中東の政情不安を背景に米長期金利上昇が一服か!?
昨日のドル円は、リビアやイランでの反政府デモ拡大を背景にドルストレートが強含みに推移し、東京市場序盤は83.20円付近へと小幅上昇する場面がみられたが、アジア株の軟調推移を背景としたリスク回避の円買いを受け83.05円付近へと小幅に反落。その後は東京市場終盤にかけて、上値では本邦輸出企業などのドル売りオーダー、下値では本邦輸入企業のドル買いが散見され、概ね83.15円を中心としたレンジ内でこう着感の強い値動きに終始した。欧州時間では、英・独株価が軟調推移となったことでリスクポジションを閉じる動きから円買いが入る場面もあったが、NY市場がプレジデンツデーの祝日休場で市場参加者が減少していることもあって、一方的に円買いが進む展開にはならず非常に狭いレンジ内の取引となった。引けにかけても動意に乏しく、終日上下20銭以内の値動に留まり、前日比+0.039の83.137円で取引を終えている。
ユーロ円は、先週のビーニ・スマギECB専務理事によるタカ派的な発言を受けたECBの早期利上げ期待が引き続き意識され、東京市場序盤には113.95円付近へと上値を試す展開になった。しかし買い一巡後は、 ドイツの地方選挙でメルケル首相が率いるドイツ与党・キリスト教民主同盟の歴史的な敗北を受け、独政局不安がユーロの重石になり113.60円付近まで下押しした。欧州勢参加後は独IFO景気動向指数が111.2と予想から上振れし、1990年の東西ドイツ統一後の最高を更新したことを受けて一時113.90円付近まで再上昇したが、その後は中東情勢の緊迫化や欧州株安を嫌気したリスク回避の動きから113.60円台まで失速するなど方向感を示す事は出来なかった。引けにかけてもNY勢が休場で取引参加者が減少していることもあって手控えムードの濃い展開に113.722円で取引を終えた。
本日の展開
本日のドル円だが、今年に入りドル高を牽引してきた米長期金利の上昇が一服している上、中東情勢を懸念して投資マネーが安全資産の米国債に向かいやすく米長期金利が低下する可能性からドル売り圧力を受けやすい地合いと言えよう。また、84.00円付近では本邦輸出企業のドル売りオーダーが厚いほか、3月期末を控えた本邦勢のリパトリから円転が増えてくることも考えられるため、休み明けのNY市場で強気材料がなければバイアスはやや弱気となろうか。テクニカル面でも84.00円が強いレジスタンスとなっており、上昇トレンドには若干の陰りが見え始めている。今後も84円手前で足踏みが続くようであれば、25日移動平均線や、日足一目均衡先行線の掛かる82.50円付近が短期的に意識されるだろう。仮に同水準を下回った場合は、2月安値水準の81.00円付近までは下値を見ておきたい。
ユーロは、ECBのビーニスマギ専務理事による「物価圧力高まれば、ECBは利上げの可能性も」「必要があれば、ECBは先手を打つ事が出来る」との発言や、トリシェECB総裁の「インフレ圧力は深刻にとらえられる要因」とのコメントを受け、ECBに対する早期の利上げ期待が再燃する可能性がある。当面は心理的な節目となる114.00円が目標だが、上抜けてくれば昨年11月22日の高値114.942円が上値目標となってくるだろう。 ただ、懸念材料としてドイツの地方選挙ではメルケル首相率いる与党CDU(キリスト教民主同盟)が10年間保持した与党の座を、野党SPD(社会民主党)に奪われるのでは?といった報道が出ており、仮に政権交代となれば、EU(欧州連合)のEFSF(欧州金融安定ファシリティー)改革に向けた取り組みに影響を及ぼす可能性も出てこよう。また、ポルトガル10年債の利回りはユーロ導入後で最も高い水準に上昇するなど、欧州信用不安に対する警戒感が燻っている様子も窺えるため、ドイツの政局やポルトガルのソブリンリスクに関連したニュースには留意する必要がありそうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.50-84.50
ユーロ・円 111.80-114.20
ポンド・円 133.50-136.00
【今日の主な経済指標】
