ドル円一目均衡表雲の中心で膠着か!
ドル円は、本邦の第1四半期GDPが前期比年率は-3.7%となり、前回分が-1.3%が-3.0%へと下方修正され、GDPデフレータも-1.9%と前回から下落幅を拡大し1955年の統計開始以来最大の下落となったことで81.80円付近まで上昇した。上昇後は、地震の影響から悪化は一時的なものと見方が強まったほか、与謝野経済財政担当相が「財政出動の必要は今のところない」「景気の局面は変わったと判断するには至らない」との見解を述べたことで81.50円付近まで下落した。欧州勢参加後は英・独の株価指数や時間外のNYダウ先物が堅調に推移し、投資家がリスクを取りやすくなるとの見方が再び円売りを誘い、じり高の展開に。また、NY市場では前週分の新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことをきっかけに米金利が上昇し、日米金利差が拡大するとの思惑から一時4月28日以来の高値となる82.227円まで値を上げた。ただ、その後発表された米フィラデルフィア製造業景気指数や、4月の米中古住宅販売件数などが予想より弱い内容だったことが分かると、一転して売り優勢となり、東京時間に付けた安値に迫る81.585円で取引を終えている。
ユーロ円は、NY市場での商品市況やダウの堅調推移を背景にリスク選好の円売りが優勢になった流れを引き継ぎ東京市場では116.65円付近まで上昇した。欧州勢参加後は米格付け会社ムーディーズがデンマークの銀行6行を格下げしたことが重石となったほか、英紙が「今週月曜日のユーロ圏財務相会合で、トリシェECB総裁がギリシャ国債の償還期限が延長された場合、ECBはギリシャ国債をオペの適格担保として認めないと語った」と報じたことがマイナス要因となり、一時116.179円付近まで下押しする場面も見られた。ただ、欧州勢が本格的に参入し75日移動平均線のさしかかる116.20円付近が意識されると流れは一転上向きとなったほか、欧州中央銀行(ECB)が欧州周辺国の債券を購入しているようだとの噂から117円台を示現。引けにかけては利益確定の売りや、NYダウが一時下げに転じるなどやや軟調推移となったが116.748円で取引を終え、4日続伸となった。
今日の展開
ドル円は方向感の出しづらい展開となろうか。昨日米労働省が発表した最新週の新規失業保険申請件数は、前週比2万9000件減の40万9000件と改善したものの、縮小の分岐点である40万件は下回ることが出来ず、依然として米雇用の回復には時間を要しよう。また、エバンス・シカゴ連銀総裁は「数四半期経過すれば金融政策の運営姿勢変更を予測するが、まだ政策運営の姿勢を改める時期ではない」と述べるなど「出口戦略」はまだ先の話となりそうだ。ただ一方の円も本邦の第1四半期GDPは統計開始以来最大の下落となったことで金融緩和長期化観測や追加金融緩和観測が一層強まると予測され、円、ドルともにファンダメンタルは脆弱だろう。しかし、テクニカル面では5日移動平均線が25日移動平均線がゴールデンクロス目前となり、5日線が上抜ければテクニカル的な地合いは強くなり、フィボナッチ4月6日高値85.000円→5月5日安値79.550円の半値戻し82.54円付近が上値目標となりそうだ。
ユーロ円は、緩やかながらギリシャの債務再編シナリオが織り込まれつつあり、欧州高債務国を巡る過度の悲観論も下火となっているとみる。また、本邦の第1四半期GDP下振れや、武田薬品工業がスイスのナイコメッドを96億ユーロで、東芝もスイスのランディス・ギアを23億ドルで買収すると正式発表しており、円売り・ユーロ買い期待も考えられようか。テクニカル面でも日足には陽線が4営業日となり下落の流れにブレーキがかかり、75日移動平均線もしっかり上抜けており、25日移動平均線のある117.80円付近までの期待感は高まろう。
しかし、前日も述べたが、ユーログループのユンケル議長がギリシャ債務の「ソフトな再編」について言及しているが昨日も欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁、シュタルクECB理事、ビニスマギ理事らが、同国の債務再編に否定的見解を示しており、欧州金融当局者の足並みは揃ってはいない。また、PIIGSの独債券の10年債利回り格差はポルトガルを除き全ての国で拡大をしており、まだまだ強き一辺倒にはいかいない模様だ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.50-82.50
