FXレポート

ギリシャ関連に左右される神経質な展開からバイアスは弱気か!?

昨日のドル円は、先週からのギリシャ議会における中期財政計画の成立への見通しが不透明となるなか、ストレステストに対する伊銀行セクターへの見通し悪化も加わり、リスク回避の流れからドル買いとなり80.870円付近まで上昇した。買い一巡後は、格付け会社ムーディーズが「日本の財政改革の遅れはクレジット・ネガティブにあたる」と発言したことで引き続き円売りが優勢となったが、小幅なレンジで終始した。欧州勢参加後は、週明けとあって仲値に向けた実需のドル買い優勢となったが、国内輸出企業の売りも散見され、やや上値は限定的となった。NY勢参加後は、米国の5月米個人消費支出と個人所得がほぼ市場予想通りだったことのほか、NYダウ平均が100ドル超の上昇幅を広げるなど米国株式市場が底堅い動きとなったことを受けて一時80.978円まで上昇し、80.912円で取引を終えた。

ユーロ円は、ウェーバー前独連銀総裁による「欧州はギリシャの未払い債務の保証を検討すべき」との発言から、買いが加速したが、先週からのギリシャ議会による財政緊縮法案の承認に不透明感が高まっていることからリスク回避から上値が重しとなり、114円付近での推移となった。東京市場午後には、格付け会社ムーディーズが「日本の財政改革の遅れはクレジット・ネガティブにあたる」と発言したことでやや円売りで反応し、欧州参加後は、サルコジ仏大統領による「ギリシャ債、民間セクターで合計600-650億ユーロの貢献できる」「仏銀、ギリシャ債の70%をロールオーバーすることで協議中」との発言からユーロ買いが加速し115.20円付近まで上昇。またNY勢参加後も、NYダウ平均が上昇幅を広げるなど欧米の株式市場が底堅い動きとなったことを受けて、一時115.608円と本日の高値を更新した。なお独政府が「ギリシャ国債のロールオーバーで、自発的な参加に対する仏金融機関の提案を歓迎している」との見方からユーロ買いの支えとなり115.532円で取引を終えた。

                                                   今日の展開

ドル円は、先週から引き続き10年国債利回りが3%割れで低下しているため、本日の経済指標のケース・シラー米住宅価格指数や消費者信頼感指数の米国景況感を示す経済指標が引き続き景況感の悪化傾向で示されれば、日米金利差の縮小を通じドル安円高圧力となりやすいほか、月末で実需のドル売りが強まる時期でもあり、上値が重い展開となりそうだ。また本日のギリシャ議会における採決次第という面も強いため、ギリシャ議会で緊縮財政計画が否決された場合、リスク回避的な円高圧力により、80円割れの可能性が高まる可能性もあるため注意が必要だろう。

ユーロ円は、本日のギリシャ国会で緊縮財政計画が可決された場合、7月3日に開催されるユーロ圏財務相会議で、ギリシャに対する支援が決定される見通しであるが、その支援枠の設定をどこまで具体化できるかという点も問題になるだろう。また30日とみられるギリシャ議会での中期財政計画の承認についてのニュースや伊銀行で金融不安が広がるリスクも排除できず、ストレステスト関連のニュースに対して、市場が敏感になっており、これらのニュースを受けた動きの見極めが必要になってくる。なお仮にギリシャ国会で緊縮財政計画が否決された場合には、ユーロに一段の下落圧力が加わるため注意が必要だろう。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  80.00-82.00
ユーロ・円 114.00-116.50
ポンド・円 127.50-131.00

【今日の主な経済指標】
06月28日
08:50 JPY 小売業販売額[前年同月比] 5月
08:50 JPY 大型小売店(既存店)販売額[前年同月比] 5月
15:00 DEM GFK消費者信頼感調査 7月
15:00 DEM 輸入物価指数[前月比] 5月
15:00 DEM 輸入物価指数[前年同月比] 5月
17:30 GBP 四半期経常収支 1-3月期
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前期比] 1-3月期
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前年同期比] 1-3月期
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数 4月
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数[前年同月比] 4月
23:00 USD 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 6月
23:00 USD リッチモンド連銀製造業指数 6月

≪2011年6月27日クローズ時点≫
ドル・円   :「ブル」
ユーロ・円  :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円  :「ブル」
NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
NYダウ平均が100ドル強の大幅高となったほか、上期末を控えてポジション調整に
伴うドル買いが散見し「ブル」に変化はなかった。ただ、81.00円付近では引き続
き日足の一目均衡表の基準線や、雲下限に跳ね返される形となっており、上抜け
るには力不足かもしれない。また、同水準には本邦実需筋のドル売りオーダーが
積み上がっているほか、米長期金利が年初来最低水準で推移している事を鑑みる
とバイアスはやや弱気となりそうだ。
                                          
ポンド円「ブル」
NYダウ平均の上昇に伴いリスク選好の地合となったことで「ブル」は堅持されて
いる。先週公表された英中銀議事録で、タカ派のセンタンス委員の後任として就
任したブロードベント新委員が金利据え置きを支持し、利上げ支持がデール委員
とウィール委員の二人に減少したことで、ハト派寄りの見解が支配的であること
が明らかとなっており利上げムードは後退している。また利上げ期待が大きく後
退しただけではなく、一部委員は一段の刺激措置が必要となる可能性を指摘して
おり、金利面からはポンドは一段と買いづらい展開となっている。

豪ドル円「ブル」
ギリシャ議会での中期財政計画の採決を巡り、承認されるとの楽観的な見方から
リスク回避の巻き戻しが優勢となり「ブル」が継続されている。昨日は欧州の株
式市場が軒並み買い先行で始まったことや、商品市況の底堅い推移も下支えとな
っているようで高い金利水準を背景に依然として参加者の買い意欲が堅持されて
いる。しかしギリシャ債務再編の不透明感がくすぶり続けているため、市場はリ
スク選好に傾ききれず、上値も当面は重くなりそうだ。

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