アフリカ・中東情勢の緊迫化を受け、円独歩高!
昨日のドル円だが、序盤は緊張が高まっているリビア情勢に絡む報道が相次ぐなか、クリントン米国務長官の「米国はリビアの暴力行為を避難」との発言を受けて買いが強まると薄商いのなか一時83.40円付近へと急伸した。しかし、上値での売り圧力は強く、瞬間的なものにとどまるとその後は、与謝野経済財政担当相が「円ベースで末端のガソリン価格など急騰する状況ではない」との見解を示したことで82.85円付近へと下落した。売り一巡後は格付大手ムーディーズが「日本の経済、財政政策が債務増大を抑制できるほど強固でない」との見方から日本国債の格付け見通しを「安定的からネガティブ」に引き下げると、市場は一転円売りとなり83.00円台を回復した。しかし、欧州市場序盤にはGLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大するなどリスク回避の円買いが強まった上、安全資産の米国債を買う動きが強まり、米長期金利が低下し、節目の3.50%を割り込んだこともあって82.80円付近まで再度押し戻された。NY勢参加後はS&Pケースシラー住宅価格指、2月米消費者信頼感指数、2月リッチモンド連銀製造業景気指数などが、軒並み市場予想を上回り一時83.25円付近まで上昇したものの、米長期金利が低下したことで三度82円台に反落。引けにかけ行われた米2年債入札後も米長期金利が低下幅を拡大したことで売りが継続的に入り、82.723円で取引を終えた。
ユーロ円は、オセアニア市場序盤に欧州系銀行の買いをきっかけに114.00円付近のオプションバリアを突破する動きや、取引参加者の少ない時間帯だったこともあって、約40銭ほど上窓を開け114.069円と年初来高値を更新してのオープンとなった。しかし、その後は中東情勢の緊迫化を背景とした株安を受けてリスク回避の円買いが強まった上、NZの地震を背景にクロス円が急落したことにつられて112.90円付近へと反落した。欧州勢参入後もアジア株の全面安に加え、GLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大するなど、リスク回避の動きが一段と強まるなか一時112.226円まで続落となった。売り一巡後はメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁は「ECBは危機の措置がすべて準備万端に整っていれば、金利引き上げも可能」さらに「過度の低金利は経済を歪める」との見解を示したことが、早期の金利引上げ期待につながりNY市場にかけて113.90円付近まで急上昇した。ただ、引けにかけてNYダウが一時-180ドルまで下げ幅が広がるとリスクポジション解消目的の売りが再び入り、113円台を割り込み112.990円で取引を終えた。
本日の展開
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出されるVIX恐怖指数は21.20と急上昇しており、前営業日の清算値から約5ポイントも高い水準で推移し、節目の20を超えたため、リスク資産が安全な通貨に向かいやすく、円高を想定しておく必要がありそうだ。
ドル円だが、リビア情勢はカダフィ大佐が退陣要求を否定したことから緊迫化は避けれそうもなく、アフリカ・中東地域の政情不安要因から安全資産の米国債が買われやすい地合いに変わりはなく、米長期金利が更に下押しする可能性があるだろう。また、月末に向けて輸出企業のスポット円転も増えると見られることで需給的に見ても下値が脆弱と考えることができよう。テクニカル面では25日移動平均線や、一目均衡表雲下限のさしかかる82.50円付近が当面の下値目処となるが、仮に同水準を割り込むと年初来安値81.069円まで大きなサポートが見当たらないだけに注意したい。
ユーロは、シュタルクECB専務理事の「必要な場合は直ちに断固たる行動を起こす用意がある」との見解や、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁の「過度の低金利は経済を歪める」としたタカ派的な発言が支援要因となりそうだ。また、独2月のIFO景気動向指数も東西ドイツ統一以来の最高を記録するなどユーロのファンダメンタルは強く、来月3日に予定されるECB理事会での利上げ期待が更に高まれば本日も年初来高値更新の可能性があるだろう。ただ、独地方選挙では与党が惨敗し、欧州PIIGSへの金融支援に対する独国民の否定的な意見が反映された結果となっている上、25日に総選挙が予定されるアイルランドでも金融支援の条件をめぐり与党が敗北するとの見方があるなど、欧州の政局不安には注視する必要があるだろう。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-84.00
