欧州ソブリンリスク再燃か
昨日のドル円は、福島原発問題や中東情勢などの不透明要因が上値を抑えた一方、下値では介入警戒感も強かったため、上下ともに積極的に試しづらく、東京市場は概ね80.95円を中心とした狭いレンジ内で一進一退の展開となった。欧州市場に入っても方向感の乏しい展開となったが、米ムーディーズがスペインの銀行30行の格下げを発表したほか、世界第2位の清算・決済機関LCHクリアネットが、アイルランド国債を取引きする際の必要証拠金を35%へと引き上げるなど、欧州の債務懸念を背景に対ユーロを中心にリスク回避の円買いが優勢になったことで一時80.763円へと下押しした。NY時間では米商務省が発表した2月米耐久財受注額が前月比0.9%減、輸送関連を除いた受注額でも前月比0.6%減と、それぞれ市場予想平均を下回ったことで軟化する場面もあったが、下値では介入警戒感がくすぶる上、ユーロ円の上昇つれた円売りがでたことで下値は限定された。その後も新規材料難から目立った動きはなく前日比+0.159円の80.988円で引け、終日の値動きが上下30銭以内と方向感に欠ける展開となった。
ユーロ円は東京市場序盤、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の実質融資能力を4400億ユーロに拡大する計画の詳細を、今会議ではなく「6月末までに決定する」との方針を示したことが失望売りを誘い上値の重い展開となった。また、東京市場終盤にはスウェーデン金融監督庁のチーフエコノミストが「欧州のストレステストで多くの銀行が失格となる」との認識を示したことが重石となり113.95円付近へと軟化。その後の欧州市場でも米ムーディーズがスペインの銀行30行の格下げを発表した上、LCHクリアネットによるアイルランド国債の必要証拠金引き上げを受けて、欧州債務懸念の高まるなかユーロ売りが強まると、一時113.549円まで続落した。ただ、売りが一巡すると欧州中央銀行(ECB)による利上げ観測が根強いなか、市場では「下値では中東勢からの買いが入った」との声が聞かれ114円台を回復。NY勢参加後も欧米株式相場が堅調な展開となったことでリスク許容度拡大を背景とする買いが下値を支えし114.777円まで上昇して取引を終えた。
本日の展開
ドル円は未だ財務省・日銀が介入を実施するとの思惑が作用していることや、日銀による積極的な資金供給によって資金余剰感を表す目安となる日銀当座預金残高(民間金融機関が日銀に保有している無利子の預金の残高)が過去最大の41.83兆円規模に拡大している事などを要因に底堅い展開が予測される。しかし、上値も押し上げ介入の可能性は小さいとみられる上、月末、年度末を控えて実需のドル売りやリパトリの円買いがかさむ時期でもあり、積極的に買い進むべき材料も見当たらないため、上昇余地も限定的となろうか。強弱材料の綱引きが続いており、本日も81.00円前後でのこう着が続く可能性は否めないだろう。ただし、福島原発・中東情勢・欧州ソブリン問題など不透明要因は多いため、これらを巡る突発的なニュースには引続き警戒が必要となろう。また、最近は米経済指標に反応は薄いものの、NY時間に発表される四半期実質国内総生産(21:30)ミシガン大学消費者態度指数(22:55)にも注視しておきたい。
ユーロ円は、来月7日に発表される欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測を背景に底堅い値動きが続いているものの、欧州高債務国の問題が一気に再燃しており、短期的には下値を探る展開となろうか。さて、欧州高債務国問題だが、アイルランドの銀行債務問題に加え、ポルトガルの財政懸念や政局不透明感から米格付け会社フィッチはポルトガルの格付けを「A-」に格下げ、更に追加格下げの可能性も指摘している。更に両国の10年債利回りはアイルランドがユーロ導入以来初の10%台へと上昇、ポルトガルも7.82%と、前回ギリシャが金融支援要請に動く前の水準を上回っている。また、来月7日のECB理事会での利上げはやや織り込み済みとなっているため、利上げ期待を後退させるようなニュースにはネガティブに反応しやすいだろう。ただ、テクニカル面では5日、25日、75日の移動平均はいずれも上向いていることから上昇トレンドと確認することができるほか、チャネルシステムでも高値支持帯の上方に位置するなど買いシグナルが出ている点には留意しておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-81.50
