FXレポート

ギリシャ10年債利回りは13%を突破!欧州信用不安再燃か!?

ドル円は、日経平均がマイナスで寄り付いたことをきっかけに、先週までの円売りポジションの調整とみられる円買いが優勢となり、サポートとされた200日移動平均が位置する83.45円付近を割り込むと83.30円付近へと下落した。売り一巡後は米景気の回復期待によるドル買いも持ち込まれたほか、震災の影響で停止していた工場の一部再開を好感した日経平均の持ち直しもあり83.70円付近へと浮上。しかし、欧州勢参加後はユーロ円中心にクロス円が再び売られたことにつれたほか、米10年物国債利回りが低下すると攻防が続いていた200日移動平均線を再び割り込み83.10円付近まで軟化した。また、NY市場に移っても米国の新規失業保険申請件数は41.2万件と市場の予想(38.0万件)を大きく上回り、5週間ぶりに40万件の大台乗せとなり、天候や祝祭日の影響を省くために注視される4週間移動平均も39.575万件と前回から悪化し一時82.954円まで下値を拡大した。ただ、引きにかけて米10年物国債利回りが上昇に転たほか、野田財務相は、G7で「日本経済には下押しリスクがある、為替相場に関して協調体制を継続するように要請する」と述べたことで介入期待から83.485円まで買い戻され取引を終えている。

ユーロ円は、S&Pが「ギリシャの公的債務の再構成には50-70%の債務減免の必要がある」との見解を示すなど、ギリシャ債務再編問題が重石となったNY市場の地合いが引き継がれたほか、日経平均が軟調に始まったことを受けて東京市場序盤に120.20円付近まで下落。その後は、欧州の金利先高観がサポートとなるなか、NYダウ先物の底堅い推移を背景にリスク選好の円売りが優勢になったほか、一部報道で明日発表の中国経済指標で、鉱工業生産や小売売上高などが市場予想を上回る見通しとなるなど、同国経済の好調さが伝えられたこともサポートとなり、欧州市場序盤には121.35円付近まで反発した。ただ、欧州市場中盤にアイルランドは自発的なデフォルトの可能性があるとの報道や、シュタルクECB専務理事による「ECBがアイルランドの銀行にGDPの最大100%の流動性を供給しているのは健全な状況でない」とのコメント。更にアイルランドやギリシャの10年債と独連邦債の利回りスプレッド拡大を受け、欧州ソブリンリスクの懸念が再燃し、一時119.263円まで下落した。しかし、NY勢参加後は急速に売られた反動で買い戻しの流れが継続したほか、安く始まったNYダウが上げに転じたことで、投資家のリスク回避姿勢を意識した売り圧力が後退。引けにかけても、野田財務相がG7で「為替に関する協調体制を継続するように要請する」と述べた事で120.973円まで反発して取引を終えている。
    
                             今日の展開

ドル円は、FRBの利上げ期待が後退し米長期金利にも低下圧力がかかっているため積極的にドルを買う地合いではないものの、日本の景気下振れリスクや放射能汚染拡大を懸念した円安の可能性も否めず、難しい局面に差し掛かっている。また、昨日からG7(中央銀行総裁会議)が開催しており、会議では、野田財務相が主要国に対して協調介入姿勢の継続を要請したものの、主要議題としては、中国など新興国通貨の切り上げ問題の議論が中心となるため、介入期待の影響は限定的と考えらる。テクニカル面では200日移動平均線のさしかかる83.45円付近のサポートラインがブレイクされ、もみ合いの放れる方向を探る動きとなるだろう。ただ、強弱材料の綱引きが続いており、方向感の定まらない展開となった場合は、RSIや、ストキャスティクスなどを眺めながらの逆張りも検討したい。ボックスの目処として、下値は一目均衡雲上限や25.75日移動平均線のさしかかる82.50-60円付近とし、上値は5日移動平均線のさしかかる84.00円付近が強いレジスタンスとなろうか。

ユーロは米格付会社S&Pが「ギリシャの公的債務の再構成には50-70%のヘアカットということもあり得る」との見通しを示したことを受けて、同国の債券利回りが過去最高へと上昇し、バイアスもやや弱気となっており下押しを警戒したい。対円は日欧の金利差や、日本の景気下振れリスクを背景に積極的に円を買いにくい状況ではあるが、行き過ぎた感のあるユーロロングと円ショートの週末に伴うポジション調整が入る可能性があり、一本調子の上昇は考えにくい。また、テクニカル面ではチャネルシステムも高値支持帯である121.60円付近を明確に下回ったことで上昇トレンドが崩れたと考える事ができ、本日再び120.00円をブレイクした場合は昨日の安値である119.263円まで下値余地が広げておく必要があるだろう。対ドルもECBの利上げを受けたユーロ買いは一巡している上、マーケットの焦点が再び欧州重債務国の信用不安に当たることも考えられ、短期的な下振れリスクには注意しておきたい。テクニカル面では、今週に入り連続で心理的節目である1.450ドルを一時的にブレイクしたものの、終値ベースでは上値を抑えられており、同水準を終値ベースで上抜けることができるか否かが焦点となるだろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   82.60-84.00
ユーロ・円 119.20-121.50
ポンド・円 135.00-138.00

【今日の主な経済指標】
13:30 JPY 鉱工業生産
18:00 EUR 消費者物価指数
18:00 EUR 貿易収支
21:30 USD 消費者物価指数
21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:00 USD 対米証券投資
22:15 USD 設備稼働率
22:15 USD 鉱工業生産
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数

≪2011年4月14日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
特に買い材料が出たわけではないが市場には円の先安観が市場に色濃く残っており、
下落局面では押し目を買いのチャンスと見る参加者が依然として多く「ブル」となっ
ている。バーナンキ議長を筆頭に米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派メンバーが抱
く最悪の懸念は、「利上げを急ぎすぎて景気回復の勢いを削いでしまうことだ」とし
ており、市場のセンチメントは米国の金融緩和政策の現状維持がほぼ確実との見方に
なっている。ハト派に押されて米長期金利が一段と低下する可能性があり、金利面か
らはドル売り圧力がかかりやすいとみられるが、今夜21時30分発表の消費者物価指数
(CPI)の上振れや、米国の主要企業決算で強い数字が確認できれば「出口戦略」期
待が再び高まる可能性があるだろう。

ポンド円「ブル」
英ファンダメンタルの脆弱さを背景に売りも散見したが、米企業決算が本格化するな
か、企業業績の改善期待を背景とした買いが進み、NYダウが続伸したことで僅かに
「ブル」が優勢となった。3月英消費者物価指数や3月英雇用統計の下振れを受けて、
英中銀の早期利上げ期待が遠のいていることもあり、ポンドを積極的に買い進むべき
材料は見当たらないだろう。しかし、シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株
価指数オプションの値動きに基づいて算出される恐怖指数は16.40付近まで低下し、
前日の清算値から約0.5ポイント低い水準で推移しており、リスク許容度が徐々に改
善していることはサポートとなろう。

豪ドル円「ブル」
高金利通貨・資源国通貨が物色される展開に変化はなく参加者は「強気」スタンスを
崩していない。米国は貿易赤字と財政赤字が、欧州ではギリシャの債務再編懸念が高
まり、日本も震災による景気下振れリスクや放射能汚染拡大への懸念があることから、
ドル、ユーロ、円はいずれも買いづらく、景気・財政が健全で高金利である豪ドルは
引き続き選好されるだろう。ただ、週末ということもあり、調整的な売りが入る可能
性には留意しておきたい。

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