FXレポート

ドル売り基調も介入警戒から神経質な地合!

昨日のドル円だが、東京市場序盤は野田財務相の「特に今日は市場の動向を注視したい」といった介入を思わせる発言や、日銀の追加緩和の可能性が指摘された観測報道を受けて77.80円付近まで上昇。しかし、米景気減速感から上値の重さが確認されると流れは一転下向きとなり77.20円付近まで反落する神経質な値動きとなった。欧州市場に移ると、77円前半での神経質な値動きが続いていたが、ドルスイスフランの大幅下落をきっかけに、徐々にドル売りが進んだほか、NY時間に発表された6月米個人消費支出、個人所得がいずれも市場予想を下回る結果になると米長期金利が一段低下し、76.960円まで値を下げた。引けにかけても、軟調地合は継続し77.145円で取引を終えている。

ユーロ円は、東京市場序盤こそ新規の取引材料に乏しかったものの、豪中央銀行が政策金利を発表し、声明で「現在の金融政策を維持することが賢明と判断」「今後の会合では、成長とインフレの見通しの進展を注意深く査定し続ける予定だ」との内容が伝わると、豪ドル円の下落につられる形で110円割れを示現した。また欧州勢参加後もスペイン、イタリアとドイツの10年物国債の利回りスプレッド拡大が売り材料とされ、一時109.203円まで下げ足を強めた。ただ、NY市場ではダウが下げ幅を縮めたことで、投資家のリスクを選考した買いが入ったほか、欧州市場のショートカバーを巻き込んで109.588円まで反発して取引を終えたが、終値ベースでは5営業日続落となっている。

                             今日の展開

ドルは、米国債の格下げ懸念や、脆弱なファンダメンタルから本日も軟調地合いが続く可能性が高いとみる。週末に発表される雇用統計も前回予想を大幅に下回っただけに、市場の警戒ムードは強く、前哨戦となる今夜発表のISM景況指数やADPの雇用統計も下振れ懸念が否めない。また、先週の米GDPが予想を大幅に下回る内容となったことで、来週のFOMCに向けて追加緩和観測が再燃するのでは?といった憶測も飛び交っているだけに値崩れを起こす可能性は依然高いといえそうだ。対円では明日から2日間おこなわれる日銀金融政策決定会合での量的緩和や、政府・日銀による円売り介入といったところが注目されよう。ただ、前日も述べたように日本が単独で介入に踏み切っても効果は薄いため、G7各国の理解を得て協調介入ができるかが焦点だ。

チャートを見ると史上最安値である76.180円を意識した展開が予測されるものの、同価格で底堅く推移できれば、少し変則だが日足でダブルボトムを形成するためテクニカル面で好感できる。また、RSIを始めオシレーター系指標では上昇シグナルが点灯しており、日足一目均衡表の転換線77.50円付近や、ボリンジャーバンド-1σの77.75円付近までの反発は考えておきたい。

ユーロ円は、燻り続ける欧州信用不安からCDS市場ではPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)のスプレッドは軒並み拡大しているほか、米国が債務問題を抱き続けている限り安全通貨として円が選好される地合いが続きそうだ。また、NYダウは前日比265ドル安と8日続落し、投資家の不安心理を示すVIX(恐怖)指数も24.79まで上昇するなど投資家の不安心理が拡大しており、このままリスク回避の展開が続けば、3月17日の安値106.071円も視野に入ってこようか。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   76.20-77.80
ユーロ・円 108.00-111.00
ポンド・円 126.00-129.00

【今日の主な経済指標】
17:00 EUR サービス部門購買担当者景気指数
17:30 GBP サービス部門購買担当者景気指数
18:00 EUR 小売売上高
20:00 USD MBA住宅ローン申請指数
20:30 USD チャレンジャー人員削減数
21:15 USD ADP雇用統計
23:00 USD ISM非製造業

≪2011年8月2日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米債務上限引き上げと財政赤字削減で合意したことを受け、デフォルトといった
最悪の事態を避ける事ができたため、安堵感から「ブル」に変化はない。米国債
の格下げ懸念だが、大手格付け会社3社の内、フィッチ・レーティングスとムー
ディーズ・インベスターズは米連邦債務上限引き上げに関する合意により、米国
がデフォルトに陥るリスクが非常に低いとし、「トリプルA」格付けに見合うと
の見解を示した。今後は、スタンダード・アンド・プアーズがどういった見解を
示すか市場の注目となるものの、同社のみが格下げをした場合ではドルの下落も
限定的と考えることもできようか。

ポンド円「ブル」
円高の地合が継続するなか、リバウンドを狙った買いや、バーゲン・ハント的な
買いが入り約90%参加者が「強気」だ。しかし、米債務問題やイタリアやスペイ
ンなど欧州高債務国の国債利回り上昇に歯止めがかからず、欧州の格下げ懸念も
一段と強まっていることから、リスク回避の展開に欧州通貨であるポンドは苦戦
が強いられようか。

豪ドル円「ブル」
豪4-6月期消費者物価指数などの好結果から早期利上げが期待されていたが、豪
準備銀行(RBA)による政策金利の据え置きと同時に発表された声明文においては
慎重な姿勢が示された。利上げ期待は剥落したものの、良好なファンダメンタル
と高い金利水準を背景に中期的なポジションを視野に入れた買いは散発的に入り
「ブル」となっている。昨日で9会合連続で利上げを見送る決定を下したが「この
ような環境においては、ある程度抑制気味に金融政策を運営することが適切だ」
とも述べており、年末にかけての利上げには含みを残しており、下押しする場面
があれば積極的に押し目を狙ってみたい。

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