FXレポート

NYダウ平均1万ドル台回復!

昨日のドル円は東京市場序盤、ガイトナー米財務長官が米経済成長に対して強気な見通しを示したことが好感され、87.65円付近へと上昇したものの、日経平均の軟調な推移に上昇幅を削る展開となった。また、欧州勢参加後も欧州株の下落や、原油、金などの商品価格も軒並み値を崩したことからリスク回避の円買いが強まり、87.013円まで下値を拡大した。しかし、NY時間に入ると欧州銀行に対するストレステストの結果公表を控え、「スペイン国債に対する担保価額の割引率は3%の可能性」と報じられたことで、スペイン株式市場が金融株を中心に3.87%の上昇。欧州ストレステストに対する懸念の後退が米株式市場でも好感され、ダウは6月29日以来の1万ドル台を回復し、ドルが買い戻される展開となった。引けにかけて断続的に上値を切り上げ87.719円と小幅ながら上昇し取引を終えた。

ユーロ円は、日経平均を始めとするアジア株が軟調に推移したことを受けてリスク回避の流れが優勢となったほか、ロシアの中堅銀行インターナショナル・インダストリアル・バンクのデフォルト懸念が報じられたことも重石となり109.90円付近まで下落した。更に、欧州時間に発表された独製造業受注が事前予想+0.3に対し結果-0.5と予想を下回った他、欧州株も軟調に推移していることからユーロが売られ、一時109.68円付近まで下落した。しかしNY時間ではダウ平均の上げ幅が270ドル超となったことや、スペインなどの国債を評価する際の割引率が好感されて一時111円台を窺うところまで上昇、110.889円で取引を終えた。

                     本日の展開

さて本日のドル円だが、来週から本格化する米主要企業の第2四半期決算発表を前に株式市場に注目が集まる中、前日のダウ平均株価が6月29日以来となる1万ドル台の大台を回復した事がドル買いのサポート要因となろうか。しかし、住宅税控除措置の期限切れの影響で住宅関連指標の悪化が顕著なほか、消費者信頼感指数、ISM製造業景況指数、雇用統計等が相次いで市場予想を下回っており、依然として米景気の二番底懸念は払拭できない状況には変わりないため、上値は限定的となる可能性が高いものと思われる。むしろ、米国債利回りの低下を背景にドルが売られやすい局面であることを考えると、ドル売りシナリオが強まる状況となれば、7月1日の安値86.963円を割り込み、昨年11月につけた84.810円も視野に入る可能性もあるため、ドルの下値リスクには引き続き十分な警戒が必要だろう。

ユーロ円は、欧州金融機関へのストレステスト(特別検査)の結果に対する警戒感は一時的に薄れたものの、市場のセンチメントは依然脆弱であることには変わりなく、悪いニュースや噂には反応しやすい状況にあると思われる。また、ロシア中堅銀行のデフォルトを巡っては実質的なデフォルトを回避できるとの見方があるとはいえ、リスク回避ムードが再燃する火種となる可能性は高く、影響がどこまで波及するか否かを見極める必要がありそうだ。加えて、米国の景気二番底懸念による世界的な景気回復の鈍化傾向が、「株安・商品安→円高」といったシナリオを形成しやすく、持続的な上昇には決め手を欠くものとなろう。一方、対ドルでは5月21日につけた1.26718ドルを明確に上抜けしてくると、「底打ち」暗示とされる逆三尊形勢となりテクニカル主導での上昇も考えられることから、対ドルでの動向にも注目しておきたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   86.20-88.00
ユーロ・円 109.20-111.50
ポンド・円 131.10-134.80

【今日の主な経済指標】

10:30 AUD  新規雇用者数
10:30 AUD  失業率
14:00 JPY  景気ウオッチャー調査-現状判断DI
14:45 CHF  失業率
15:00 DEM  貿易収支
15:00 DEM  経常収支
15:45 FRF  財政収支
17:30 GBP  鉱工業生産指数
17:30 GBP  製造業生産指数
19:00 DEM  鉱工業生産
20:00 GBP  イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
20:45 EUR  欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30 CAD  新築住宅価格指数
21:30 USD  新規失業保険申請件数

≪2010年7月7日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
脆弱なファンダメンタルズも参加者の逆張りスタンスは継続され「ブル」となっている。強気
スタンスの背景にはテクニカル面で三角もち合い下抜けとなった90円台半ばからの急ピッチな
下落により、日足一目均衡表の「雲」からの乖離がみられることで調整的な戻りを期待する向
きもあるだろう。しかし、米景気減速懸念を背景とした長短金利の低下などを鑑みても反発は
鈍いものになるかも知れない。

ポンド円は「ブル」
新規材料難となる中、参加者のポジションは拮抗したものの、ダウが大幅上昇したことを背景
にリスクが選好され僅かに「ブル」が優勢となった。本日の英中銀金融政策委員会では政策金
利・資産買い入れ枠とも据え置きが濃厚となっており、金融政策面からのサポートは期待しづ
らいだろう。

豪ドル円は「ブル」
NYダウや原油の反発を受けて75円台に乗せる展開に参加者の80%が「強気」となっており、こ
こ数日は75円付近で上値を抑えられてきただけにレジスタンス突破で一気に駆け上がる可能性
が出てきている。また、先日のRBA(豪州準備銀行)声明文で、豪インフレ率が短期的に3%を
若干上回る見通しが示されたことや、豪経済の減速懸念を抱かせる文言が見当たらなかったこ
とは豪ドルの支援要因となるだろう。本日は豪雇用統計の発表が予定されており、雇用者数増
減の予想レンジは0.5万人減から3.0万人増、失業率は5.0%~5.4%となっている。

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