ユーロ・円 115.00-117.50
ポンド・円 131.00-134.00
【今日の主な経済指標】
13:30 JPY 全産業活動指数
15:00 DEM 生産者物価指数
17:00 EUR 経常収支
20:00 CAD 消費者物価指数
21:30 CAD 小売売上高
23:00 EUR 消費者信頼感
≪2011年5月19日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米経済指標が軒並み市場の事前予想を割り込んだ事で、FRBに対する早期の
出口戦略期待が遠のいたものの、タカ派で知られるフィッシャー・ダラス
連銀総裁は「第1四半期GDPが上方修正される可能性ある」とし、来週の第
1四半期GDP改訂値への期待を煽った事で参加者は「強気」だ。ただ、FRB内
では依然としてハト派色が強く、一部のタカ派発言を頼りに買い進むこと
は危険である上、雇用回復、住宅関連、個人消費の指標を見ても不透明感
は強く、慎重スタンスは維持しておきたい。テクニカル面では再び一目均
衡表雲の中心に戻ったことで膠着した状況が続く可能性がもあり、週末要
因から調整的な値動きに終始した場合は、RSIを頼りに逆張も検討したい。
ポンド円「ブル」
4月英小売売上高指数が前月比+1.1%と予想の同+0.8%から上振れしたこ
とを受けてポンド買いが活発化し「ブル」となっている。注目される英国
の早期利上げについて英消費者物価指数が前年比+4.5%に達するなど英イ
ンフレ懸念が引き続き高まっているものの、依然として英景気を巡る不透
明感は強く、英中央銀行(BOE)が5日開いた政策委員会の議事録では、過
半数のメンバーが現時点での利上げは景気回復を損なう恐れがあるとの見
解を示すなどハト派が多数を占めており、現段階で英利上げを期待するに
は時期尚早だろう。
豪ドル円「ブル」
原油高を背景とした資源国通貨買いに加え、高い金利水準を背景に参加者
の買い意欲は旺盛で「ブル」にとなっている。中国の金融引き締めなど豪
ドルは調整が続きやすい地合ではあるが、日銀の金融緩和長期化観測が強
まるなか、明確な金利差から豪ドルは買われやすいだろう。また、19日の
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動き
に基づいて算出される恐怖指数は15.70付近まで低下しており、リスクテ
イクしやすい地合いに円安を想定しておく必要がありそうだ。
ユーロ円は、NY市場での商品市況やダウの堅調推移を背景にリスク選好の円売りが優勢になった流れを引き継ぎ東京市場では116.65円付近まで上昇した。欧州勢参加後は米格付け会社ムーディーズがデンマークの銀行6行を格下げしたことが重石となったほか、英紙が「今週月曜日のユーロ圏財務相会合で、トリシェECB総裁がギリシャ国債の償還期限が延長された場合、ECBはギリシャ国債をオペの適格担保として認めないと語った」と報じたことがマイナス要因となり、一時116.179円付近まで下押しする場面も見られた。ただ、欧州勢が本格的に参入し75日移動平均線のさしかかる116.20円付近が意識されると流れは一転上向きとなったほか、欧州中央銀行(ECB)が欧州周辺国の債券を購入しているようだとの噂から117円台を示現。引けにかけては利益確定の売りや、NYダウが一時下げに転じるなどやや軟調推移となったが116.748円で取引を終え、4日続伸となった。
今日の展開
ドル円は方向感の出しづらい展開となろうか。昨日米労働省が発表した最新週の新規失業保険申請件数は、前週比2万9000件減の40万9000件と改善したものの、縮小の分岐点である40万件は下回ることが出来ず、依然として米雇用の回復には時間を要しよう。また、エバンス・シカゴ連銀総裁は「数四半期経過すれば金融政策の運営姿勢変更を予測するが、まだ政策運営の姿勢を改める時期ではない」と述べるなど「出口戦略」はまだ先の話となりそうだ。ただ一方の円も本邦の第1四半期GDPは統計開始以来最大の下落となったことで金融緩和長期化観測や追加金融緩和観測が一層強まると予測され、円、ドルともにファンダメンタルは脆弱だろう。しかし、テクニカル面では5日移動平均線が25日移動平均線がゴールデンクロス目前となり、5日線が上抜ければテクニカル的な地合いは強くなり、フィボナッチ4月6日高値85.000円→5月5日安値79.550円の半値戻し82.54円付近が上値目標となりそうだ。