16:00 DEM GFK消費者信頼感調査
18:30 ZAR 四半期国内総生産(GDP)
22:30 CAD 小売売上高
23:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
00:00 USD 消費者信頼感指数
00:00 USD リッチモンド連銀製造業指数
≪2011年2月21日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ベア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
プレジデンツデーの祝日休場で市場参加者が少なく動意の乏しい展開となり
仕掛けどころが難しかったが、テクニカル的には上昇トレンドの押し目とみ
てか「ブル」が優勢となっている。休み明けのNY市場ではケース・シラー米
住宅価格指数、消費者信頼感指数などの発表が予定されており、最近好調な
米経済指標に注目が集まる。また、今夜から合計990億ドルの米国債入札
(火曜日2年債・350億ドル、水曜日5年債・350億ドル、木曜日7年債・290億
ドル)が予定されており、入札結果から米長期金利の動向にも注目したい。
ポンド円「ベア」
RSI:14は依然70%の水準超えており、参加者も逆張りのスタンスが優勢で
「ベア」となっている。テクニカル面では売りシグナルが確認できるものの、
タカ派のセンタンス英中銀金融政策委員が「英中銀のインフレ見通しは楽観
的過ぎる。利上げを遅らせることは、その後のより急激な利上げが必要とな
る可能性を意味する」と発言。これまでセンタンス委員 1人だけだった金利
引き上げの主張にウィール委員が加わり、同じく0.25%の金利引き上げ主張
した。また、ビーン英中銀副総裁も利上げ支持派に回った」との噂もささや
かれており、明日公表される英中銀金融政策委員会議事録(2月9・10日開催
分)では、利上げ支持派が増加したか否かが明らかとなるため、これまで以
上に注目が集まるだろう。
豪ドル円「ブル」
中東情勢の緊迫化を受けてリスク回避ムードが広がりから下落となったもの
の、金や原油相場の上昇を通じて資源国通貨の買い意欲も高く下値では押し
目買いが優勢となって「ブル」。しかし、早朝のオセアニア市場ではリビア
軍がカダフィ大佐の排除を求め兵士や国民に行進を要請したとの報道が入る
など、中東情勢の悪化懸念も燻っていることから、上値を抑える要因となり
そうだ。テクニカル面でも短期的なサポートラインとなっている5日移動平
均付近83.90円付近を明確に下回った場合には、下落に対する警戒が必要と
なりそうだ。
ユーロ円は、先週のビーニ・スマギECB専務理事によるタカ派的な発言を受けたECBの早期利上げ期待が引き続き意識され、東京市場序盤には113.95円付近へと上値を試す展開になった。しかし買い一巡後は、 ドイツの地方選挙でメルケル首相が率いるドイツ与党・キリスト教民主同盟の歴史的な敗北を受け、独政局不安がユーロの重石になり113.60円付近まで下押しした。欧州勢参加後は独IFO景気動向指数が111.2と予想から上振れし、1990年の東西ドイツ統一後の最高を更新したことを受けて一時113.90円付近まで再上昇したが、その後は中東情勢の緊迫化や欧州株安を嫌気したリスク回避の動きから113.60円台まで失速するなど方向感を示す事は出来なかった。引けにかけてもNY勢が休場で取引参加者が減少していることもあって手控えムードの濃い展開に113.722円で取引を終えた。
本日の展開
本日のドル円だが、今年に入りドル高を牽引してきた米長期金利の上昇が一服している上、中東情勢を懸念して投資マネーが安全資産の米国債に向かいやすく米長期金利が低下する可能性からドル売り圧力を受けやすい地合いと言えよう。また、84.00円付近では本邦輸出企業のドル売りオーダーが厚いほか、3月期末を控えた本邦勢のリパトリから円転が増えてくることも考えられるため、休み明けのNY市場で強気材料がなければバイアスはやや弱気となろうか。テクニカル面でも84.00円が強いレジスタンスとなっており、上昇トレンドには若干の陰りが見え始めている。今後も84円手前で足踏みが続くようであれば、25日移動平均線や、日足一目均衡先行線の掛かる82.50円付近が短期的に意識されるだろう。仮に同水準を下回った場合は、2月安値水準の81.00円付近までは下値を見ておきたい。