ユーロ・円 113.00-114.50
ポンド・円 130.50-134.00
【今日の主な経済指標】
16:00 DEM GFK消費者信頼感調査
16:00 DEM 輸入物価指数[前月比]
16:45 FRF 消費者信頼感指数
18:00 EUR マネーサプライM3
18:00 DEM IFO企業景況感指数
21:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、確定値)
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2011年3月24日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
18日以降82円の高値をつけた後は動意の薄い展開となっているものの、下値では
政府・日銀による介入期待から買いが散見し「ブル」となっている。2月米耐久
財受注額が予想を下回り、米経済を下支えしている製造業セクターにおいても米
景気鈍化が確認された上、18日の協調介入の際にロングを形成した参加者のロン
グポジションが残っていることも上値を重くしそうだ。現段階では機能している
協調介入への警戒感も徐々に剥落する可能性もあり、心理的節目である80.00円
を試す展開も想定しておきたい。
ポンド円「ブル」
英国立統計局が発表した2月英小売売上高指数が市場予想平均を下回ったことや、
米格付け会社ムーディーズが「英国の成長減速リスクや弱い財政再建が英国の
『AAA』格付けを危うくする可能性がある」との見解を示したことで一時130円前
半まで下落すると、割安感から押し目買い優勢となり「ブル」。第2四半期の英
利上げ期待がやや後退している上、ポルトガルやアイルランドといった欧州高債
務国の信用不安を背景にユーロが下落する展開も想定され、ポンドも連れ安とな
る可能性もあるだろう。
豪ドル円「ブル」
中国の3月HSBC中国製造業PMIが52.5と2カ月ぶりの高水準となったことや、NYダウ、
ドイツDAX、イギリスFTSE100と欧米の株価が堅調に推移したことでシカゴオプショ
ン市場(CBOE)では恐怖指数は18.00付近まで低下、前日の清算値から約1ポイント
強低い水準で推移しており、リスク許容度の高まりから高リスク通貨である豪ドル
が物色され「ブル」となっている。テクニカル的にも日足一目均衡表の雲が控える
82.50円付近の強固なレジスタンスを上抜けたため地合いは強いと言えよう。また、
ユーロは高債務国の信用不安、ポンドは英早期利上げの剥落、ドルは米景気鈍化懸
念と長期金利低下、といった要因から消去法的に豪ドルが買われる展開もあろう。
ユーロ円は東京市場序盤、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の実質融資能力を4400億ユーロに拡大する計画の詳細を、今会議ではなく「6月末までに決定する」との方針を示したことが失望売りを誘い上値の重い展開となった。また、東京市場終盤にはスウェーデン金融監督庁のチーフエコノミストが「欧州のストレステストで多くの銀行が失格となる」との認識を示したことが重石となり113.95円付近へと軟化。その後の欧州市場でも米ムーディーズがスペインの銀行30行の格下げを発表した上、LCHクリアネットによるアイルランド国債の必要証拠金引き上げを受けて、欧州債務懸念の高まるなかユーロ売りが強まると、一時113.549円まで続落した。ただ、売りが一巡すると欧州中央銀行(ECB)による利上げ観測が根強いなか、市場では「下値では中東勢からの買いが入った」との声が聞かれ114円台を回復。NY勢参加後も欧米株式相場が堅調な展開となったことでリスク許容度拡大を背景とする買いが下値を支えし114.777円まで上昇して取引を終えた。
本日の展開