ユーロ円は、緩やかながらギリシャの債務再編シナリオが織り込まれつつあり、欧州高債務国を巡る過度の悲観論も下火となっているとみる。また、本邦の第1四半期GDP下振れや、武田薬品工業がスイスのナイコメッドを96億ユーロで、東芝もスイスのランディス・ギアを23億ドルで買収すると正式発表しており、円売り・ユーロ買い期待も考えられようか。テクニカル面でも日足には陽線が4営業日となり下落の流れにブレーキがかかり、75日移動平均線もしっかり上抜けており、25日移動平均線のある117.80円付近までの期待感は高まろう。
しかし、前日も述べたが、ユーログループのユンケル議長がギリシャ債務の「ソフトな再編」について言及しているが昨日も欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁、シュタルクECB理事、ビニスマギ理事らが、同国の債務再編に否定的見解を示しており、欧州金融当局者の足並みは揃ってはいない。また、PIIGSの独債券の10年債利回り格差はポルトガルを除き全ての国で拡大をしており、まだまだ強き一辺倒にはいかいない模様だ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.50-82.50
ユーロ・円 115.00-117.50
ポンド・円 131.00-134.00
【今日の主な経済指標】
13:30 JPY 全産業活動指数
15:00 DEM 生産者物価指数
17:00 EUR 経常収支
20:00 CAD 消費者物価指数
21:30 CAD 小売売上高
23:00 EUR 消費者信頼感
≪2011年5月19日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
米経済指標が軒並み市場の事前予想を割り込んだ事で、FRBに対する早期の
出口戦略期待が遠のいたものの、タカ派で知られるフィッシャー・ダラス
連銀総裁は「第1四半期GDPが上方修正される可能性ある」とし、来週の第
1四半期GDP改訂値への期待を煽った事で参加者は「強気」だ。ただ、FRB内
では依然としてハト派色が強く、一部のタカ派発言を頼りに買い進むこと
は危険である上、雇用回復、住宅関連、個人消費の指標を見ても不透明感
は強く、慎重スタンスは維持しておきたい。テクニカル面では再び一目均
衡表雲の中心に戻ったことで膠着した状況が続く可能性がもあり、週末要
因から調整的な値動きに終始した場合は、RSIを頼りに逆張も検討したい。
ポンド円「ブル」
4月英小売売上高指数が前月比+1.1%と予想の同+0.8%から上振れしたこ
とを受けてポンド買いが活発化し「ブル」となっている。注目される英国
の早期利上げについて英消費者物価指数が前年比+4.5%に達するなど英イ
ンフレ懸念が引き続き高まっているものの、依然として英景気を巡る不透
明感は強く、英中央銀行(BOE)が5日開いた政策委員会の議事録では、過
半数のメンバーが現時点での利上げは景気回復を損なう恐れがあるとの見
解を示すなどハト派が多数を占めており、現段階で英利上げを期待するに
は時期尚早だろう。
豪ドル円「ブル」
原油高を背景とした資源国通貨買いに加え、高い金利水準を背景に参加者
の買い意欲は旺盛で「ブル」にとなっている。中国の金融引き締めなど豪
ドルは調整が続きやすい地合ではあるが、日銀の金融緩和長期化観測が強
まるなか、明確な金利差から豪ドルは買われやすいだろう。また、19日の
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動き
に基づいて算出される恐怖指数は15.70付近まで低下しており、リスクテ
イクしやすい地合いに円安を想定しておく必要がありそうだ。