロ・円 109.50-104.50
ポンド・円 130.50-135.50

【今週の主な経済指標】

19日 08:01     GBP     ライトムーブ住宅価格[前月比]
19日 17:00     EUR     経常収支
19日 18:00     EUR     建設支出[前年同月比]
19日 18:00     EUR     建設支出[前月比]
19日 21:30     CAD     対カナダ証券投資額
19日 23:00     USD     NAHB住宅市場指数

20日 10:30     AUD     豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表
20日 14:00     JPY     景気一致指数(CI)・改定値
20日 14:00     JPY     景気先行指数(CI)・改定値
20日 15:00     DEM     生産者物価指数(PPI)[前月比]
20日 15:15     CHF     貿易収支
20日 17:30     GBP     マネーサプライM4速報値[前年同月比]
20日 17:30     GBP     マネーサプライM4速報値[前月比]
20日 21:30     USD     建設許可件数[前月比]
20日 21:30     USD     建設許可件数[年率換算件数]
20日 21:30     USD     住宅着工件数[前月比]
20日 21:30     USD     住宅着工件数[年率換算件数]     
20日 22:00     CAD     カナダ銀行 政策金利

21日 08:50     CAD     日銀・金融政策決定会合議事要旨
21日 17:30     GBP     英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21日 20:00     USD     MBA住宅ローン申請指数 前週比
21日 21:30     CAD     卸売売上高 前月比

22日 13:30     JPY     全産業活動指数 前月比
22日 17:00     EUR     サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
22日 17:00     EUR     製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
22日 17:30     GBP     小売売上高指数 前月比
22日 18:00     EUR     製造業新規受注 前月比
22日 18:00     EUR     製造業新規受注 前年同月比
22日 21:30     CAD     小売売上高(除自動車) 前月比
22日 21:30     CAD     小売売上高 前月比 チャート
22日 21:30     CAD     小売売上高指数 前年同月比
22日 21:30     CAD     消費者信用残高
22日 21:30     USD     アメリカ 新規失業保険申請件数
22日 23:00     ZAR     南アフリカ準備銀行(中央銀行)
22日 23:00     EUR     消費者信頼感(速報値)
22日 23:00     USD     アメリカ 景気先行指標総合指数 前月比
22日 23:00     USD     アメリカ 中古住宅販売件数 年率換算件数
22日 23:00     USD     アメリカ 中古住宅販売件数 前月比
22日 23:00     USD     アメリカ 住宅価格指数 前月比
22日 23:00     EUR     消費者信頼感(速報値)
22日 23:00     USD     アメリカ 景気先行指標総合指数 前月比
22日 23:00     USD     アメリカ 中古住宅販売件数 年率換算件数
22日 23:00     USD     アメリカ 中古住宅販売件数 前月比
22日 23:00     USD     アメリカ 住宅価格指数 前月比

23日 08:50     JPY     対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)
23日 08:50     JPY     対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)
23日 10:30     AUD     四半期輸出物価指数 前期比(4-6月期)
23日 10:30     AUD     四半期輸入物価指数 前期比(4-6月期)
23日 17:00     DEM     IFO企業景況感指数
23日 17:30     GBP     四半期国内総生産(GDP、速報値)前期比(4-6月)
23日 17:30     GBP     四半期国内総生産(GDP、速報値)年同期比(4-6月)
23日 20:00     CAD     消費者物価指数(CPIコア) 前年同月比
23日 20:00     CAD     消費者物価指数(CPIコア) 前月比
23日 20:00     CAD     消費者物価指数(CPI) 前年同月比
23日 20:00     CAD     消費者物価指数(CPI) 前月比


≪2010年7月16日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
弱い経済指標が発表されるなか、良好な企業決算に対する期待感もありポジションは「ブル」。
明らかにドルの地合は弱くなっていると思われ、NYダウも前日比-261.41ドルと不調だ。米企業
の決算発表が今週本格化するなか、株価の上昇が市場心理回復の起爆剤となるかを見極めてお
くことが必要だ。また経済指標では住宅関連指標が続くため、不安視されている米国の景況感
に追い討ちをかける動きとなるかどうかに注意を払いたい。

ユーロ円は「ブル」
世界経済の回復懸念に伴い約1円程度下落したが、比較的地合の明るいユーロには安値を拾う動
きが活発で「ブル」となっている。ユーロ圏諸国の銀行に対するストレステストが問題なく通
過するであろうとの期待感から、ユーロの買い戻しが強まっている状況だ。懸念されるソブリ
ンリスクもスペイン15年債入札が好調だったことで資金調達懸念の後退につながった場面もあ
り、ドルとは対象的に楽観的なムードが漂っていると考えられる。しかしユーロ上昇が行き過
ぎと見る向きも依然として根強いことから油断はできない。どちらにせよ今週23日に控える注
目のストレステストの結果公表が最大の焦点となっており、それまでは加熱感を意識した地合
となりそうだ。

豪ドル円は「ブル」
地合が悪化、下落するなか、下値でインカム狙いの買いも旺盛でポジションは「ブル」だ。日
本の個人投資家には人気の高い高金利通貨だが、日本の3連休や、8月からスタートするレバレ
ッジ規制の影響が一部では意識されている模様。先週は中国の経済指標が弱かったこともあり
上値の重さが目立っており、市場心理の改善が見えてくるまでは今週も慎重な取引が予想される。

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