ドル円は未だ財務省・日銀が介入を実施するとの思惑が作用していることや、日銀による積極的な資金供給によって資金余剰感を表す目安となる日銀当座預金残高(民間金融機関が日銀に保有している無利子の預金の残高)が過去最大の41.83兆円規模に拡大している事などを要因に底堅い展開が予測される。しかし、上値も押し上げ介入の可能性は小さいとみられる上、月末、年度末を控えて実需のドル売りやリパトリの円買いがかさむ時期でもあり、積極的に買い進むべき材料も見当たらないため、上昇余地も限定的となろうか。強弱材料の綱引きが続いており、本日も81.00円前後でのこう着が続く可能性は否めないだろう。ただし、福島原発・中東情勢・欧州ソブリン問題など不透明要因は多いため、これらを巡る突発的なニュースには引続き警戒が必要となろう。また、最近は米経済指標に反応は薄いものの、NY時間に発表される四半期実質国内総生産(21:30)ミシガン大学消費者態度指数(22:55)にも注視しておきたい。
ユーロ円は、来月7日に発表される欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測を背景に底堅い値動きが続いているものの、欧州高債務国の問題が一気に再燃しており、短期的には下値を探る展開となろうか。さて、欧州高債務国問題だが、アイルランドの銀行債務問題に加え、ポルトガルの財政懸念や政局不透明感から米格付け会社フィッチはポルトガルの格付けを「A-」に格下げ、更に追加格下げの可能性も指摘している。更に両国の10年債利回りはアイルランドがユーロ導入以来初の10%台へと上昇、ポルトガルも7.82%と、前回ギリシャが金融支援要請に動く前の水準を上回っている。また、来月7日のECB理事会での利上げはやや織り込み済みとなっているため、利上げ期待を後退させるようなニュースにはネガティブに反応しやすいだろう。ただ、テクニカル面では5日、25日、75日の移動平均はいずれも上向いていることから上昇トレンドと確認することができるほか、チャネルシステムでも高値支持帯の上方に位置するなど買いシグナルが出ている点には留意しておきたい。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-81.50
ユーロ・円 113.00-114.50
ポンド・円 130.50-134.00
【今日の主な経済指標】
16:00 DEM GFK消費者信頼感調査
16:00 DEM 輸入物価指数[前月比]
16:45 FRF 消費者信頼感指数
18:00 EUR マネーサプライM3
18:00 DEM IFO企業景況感指数
21:30 USD 四半期実質国内総生産(GDP、確定値)
22:55 USD ミシガン大学消費者態度指数
≪2011年3月24日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
18日以降82円の高値をつけた後は動意の薄い展開となっているものの、下値では
政府・日銀による介入期待から買いが散見し「ブル」となっている。2月米耐久
財受注額が予想を下回り、米経済を下支えしている製造業セクターにおいても米
景気鈍化が確認された上、18日の協調介入の際にロングを形成した参加者のロン
グポジションが残っていることも上値を重くしそうだ。現段階では機能している
協調介入への警戒感も徐々に剥落する可能性もあり、心理的節目である80.00円
を試す展開も想定しておきたい。
ポンド円「ブル」
英国立統計局が発表した2月英小売売上高指数が市場予想平均を下回ったことや、
米格付け会社ムーディーズが「英国の成長減速リスクや弱い財政再建が英国の
『AAA』格付けを危うくする可能性がある」との見解を示したことで一時130円前
半まで下落すると、割安感から押し目買い優勢となり「ブル」。第2四半期の英
利上げ期待がやや後退している上、ポルトガルやアイルランドといった欧州高債
務国の信用不安を背景にユーロが下落する展開も想定され、ポンドも連れ安とな
る可能性もあるだろう。
豪ドル円「ブル」
中国の3月HSBC中国製造業PMIが52.5と2カ月ぶりの高水準となったことや、NYダウ、
ドイツDAX、イギリスFTSE100と欧米の株価が堅調に推移したことでシカゴオプショ
ン市場(CBOE)では恐怖指数は18.00付近まで低下、前日の清算値から約1ポイント
強低い水準で推移しており、リスク許容度の高まりから高リスク通貨である豪ドル
が物色され「ブル」となっている。テクニカル的にも日足一目均衡表の雲が控える
82.50円付近の強固なレジスタンスを上抜けたため地合いは強いと言えよう。また、
ユーロは高債務国の信用不安、ポンドは英早期利上げの剥落、ドルは米景気鈍化懸
念と長期金利低下、といった要因から消去法的に豪ドルが買われる展開もあろう。