ユーロ・円 112.50-115.00
ポンド・円 131.50-135.00
【今日の主な経済指標】
17:15 CHF 生産者輸入価格
18:30 GBP 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
19:00 EUR 製造業新規受注
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
00:00 USD 中古住宅販売件数
≪2011年2月22日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
2月10日ぶりに82.581円まで下落したが、一目均衡表雲の下限である82.50円が下値の目処
として意識されており、同水準での買い意欲は高く「ブル」となっている。ドルは一連の
米経済指標で予想を上回り強い結果となったものの、米長期金利低下に押され下落した。
一方、円は米格付け大手ムーディーズが日本国債の格付け見通しを「ネガティブ」に引き
下げたにも関わらず上昇しており、リスク回避の展開では円に大きなアドバンテージがあ
りそうだ。本日も中東情勢の混迷や、NZでの地震など地政学的リスクが拡大し、株価が軟
調推移となった場合は円独歩高の展開もあろうか。
ポンド円「ブル」
ポーゼンBOE委員は、講演で「早計な利上げは間違った判断だ」「インフレ率はBOEの想定
より低くなるだろう」との認識を示し、早期利上げに冷や水を浴びせたことでポンド円が
下落すると利益確定の買いや、押し目買いが散見したことでセンチメントは「ブル」に変
化した。ポーゼンBOE委員の発言や、中東情勢をにらんで積極的な買いは控えられるもの
の、2月9・10日の英中銀金融政策委員会では、センタンス委員、ウィール委員に加えてビ
ーン副総裁も利上げに賛成したとの見方が浮上しており、本日の議事録公表を前に上昇す
る可能性もありそうだ。
NZドル円「ブル」
NZのクライストチャーチでM6.3の強い地震が発生。地震により建物が倒壊しインフラにも
かなりの被害が出ており、同国経済への地震の影響に対する懸念が高まり急落したことで
割安感から買いが入り「ブル」が優勢となっている。地震発生を受けて豪ウエストパック
銀行は「NZ準備銀行は信頼感を押し上げるため、3月10日開催のNZ準備銀行理事会か、そ
の前に利下げする可能性がある」との見方を示しており、金利面からもNZドル売りが強ま
る可能性があるだろう。ただ、テクニカル面ではボリンジャーバンドの3σ下限にまで絡
む展開となっており、相応のリバウンドが入ってもおかしくない水準ではある。
ユーロ円は、オセアニア市場序盤に欧州系銀行の買いをきっかけに114.00円付近のオプションバリアを突破する動きや、取引参加者の少ない時間帯だったこともあって、約40銭ほど上窓を開け114.069円と年初来高値を更新してのオープンとなった。しかし、その後は中東情勢の緊迫化を背景とした株安を受けてリスク回避の円買いが強まった上、NZの地震を背景にクロス円が急落したことにつられて112.90円付近へと反落した。欧州勢参入後もアジア株の全面安に加え、GLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大するなど、リスク回避の動きが一段と強まるなか一時112.226円まで続落となった。売り一巡後はメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁は「ECBは危機の措置がすべて準備万端に整っていれば、金利引き上げも可能」さらに「過度の低金利は経済を歪める」との見解を示したことが、早期の金利引上げ期待につながりNY市場にかけて113.90円付近まで急上昇した。ただ、引けにかけてNYダウが一時-180ドルまで下げ幅が広がるとリスクポジション解消目的の売りが再び入り、113円台を割り込み112.990円で取引を終えた。
本日の展開
シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出されるVIX恐怖指数は21.20と急上昇しており、前営業日の清算値から約5ポイントも高い水準で推移し、節目の20を超えたため、リスク資産が安全な通貨に向かいやすく、円高を想定しておく必要がありそうだ。
ドル円だが、リビア情勢はカダフィ大佐が退陣要求を否定したことから緊迫化は避けれそうもなく、アフリカ・中東地域の政情不安要因から安全資産の米国債が買われやすい地合いに変わりはなく、米長期金利が更に下押しする可能性があるだろう。また、月末に向けて輸出企業のスポット円転も増えると見られることで需給的に見ても下値が脆弱と考えることができよう。テクニカル面では25日移動平均線や、一目均衡表雲下限のさしかかる82.50円付近が当面の下値目処となるが、仮に同水準を割り込むと年初来安値81.069円まで大きなサポートが見当たらないだけに注意したい。
ユーロは、シュタルクECB専務理事の「必要な場合は直ちに断固たる行動を起こす用意がある」との見解や、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁の「過度の低金利は経済を歪める」としたタカ派的な発言が支援要因となりそうだ。また、独2月のIFO景気動向指数も東西ドイツ統一以来の最高を記録するなどユーロのファンダメンタルは強く、来月3日に予定されるECB理事会での利上げ期待が更に高まれば本日も年初来高値更新の可能性があるだろう。ただ、独地方選挙では与党が惨敗し、欧州PIIGSへの金融支援に対する独国民の否定的な意見が反映された結果となっている上、25日に総選挙が予定されるアイルランドでも金融支援の条件をめぐり与党が敗北するとの見方があるなど、欧州の政局不安には注視する必要があるだろう。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.00-84.00
ユーロ・円 112.50-115.00
ポンド・円 131.50-135.00
【今日の主な経済指標】
17:15 CHF 生産者輸入価格
18:30 GBP 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
19:00 EUR 製造業新規受注
21:00 USD MBA住宅ローン申請指数
00:00 USD 中古住宅販売件数
≪2011年2月22日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
2月10日ぶりに82.581円まで下落したが、一目均衡表雲の下限である82.50円が下値の目処
として意識されており、同水準での買い意欲は高く「ブル」となっている。ドルは一連の
米経済指標で予想を上回り強い結果となったものの、米長期金利低下に押され下落した。
一方、円は米格付け大手ムーディーズが日本国債の格付け見通しを「ネガティブ」に引き
下げたにも関わらず上昇しており、リスク回避の展開では円に大きなアドバンテージがあ
りそうだ。本日も中東情勢の混迷や、NZでの地震など地政学的リスクが拡大し、株価が軟
調推移となった場合は円独歩高の展開もあろうか。
ポンド円「ブル」
ポーゼンBOE委員は、講演で「早計な利上げは間違った判断だ」「インフレ率はBOEの想定
より低くなるだろう」との認識を示し、早期利上げに冷や水を浴びせたことでポンド円が
下落すると利益確定の買いや、押し目買いが散見したことでセンチメントは「ブル」に変
化した。ポーゼンBOE委員の発言や、中東情勢をにらんで積極的な買いは控えられるもの
の、2月9・10日の英中銀金融政策委員会では、センタンス委員、ウィール委員に加えてビ
ーン副総裁も利上げに賛成したとの見方が浮上しており、本日の議事録公表を前に上昇す
る可能性もありそうだ。
NZドル円「ブル」
NZのクライストチャーチでM6.3の強い地震が発生。地震により建物が倒壊しインフラにも
かなりの被害が出ており、同国経済への地震の影響に対する懸念が高まり急落したことで
割安感から買いが入り「ブル」が優勢となっている。地震発生を受けて豪ウエストパック
銀行は「NZ準備銀行は信頼感を押し上げるため、3月10日開催のNZ準備銀行理事会か、そ
の前に利下げする可能性がある」との見方を示しており、金利面からもNZドル売りが強ま
る可能性があるだろう。ただ、テクニカル面ではボリンジャーバンドの3σ下限にまで絡
む展開となっており、相応のリバウンドが入ってもおかしくない水準ではある。