FRBは「出口戦略」を模索
昨日のドル円は先週末の「出口戦略」への期待感によるドル買いの流れが引継がれた上、時間外取引で米長期金利が強含んだことを受けて、東京市場では81.842円まで上昇した。欧州勢参入後は、一時20銭ほど反落する場面が見られたものの、時間外のNYダウ先物が堅調に推移するとドル買いが入り下値は限定的となった。NY市場では、米個人消費支出が前月比0.2%増と予想と同じだったほか、NYダウで大きな動きが見られないなど、取引材料不足から方向感が確認できなかった。引けにかけても、手掛かり難から様子見ムードの強い展開で10銭前後の狭いレンジ取引となり81.712円で取引を終えた。
ユーロ円は、メルケル独首相が率いる連立与党が週末の地方選挙で敗北したことで政局不安が意識され、ユーロ売り要因に繋がると一時114.215円まで下落して始まったものの、ドル円の堅調な推移にサポートされたことで、東京市場終盤には115.00円付近まで上昇した。しかし、欧州市場に移ると、米格付け会社S&Pによるポルトガルの銀行格下げの報道に加え、利益確定の売りに押されると114.55円付近まで反落した。NY市場に入ると、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁が「インフレ率は永続的に物価安定目標の上にある」「諸国は2%以下のインフレを目標にすべき」などと述べ、早期利上げが意識されたことで再びユーロ買いが優勢となり115.309円の日通しの高値を更新した。引けにかけても高値圏をキープし115.139円で取引を終えた。
今日の展開
ドル円は、3月期末に絡んだ本邦企業の円買い圧力が一巡すれば、中期的には円安が進行する可能性も否定できないだろう。また、フィッシャー・ダラス連銀総裁は「米国は緩和策の終了に近づいている」「FRBが量的緩和に関し、次の一手を打ち出すとは考えにくい」とし、プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁も「そう遠くない将来に、緩和的な金融政策の解消に着手する必要があるだろう」と発言をするなど、地区連銀総裁の「出口戦略」に向けたタカ派的な発言が目立っていることもサポートとなりそうだ。テクニカル面でも短期的な上値抵抗と目されていた25日間移動平均線のさしかかる81.50円付近を上抜けたことで買い安心感が強まっており、本日は介入後の高値である81.992円を抜け82円台に定着できるかに注目したい。
ユーロは、トリシェ総裁が「ECBの物価安定にはインフレ率2%未満が好ましく、インフレ率が2%超の水準で推移していることは懸念材料だ」と述べており、来月7日のECB理事会から利上げサイクルに入るとの見方が濃厚となっている。また、本日独消費者物価指数の発表で予想(2.2%)を上回るようであれば、ユーロ圏のインフレ圧力は一層高まるだろう。 ただし、ドイツやフランス経済は堅調としても、PIIGSを始めとする南欧は緊縮財政が続いており、こういった国にとって、ECBの利上げは大きなマイナスとなるため景況感やインフレ率の状況によっては、来月7日の理事会で利上げしない可能性もゼロではなく、その場合はユーロにとって大きなリスクとなることは考慮しておきたい。また、0.25%利上げを決定しても市場では概ね織り込みとなっており、決定後は利食いにさらされる可能性もあるため、強き一辺倒にはいかないと考えられる。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.00-82.50
ユーロ・円 114.00-116.00
ポンド・円 128.00-131.00
【今日の主な経済指標】
15:00 DEM GFK消費者信頼感調査
15:45 FRF 消費支出[前月比]
17:30 GBP 四半期経常収支
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前期比]
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前年同期比]
17:30 GBP 消費者信用残高
17:30 GBP マネーサプライM4[前月比]
17:30 GBP マネーサプライM4[前年同月比]
21:00 ZAR 貿易収支
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数[前年同月比]
23:00 USD 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
≪2011年3月28日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
「ブル」継続となったが、上昇局面では逆張りの売りも目立ち割合は70%を割り込んでいる。
介入警戒感とリパトリ圧力に挟まれて81円付近での膠着が続いていたものの、米GDPが前期比
年率+3.0%の水準を回復したことからFOMCメンバーの発言内容もタカ派色が強まっており、
ようやくもみ合いから抜け出し動意がつき始めてきた。ただ、明日の米ADP雇用統計、金曜日
に公式雇用統計の発表と重要イベントを控えており、ポジションを大きく傾けにくいため、
ここからの上昇余地は限定的とみることもできよう。
ポンド円「ブル」
英中銀は利上げに慎重な姿勢を示しており、積極的な買い材料が見当たらない状態ではある
ものの、テクニカル的には日足一目均衡表雲下限130.10円付近がサポートされ「ブル」とな
っている。英インフレは年内に5%に達するとの見方が浮上しているが、英景気減速リスクも
強いため、英中銀は利上げを急がない姿勢を示しており、英利上げ先送り観測から地合いは
悪化する可能性があるだろう。また、米格付け会社ムーディーズが「経済の減速で財政健全
化の足並みが損なわれるなら、英国のAAA格付けがリスクにさらされる恐れある」との認識を
示していることもマイナス要因として意識されるだろう。
豪ドル円「ブル」
株高、商品高を背景に7営業日続伸しており、高値警戒感から新規売りが散発的に入り割合は
60%となったものの、絶対的な金利差を背景に「ブル」は継続している。ユーロは高債務国