ユーロは、ECBのビーニスマギ専務理事による「物価圧力高まれば、ECBは利上げの可能性も」「必要があれば、ECBは先手を打つ事が出来る」との発言や、トリシェECB総裁の「インフレ圧力は深刻にとらえられる要因」とのコメントを受け、ECBに対する早期の利上げ期待が再燃する可能性がある。当面は心理的な節目となる114.00円が目標だが、上抜けてくれば昨年11月22日の高値114.942円が上値目標となってくるだろう。 ただ、懸念材料としてドイツの地方選挙ではメルケル首相率いる与党CDU(キリスト教民主同盟)が10年間保持した与党の座を、野党SPD(社会民主党)に奪われるのでは?といった報道が出ており、仮に政権交代となれば、EU(欧州連合)のEFSF(欧州金融安定ファシリティー)改革に向けた取り組みに影響を及ぼす可能性も出てこよう。また、ポルトガル10年債の利回りはユーロ導入後で最も高い水準に上昇するなど、欧州信用不安に対する警戒感が燻っている様子も窺えるため、ドイツの政局やポルトガルのソブリンリスクに関連したニュースには留意する必要がありそうだ。
[今日の予想レンジ]
ドル ・円 82.50-84.50
ユーロ・円 111.80-114.20
ポンド・円 133.50-136.00
【今日の主な経済指標】
16:00 DEM GFK消費者信頼感調査
18:30 ZAR 四半期国内総生産(GDP)
22:30 CAD 小売売上高
23:00 USD ケース・シラー米住宅価格指数
00:00 USD 消費者信頼感指数
00:00 USD リッチモンド連銀製造業指数
≪2011年2月21日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ベア」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
プレジデンツデーの祝日休場で市場参加者が少なく動意の乏しい展開となり
仕掛けどころが難しかったが、テクニカル的には上昇トレンドの押し目とみ
てか「ブル」が優勢となっている。休み明けのNY市場ではケース・シラー米
住宅価格指数、消費者信頼感指数などの発表が予定されており、最近好調な
米経済指標に注目が集まる。また、今夜から合計990億ドルの米国債入札
(火曜日2年債・350億ドル、水曜日5年債・350億ドル、木曜日7年債・290億
ドル)が予定されており、入札結果から米長期金利の動向にも注目したい。
ポンド円「ベア」
RSI:14は依然70%の水準超えており、参加者も逆張りのスタンスが優勢で
「ベア」となっている。テクニカル面では売りシグナルが確認できるものの、
タカ派のセンタンス英中銀金融政策委員が「英中銀のインフレ見通しは楽観
的過ぎる。利上げを遅らせることは、その後のより急激な利上げが必要とな
る可能性を意味する」と発言。これまでセンタンス委員 1人だけだった金利
引き上げの主張にウィール委員が加わり、同じく0.25%の金利引き上げ主張
した。また、ビーン英中銀副総裁も利上げ支持派に回った」との噂もささや
かれており、明日公表される英中銀金融政策委員会議事録(2月9・10日開催
分)では、利上げ支持派が増加したか否かが明らかとなるため、これまで以
上に注目が集まるだろう。
豪ドル円「ブル」
中東情勢の緊迫化を受けてリスク回避ムードが広がりから下落となったもの
の、金や原油相場の上昇を通じて資源国通貨の買い意欲も高く下値では押し
目買いが優勢となって「ブル」。しかし、早朝のオセアニア市場ではリビア
軍がカダフィ大佐の排除を求め兵士や国民に行進を要請したとの報道が入る
など、中東情勢の悪化懸念も燻っていることから、上値を抑える要因となり
そうだ。テクニカル面でも短期的なサポートラインとなっている5日移動平
均付近83.90円付近を明確に下回った場合には、下落に対する警戒が必要と
なりそうだ。