FXレポート

引続き中東政情不安に警戒感!

昨日のドル円は、リビア政情不安の長期化懸念から逃避通貨として円が選好され、東京市場序盤から81.65円付近で弱含みとなった。その後は仲値でのドル不足を意識した買いもあり81.75円付近へと小幅上昇したものの、先週末に米GDP改定値が下方修正されたことが蒸し返されて米長期金利が低下すると、米景気に対する先行き不安感から中盤にかけて緩やかに下落した。なお、日本の1月鉱工業生産指数(速報値)は前月比+2.4%と予想の同+4.0%を下回る結果となったものの、市場での反応は限定された。欧州時間では独株式指数や時間外のダウ先物が上げに転じ、堅調に推移するにつれて、クロス円が買われた影響を受け81.80円付近と小幅に上昇となったが上値は重く方向感は出なかった。NY勢参加後も米1月中古住宅販売保留件数指数が予想より弱い結果となったが、予想より強い2月シカゴ購買部協会景気指数と相殺される形となり動意に乏しい展開。引けにかけても材料難からもみ合いが続き、終日上下40銭程度のレンジ相場となり81.803円で取引を終えている。

ユーロ円は、アイルランドの総選挙で新政権樹立が確実になったことを受けたEUによる同国への金融支援を巡る不透明感が意識された上、リビア政情不安を背景としたNY原油先物の上昇などリスク回避流れから円買いが散見し東京市場序盤に112.00円付近へと下落。しかし、その後はアジア株が概ね前週末比プラス圏で堅調な値動きとなったほか、GLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を縮小したこともあり、リスク選好の円売りが優勢になると、欧州市場序盤に112.65円付近まで反発。その後も次期ECB総裁候補のドラギ・イタリア中銀総裁が「インフレ圧力の高まりを受けて、政策当局者らは将来の利上げの時期を一段と慎重に検討する必要がある」とタカ派的な発言したことが意識され一時113.341円まで続伸した。ただ、NY時間では100ドル超上昇したNYダウ株価が伸び悩み、投資家のリスク許容度改善に歯止めが掛かったとの見方が相場の重しとなり113円を割れると112.909円まで上昇幅を削り取引を終えた。

                                 本日の展開

ドル円は、リビアなど中東の政情不安に対する警戒感が根強い上、今週末に2月米雇用統計の発表が控えていることもあり、ロングポジションをとりづらい神経質な展開が続きそうだ。また先週、米国GDPが予想外の下方修正となったことで、FRBの出口戦略が一段と遠のくとの見方も浮上しており、もう一段下値を探る展開がメインシナリオとなりそうだ。ただ、仮にカダフィ政権が崩壊すれば一旦はセンチメントがリスク選好に急変する展開も考えられるほか、前回の米雇用統計が天候(豪雪)の影響で減少していた事を考慮すると、今回はその反動から非農業部門雇用者数変化は大きく反発する可能性もあるだろう。また、テクニカル面でも年初来81-84円のレンジを形成しており、レンジの下限となっている81円前半まで下落する局面ではリバウンドを狙った買いも検討してみたい。

ユーロは、原油相場や商品相場の幅広い上昇を背景にECBが今週木曜日の理事会でインフレ警戒姿勢を強めるとの見方が浮上している一方、米国は景気回復期待や利上げ期待が後退していることから、対ドルを中心に引き続き底堅い動きを予測してみたい。また、対円も中東情勢の緊迫化にも関わらず、世界的に株価は比較的落ち着いた動きとなっているため、リスク回避型の円高も限定的となる可能性があろう。ただし、テクニカル面では年初来高値114.00円付近が強い抵抗線となっており、突破するにはエネルギーが必要となる上、5日移動平均線と25日移動平均線がデットクロスを形成しつつあるため警戒を強めておきたい。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円   80.90-82.80
ユーロ・円 111.50-114.00
ポンド・円 131.20-135.00

【今日の主な経済指標】

12:30 AUS  豪中銀(RBA) 政策金利発表
16:00 GBR  ネーションワイド住宅価格
17:55 GER  失業率 /  失業者数増減
18:28 GBR  製造業PMI
19:00 EUR  消費者物価指数
19:00 EUR  失業率
23:00 CAN  加中銀(BOC)政策金利発表
00:00 USA  ISM製造業景況指数
00:00 USA  建設支出


≪2011年2月28日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「スクウェア」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
81円後半でもみ合いが続いたが、引き続きバーゲンハント的な買いが圧倒し約90%の
参加者が「強気」スタンスだ。中長期的にみれば安値圏であり、この水準では割安感
から買いを検討してみたいが、リビアなど中東の政情不安に対する警戒感から「米債
券買い→米長期金利低下」の構図に変化がない状況では、慎重に買い場を探す必要が
あるだろう。また、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスが76.75
と2010年11月9日以来の低水準をつけるなど短期モメンタムは弱気と予想でき、仮に
75レベルを割り込んだ場合は下落に拍車が掛かることも考えられ注意をしておきたい。

ポンド円「スクウェア」
英インフレ懸念を背景に来週の英中銀金融政策委員会で利上げ支持派がさらに増える
のでは?との思惑からの買いと、短期的なオシレーター系の売りが交錯して「拮抗」
した。先週金曜日に発表された英第4四半期GDP改定値が予想外に下方修正されたこと
もあり、英国の景気下振れリスクが高まっているなか、本日の英1月住宅ローン承認
件数に注目が集まる。最近の英国住宅市場は住宅ローンの貸し渋りが指摘され、前回
12月住宅ローン承認件数では2009年3月以来の低水準となっており、今回も住宅市場
の低迷が浮き彫りになった場合はポンド売りが強まるだろう。

豪ドル円「ブル」
商品相場の上昇や利上げ期待を背景に買いが入り「ブル」優勢となった。豪ドルは本
日日本時間12時30分に政策金利を発表を控えており、予想では現行の4.75%で据え置
かれる見込みだ。注目の声明文の内容に関しては、スティーブンスRBA総裁が11日の
議会証言で「中期的な見通しを踏まえると、現在の金利水準はほぼ適切と考える」
「市場は現在今年後半まで利上げが行われないと予想しているようだが、その予想は
おそらく理にかなっていると思う」などと発言していたこともあって、早期の利上げ
を示唆するようなタカ派色の濃い声明になる可能性は低いだろう。また、今回の声明
文で豪ドル高懸念が盛り込まれれば、調整的な反落を喫する可能性も否めず、警戒は
しておきたい。

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