FXレポート

クリスマス休暇と年末年始の谷間で薄商いの中、欧州ソブリンリスクに警戒!

昨日のドル円は、週末に中国人民銀行が貸出基準金利を0.25%引き上げしたことを受け、オセアニア時間には円買いが先行したものの、東京市場序盤には日経平均が前日比+13円で寄り付くなど、リスク回避の動きは限定されたことから82.85円付近でもみ合いとなった。その後は五十嵐財務副大臣が「円の上昇に注意したい。金利上昇も警戒しなければならない」と発言したことを受け、市場はドル買いでの反応を強めたものの、83円台には本邦輸出企業のオーダーも観測されていることから上値も重く、82円台後半での小動きが継続した。欧州勢参加後は米WSJ紙が「政府資金の救済を受けた全米100の銀行が破綻危機に瀕している」と指摘したことで、米金融機関に対する懸念が強まると一時82.648円まで下落したが値幅は限定的だった。NY勢参加後も目立った動きはなく、序盤こそショートカバーが散発的に入り82.95円付近まで上昇したものの、ポジション調整の域を出ず、引けにかけ買いが一巡すると徐々に上値を切り下げ82.796円で取引を終えた。

ユーロ円は、欧州債務懸念がくすぶるなか、中国人民銀行が利上げを発表したことを背景にリスク回避を連想すると東京市場では108.50円付近で弱含む展開となった。しかしその後はクリスマス休暇明けの欧米勢が新年向けの対外証券の投資を強めたことに加え、中国による人民元高・ドル安誘導の強化観測なども相まってドル全面安の様相を呈した。ユーロドルは1.3170付近まで強含むとつられてユーロ円も108.90円付近まで反発した。しかし、NY時間では年末をむかえ休暇中の参加者が多かったほか、ニューヨークが大雪だった為、積極的な売買は見られず薄商いのまま109.000円で取引を終えた。

                               本日の展開

本日はクリスマス休暇と年末年始の谷間で市場参加者が少なく、前日同様このまま動意が乏しい展開が続く可能性が高いものの、薄商いのなか、大きく値が振れやすいことには留意しておきたい。ドルはブッシュ減税延長による米景気浮揚期待に加え、NYダウも年初来高値圏にあるほか、米長期金利も依然として上昇基調にあって堅調推移を予測することもできる。しかし、対円は欧州のソブリン・リスクが高まりからユーロ円などクロスでの円高が進行した場合はつれ安となる可能性があり注意しておきたい。また、テク二カル面でも1ヶ月近い攻防の末、84円台中盤を上抜け切れなかった上、強固なサポートとなっていた一目均衡雲上限の83.10円付近をブレイクしており下向きのトレンドが示現しそうな気配もある。仮に12月7日安値の82.337円を割れた場合は投売りが強まる可能性があり警戒が必要となろう。

ユーロは、本日も欧州債務危機国のソブリンリスクや国債相場に注目が集まるだろう。一連の格下げを受け、欧州PIIGS諸国の国債利回りが一段と上昇すれば、国債の借り換えが困難となり、ポルトガルなどによるEUへの金融支援要請観測が高まる可能性は否めない。また、先週は中国によるEU支援の話題が出たものの「ポルトガル国債を40-50億ユーロ購入」といったピンポイントの支援では欧州危機を鎮静化するには困難と考えられ、ユーロには依然弱気のバイアスがかかりそうだ。対円は昨日9営業日ぶりに反発したものの、テクニカル的に下値目処である11月30日安値108.342円に接近しており、サポートを下回った場合には年初来安値である105.424円まで下値余地が広がる為、慎重スタンスを維持したい。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.30-83.80
ユーロ・円 107.80-111.50
ポンド・円 126.80-129.00

【今日の主な経済指標】

23:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
00:00 USD リッチモンド連銀製造業指数
00:00 USD 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)

≪2010年12月27日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
83円台後半で膠着した値動きが終日続いたものの、米景気回復期待や米長期金利が
依然として上昇基調にあることから「強気」スタンスは継続された。今夜は米5年
債入札が予定される中、米国債市場では景気回復期待(良い金利上昇)と財政悪化
懸念(悪い金利上昇)の両面で長期金利が上昇しやすい状況にあり、ドル買いの機
運が高まっている。また、昨日発表された米12月ダラス連銀製造業活動は3ヶ月連
続でのプラスを記録し、構成項目では「雇用」が5.8→15.0へと2倍近い伸びを示し
ている。ここ6ヶ月平均(3.1)を大きく上回っており、来月の雇用統計の見通しに
とって好材料と言えよう。

ポンド円は「ブル」
英住宅価格指標は6ヵ月連続の前月比マイナスとなるなど軟調な展開となったもの
の、127円半ばを下抜けると割安感から「ブル」優勢となった。英住宅市場の陰り
が鮮明になりつつある上、緊縮財政や欧州経済への危惧から英経済への不透明感は
根強いだろう。また、年初来安値の126.448円が視野に入っている中、同水準を割
り込むと120円台まで大きなサポートが見当たらないだけに注意したい。

豪ドル円は「ブル」
週末に発表された中国の利上げを反映し、下方へ窓を開けてのスタートとなってい
たが、中国株が利上げの影響を感じさせない堅調な値動きを示すと、参加者は絶好
の押し目とみて「ブル」が優勢となった。日米欧の低金利や商品高を背景に堅調な
値動きが予測される上、欧州のソブリン・リスクを敬遠してオセアニア通貨にシフ
トする動きから強気スタンスを継続してもいいだろう。ただ、新規材料の乏しい現
状においては上値も限定的となることが予想され、12月高値83.676円を上抜ける動
きには力不足は否めないか。また、対ドルではパリティ(等価)が継続されており、
パリティ以上では参加者の割高感や高値警戒感も高く一本調子に買い進むには注意
が必要となろう。

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