EUの難民問題は前進か
先週金曜日(29日)のサマリ
東京市場
EU首脳会議で難民問題について合意との報道が伝わるとリスク選好的な買いからドル円は一時110.75円近辺まで上昇しました。
ロンドン市場
欧州勢参入後はユーロに利益確定の売りからユーロドルは1.1615ドル付近まで軟化したものの、ドル円への影響は限定的でした。ただ、一部メディアからトランプ大統領が世界貿易機関(WTO)からの脱退を希望していると報じられるとNYダウ先物が一時100ドル超安となりドル円も110.50円近辺まで下落しました。
NY市場
NY市場では目立った取引材料がなかったものの、EU首脳会議で難民問題について合意したことがマーケットに安心感を与えたことでドル円は緩やかに上値を拡大し一時110.941円近辺まで上昇しました。もっとも、引けにかけては週末のポジション調整から売りに押され前日比では0.146円高い、110.654円まで値を崩して取引を終えました。
≪2018年6月29日クローズ時点≫
ドル・円:「ブル」 売り41% 買い59%
ユーロ・円:「ベア」 売り66% 買い34%
英ポンド・円:「ブル」 売り38% 買い62%
豪ドル・円:「ブル」 売り15% 買い85%
NZドル・円:「ブル」 売り10% 買い90%
ユーロ・ドル:「ベア」 売り61% 買い39%
【今日の主な経済指標】
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断 4-6月期
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業製造業先行き 4-6月期
08:50 JPY 日銀短観・四半期大企業全産業設備投資[前年度比] 4-6月期
10:45 CNY Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI) 6月
16:15 CHF 実質小売売上高[前年同月比] 6月
16:30 CHF SVME購買部協会景気指数 6月
16:50 FRF 製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 6月
16:55 DEM 製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 6月
17:00 EUR 製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 6月
17:30 GBP 製造業購買担当者景気指数(PMI) 6月
18:00 EUR 失業率 5月
22:45 USD 製造業購買担当者景気指数(PMI、改定値) 6月
23:00 USD 建設支出[前月比] 5月
23:00 USD ISM製造業景況指数 6月
-今日のトレードポイント-
EU首脳会議は難民問題について各国が協力関係を強化するといった内容で大筋合意しました。今までは「ダブリン規約」に則り難民を最初に受け入れた国が難民の管理をしなくてはいけないとし、人道的な観点から難民を受け入れ続けました。しかし、シリアから流れてくる難民の数はゆうに100万人を超えており、財政状況が厳しいEU圏南側の国がその全てを受け入れることは困難で、事実上「ダブリン規約」が守られていませんでした。またEU圏には「シェンゲン協定」というヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることができてしまうため、難民はドイツやイギリスやフランスといった所得の高い国に渡り社会問題に発展しています。これまで難民の管理をEU圏南側の国(イタリア、ギリシャ、ハンガリー)に「ダブリン規約」を盾に責任を押し付けてきましたが、今回の合意で負担割合が減って難民問題が前進すればポジティブな材料になります。今週のドル円は底堅い展開になりそうです。米国の貿易問題はネガティブ材料が出るたびに一時的に下落するものの、好調な米経済成長を背景に最終的には反発していることから、下落局面では買い場を探すのも妙味がありそうです。
[今日の予想レンジ]
ドル・円 109.50-111.50
ユーロ・円 127.00-131.00
ポンド・円 143.50-148.00