FXレポート

米英の休場明けでリスク許容度の変化に注目!!

昨日のドル円は、英国と米国がそれぞれ祝日で市場が休場のため、取引参加者数の減少から動意薄に。東京時間は、月末ゴトー日で仲値に向けてドル買いが観測され81.011円まで上昇したものの、仲値後は一転してドル売りの流れとなり80.80円付近を軟調に推移した。その後、欧州市場ではホノハン・アイルランド中銀総裁が「IMF、EUによる2回目以降の支援について検討する必要はない」との発言があったものの、特段材料視されず80.85円付近での膠着になった。NY市場もメモリアルデーのため休場だったことで流動性が低下するなか、ギリシャ債務問題で「ギリシャが、EUやIMFから支援を受けられないのでは」との見方が重石となり、対ユーロでのドル買いにつられ、一時的にドル円も上昇したものの、持ち高調整の域を出ず80.941円で取引を終えた。

ユーロ円は、英フィナンシャル・タイムズ紙が「EU各国は、ギリシャに対して前例のない外部からの介入を盛り込んだ新たな救済融資に向けて交渉している」と報じたほか、ビーニ・スマギECB理事が「ギリシャが仮にデフォルトすれば、同国の銀行システムは崩壊するだろう」との発言を背景に、ギリシャの財政問題への懸念が高まりユーロ売りが優勢となり115.201円まで軟化した。欧州勢参入後は、時間外取引でのGLOBEXのNYダウ先物が強含んだことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が後退したことにより、ユーロに買い戻しが入ると115.55円付近まで上昇した。NY市場に入ると、ショイブレ独財務相が「ギリシャが、2012年第2四半期の債務の借り換えが出来ると考えることは出来ない」「ギリシャは、昨年の救済パッケージの際に考えられた期待に明らかに応えていない」などの発言があったものの、為替への影響は限定的で前日比-0.011円となる115.577円で取引を終えた。

                             今日の展開

ドルは先週、米経済指標の悪化を背景に連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和第3弾(QE3)の実施観測がでるなど、米国の経済成長の鈍化懸念が強まっているほか、米長期金利の利回りが3.0%を割り込む水準まで低下してきているため、金利面でもドルは売られやすくなっている。本日は、祝日明けとなるNY市場の動きに注目したい。株式市場や商品相場の値動きに伴うリスク許容度の変化が注目されるなか、米経済指標ではケース・シラー米住宅価格指数、シカゴ購買部協会景気指数、消費者信頼感指数などの発表を控えている。これらの指標が市場予測より弱めの数字が出た場合はドル売り圧力が強まることが想定されるため慎重姿勢で臨みたい。

ユーロは、ユーロ圏のおもな経済指標の発表がないため、ギリシャの債務再編や欧州高債務国における財政問題が焦点になろうか。中国政府の当局者は「欧州は債務危機を克服する能力を持っている」「中国は引き続きEUと連携を取っていく」とユーロ債への購入期待が高まる発言をしているものの、ショイブレ独財務相は「ギリシャはEU・IMFからの融資条件として打ち出した目標を明らかに達成していない」とギリシャの債務返済について懸念を示しており、現段階では積極的に買い進むことは困難か。また、来週9日のECB理事会では、政策金利据え置きがほぼ確実と見られているため、利上げ期待の後退を意識した売りも考えられ普段以上にしっかりとリスク管理を行いたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   79.80-82.00
ユーロ・円 115.00-117.00
ポンド・円 132.50-135.50

【今日の主な経済指標】
14:00 JPY  新設住宅着工戸数[前年同月比] 4月
14:45 CHF  四半期国内総生産(GDP)[前期比] 1-3月期
15:00 ZAR  マネーサプライM3[前年同月比] 4月
15:00 DEM  小売売上高指数[前月比] 4月
15:00 DEM  小売売上高指数[前年同月比] 4月
15:45 FRF  消費支出[前月比] 4月
15:45 FRF  卸売物価指数(PPI)[前月比] 4月
16:55 DEM  失業者数[前月比] 5月
16:55 DEM  失業率 5月
18:00 EUR  消費者物価指数(HICP、速報値)[前年同月比] 5月
18:00 EUR  失業率 4月
18:30 ZAR  四半期国内総生産(GDP)[前期比年率] 1-3月期
18:30 ZAR  四半期国内総生産(GDP)[前年同期比] 1-3月期
18:30 ZAR  四半期経常収支 1-3月期
21:00 ZAR  貿易収支 4月
21:30 CAD  鉱工業製品価格[前月比] 4月
21:30 CAD  原料価格指数[前月比] 4月
22:00 CAD  カナダ銀行 政策金利
22:00 USD  ケース・シラー米住宅価格指数 3月
22:00 USD  ケース・シラー米住宅価格指数[前年同月比] 3月
22:45 USD  シカゴ購買部協会景気指数 5月
23:00 USD  消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 5月

≪2011年5月30日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米国がメモリアルデーと祝日で新規取引の手掛かりが乏しいなか、月末ゴトー日
で仲値に向けてドル買いが観測されたことから、参加者も「買い」から入ったよ
うだ。本日は、個人消費を対象とした米消費者信頼感指数の発表を控えているが、
最近の弱い雇用情勢と住宅指標を反映して、市場予測よりも悪化した場合は80円
台を割れる展開も想定しておきたい。

ポンド円「ブル」
米英市場の休場により取引参加者数の減少から動意に欠ける展開になったものの、
参加者は下値での押し目買い意欲が強く「ブル」を維持。英商業会議所(BCC)の
チーフエコノミスト、デービッド・カーン氏は「英中央銀行(BOC)は現在0.5%
の政策金利を8月に0.75%に引き上げる」との見解を示したことから、市場の英利
上げ期待の後退するとの見方から、バイアスはやや弱めになろうか。

豪ドル円「ブル」
日経平均の軟調推移を背景にリスク回避の円買いが散発的に入り下押ししたもの
の、参加者は絶対的な金利差を背景に豪ドル買い需要は強く「ブル」を維持。今
週6月1日に発表される豪四半期国内総生産(GDP)が市場予測よりも悪化するとの
見方がでており、警戒が必要か。ただし、金や原油といった商品相場の上昇に伴
って、資源国通貨の豪ドルが物色される動きは継続していることから、商品相場
の上昇局面では積極的にリスクテイクしたい。

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