の信用不安、ポンドは英早期利上げの剥落、ドルは米景気鈍化懸念と長期金利低下、円は震
災の影響といった要因から消去法で本日も豪ドルが物色される可能性があるだろう。また、
日本の原発事故を受けて代替燃料の石炭や天然ガスが高騰していることも、強気材料となろ
うか。
ユーロ円は、メルケル独首相が率いる連立与党が週末の地方選挙で敗北したことで政局不安が意識され、ユーロ売り要因に繋がると一時114.215円まで下落して始まったものの、ドル円の堅調な推移にサポートされたことで、東京市場終盤には115.00円付近まで上昇した。しかし、欧州市場に移ると、米格付け会社S&Pによるポルトガルの銀行格下げの報道に加え、利益確定の売りに押されると114.55円付近まで反落した。NY市場に入ると、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁が「インフレ率は永続的に物価安定目標の上にある」「諸国は2%以下のインフレを目標にすべき」などと述べ、早期利上げが意識されたことで再びユーロ買いが優勢となり115.309円の日通しの高値を更新した。引けにかけても高値圏をキープし115.139円で取引を終えた。
今日の展開
ドル円は、3月期末に絡んだ本邦企業の円買い圧力が一巡すれば、中期的には円安が進行する可能性も否定できないだろう。また、フィッシャー・ダラス連銀総裁は「米国は緩和策の終了に近づいている」「FRBが量的緩和に関し、次の一手を打ち出すとは考えにくい」とし、プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁も「そう遠くない将来に、緩和的な金融政策の解消に着手する必要があるだろう」と発言をするなど、地区連銀総裁の「出口戦略」に向けたタカ派的な発言が目立っていることもサポートとなりそうだ。テクニカル面でも短期的な上値抵抗と目されていた25日間移動平均線のさしかかる81.50円付近を上抜けたことで買い安心感が強まっており、本日は介入後の高値である81.992円を抜け82円台に定着できるかに注目したい。
ユーロは、トリシェ総裁が「ECBの物価安定にはインフレ率2%未満が好ましく、インフレ率が2%超の水準で推移していることは懸念材料だ」と述べており、来月7日のECB理事会から利上げサイクルに入るとの見方が濃厚となっている。また、本日独消費者物価指数の発表で予想(2.2%)を上回るようであれば、ユーロ圏のインフレ圧力は一層高まるだろう。 ただし、ドイツやフランス経済は堅調としても、PIIGSを始めとする南欧は緊縮財政が続いており、こういった国にとって、ECBの利上げは大きなマイナスとなるため景況感やインフレ率の状況によっては、来月7日の理事会で利上げしない可能性もゼロではなく、その場合はユーロにとって大きなリスクとなることは考慮しておきたい。また、0.25%利上げを決定しても市場では概ね織り込みとなっており、決定後は利食いにさらされる可能性もあるため、強き一辺倒にはいかないと考えられる。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.00-82.50
ユーロ・円 114.00-116.00
ポンド・円 128.00-131.00
【今日の主な経済指標】
15:00 DEM GFK消費者信頼感調査
15:45 FRF 消費支出[前月比]
17:30 GBP 四半期経常収支
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前期比]
17:30 GBP 四半期国内総生産(GDP、確定値)[前年同期比]
17:30 GBP 消費者信用残高
17:30 GBP マネーサプライM4[前月比]
17:30 GBP マネーサプライM4[前年同月比]
21:00 ZAR 貿易収支
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
22:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数[前年同月比]
23:00 USD 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
≪2011年3月28日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
「ブル」継続となったが、上昇局面では逆張りの売りも目立ち割合は70%を割り込んでいる。
介入警戒感とリパトリ圧力に挟まれて81円付近での膠着が続いていたものの、米GDPが前期比
年率+3.0%の水準を回復したことからFOMCメンバーの発言内容もタカ派色が強まっており、
ようやくもみ合いから抜け出し動意がつき始めてきた。ただ、明日の米ADP雇用統計、金曜日
に公式雇用統計の発表と重要イベントを控えており、ポジションを大きく傾けにくいため、
ここからの上昇余地は限定的とみることもできよう。
ポンド円「ブル」
英中銀は利上げに慎重な姿勢を示しており、積極的な買い材料が見当たらない状態ではある
ものの、テクニカル的には日足一目均衡表雲下限130.10円付近がサポートされ「ブル」とな
っている。英インフレは年内に5%に達するとの見方が浮上しているが、英景気減速リスクも
強いため、英中銀は利上げを急がない姿勢を示しており、英利上げ先送り観測から地合いは
悪化する可能性があるだろう。また、米格付け会社ムーディーズが「経済の減速で財政健全
化の足並みが損なわれるなら、英国のAAA格付けがリスクにさらされる恐れある」との認識を
示していることもマイナス要因として意識されるだろう。
豪ドル円「ブル」
株高、商品高を背景に7営業日続伸しており、高値警戒感から新規売りが散発的に入り割合は
60%となったものの、絶対的な金利差を背景に「ブル」は継続している。ユーロは高債務国
の信用不安、ポンドは英早期利上げの剥落、ドルは米景気鈍化懸念と長期金利低下、円は震
災の影響といった要因から消去法で本日も豪ドルが物色される可能性があるだろう。また、
日本の原発事故を受けて代替燃料の石炭や天然ガスが高騰していることも、強気材料となろ
うか。