米雇用・消費動向不安から、再びドル売りバイアス強まるか
先週のマーケットは、米投資銀行によるドル円ターゲット105円との情報により、95.90付近まで上昇する場面もあったが、ファンダメンタルズの悪化により息切れし、NY終盤では94.50付近まで下落する動きとなった。
注目の米第2四半期実質GDP速報値は-1.0%と市場予想を上回る結果となったが、しかし、第1四半期の成長率が-5.5%から-6.4%へと大きく下方修正されたことや、個人消費が-1.2%と予想以上に落ち込んでいたことから米景気先行きへの懸念が強まり、一転してドル売りの流れに。更に、米国長期金利の低下や国際通貨基金(IMF)による「ドルがやや過大評価されている」との指摘が重なると、ドル円は一気に売り込まれる展開となり、94.50付近まで下落した。
ユーロ円はドル円の動きを投影したものになり、一時135円60付近まで上昇したが、利食い売りなどで134円30付近まで下落。一方で、ポンド円は一時157円割れの水準まで下落するものの、格付け会社フィッチ社が「英国のソブリン債格付けを据え置く」と発表したことを好感してNY終盤には158.30付近まで回復する動きとなった。
今週の展開
先週のドル円は終値で95円台をキープできず、上値の重さが強く意識される展開となった。また、先週序盤に発表された米国の経済指標が軒並み良好な結果であったため、市場のコンセンサスを徐々にドル買いへと成していただけに、逆にドルに対してはネガティブな情報に過剰に反応しやすい状況になっている感は否めない。
先週の米GDPの結果により、雇用・消費動向の悪化がドル投資にリスクを感じさせる局面であり、雇用情勢の悪化に対する懸念から個人消費が更に悪化するという悪循環が顕著に現れると、ドル売りが加速する展開も十分に予想される。
今週は4日の個人消費支出(PCE)、及び7日の雇用統計とドルの今後を占う重要指標の発表が控えており、方向感の定まらないドル相場の転換点になる可能性が高そうだ。要人発言や各種報道等にも十分な注意を払いたい。
一方、ユーロ円は米国景気先行き不安定感の台頭によるドル売り・円買いに連れ、一時134.30円付近まで下落したものの、対ドルでユーロ買いが加速したことやNYダウが底堅い動きとなったことで135円台を回復している。また、対円での高金利通貨も同様に底堅い値動きとなっている。
従って、市場全体で見れば総じてリスク回避の流れが一方的に強まったとまでは言い切れないだろう。株価や対円でのドルが比較的底堅く推移する状況となれば、対円でのユーロ・高金利通貨買いが進む展開も十分に考えられる。
[予想レンジ]
ドル ・円 93.50~97.10
ユーロ・円 133.50~137.50
ポンド・円 153.60~160.60
【今週の主な経済指標】
8/3
08:50(日) 毎月勤労統計調査
10:30(豪) 小売売上高 前月比
16:30(ス) SVME購買部協会景気指数
17:00(欧) 製造業購買担当者景気指数
17:30(英) 製造業購買担当者景気指数
23:00(米) 建設支出
23:00(米) ISM製造業景況指数
8/4
08:50(日) マネタリーベース
10:30(豪) 四半期住宅価格指数
13:30(豪) 豪準備銀行(中央銀行)政策金利発表
18:00(欧) 卸売物価指数
21:30(米) 個人消費支出
23:00(米) 住宅販売保留指数
8/5
10:30(豪) 貿易収支
17:30(英) 製造業生産指数
18:00(欧) 小売売上高
20:00(米) MBA住宅ローン申請指数
21:15(米) ADP雇用統計
23:00(米) 製造業新規受注
23:00(米) ISM非製造業景況指数
8/6
10:30(豪) 失業率
10:30(豪) 新規雇用者数
14:00(日) 景気一致指数
14:00(日) 景気先行指数
19:00(独) 製造業新規受注
20:00(英) イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
20:45(欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30(米) 新規失業保険申請件数
8/7
15:00(独) 経常収支
17:30(英) 卸売物価指数
20:00(加) 失業率
21:30(米) 失業率
21:30(米) 非農業部門雇用者数
28:00(米) 消費者信用残高
さて、マーケット参加者のポジションは......
≪2009年7月31日クローズ時点≫
ドル・円 : ブル
ユーロ・円 : ベア
ユーロ・ドル :ベア
英ポンド・円 :ベア
豪ドル・円 : ブル
NZドル・円 : ブル
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル・円は「ブル」
市場参加者は94円台に入ると値ごろ感から強気な姿勢に戻りロングポジションを選択したようだ。
しかし、雇用・消費動向に回復の兆しが見られない状況で、来週の雇用統計を控えたロングポジ
ションを取るならば、慎重な押し目買いが無難かも知れない。
ユーロ・円は「ベア」
リスク許容度の回復で相対的に買われやすい地合が続いている。米国GDP速報値の下振れもあり、
ドルや円を売って欧州通貨を買う動きが強まり、ユーロ円は終始堅調な値動きだったものの、
参加者のスタンスは月末・週末という事でポジション調整や利益確定の売りが目立ち「ベア」
となっている。
ポンド・円は「ベア」
利益確定の流れが強まったことや、対ドルでの円売りの流れから参加者はのスタンスは「ベア」
となっている。しかし、株高連鎖でハイリスク通貨が買われやすい地合となっているうえ、
英中銀の資産買入れプログラムが上限の1250億ポンドに達したとから、量的緩和打ち止めの観測が浮上。
ポンド買いが強まる可能性もあり、注意が必要だ。
注目の米第2四半期実質GDP速報値は-1.0%と市場予想を上回る結果となったが、しかし、第1四半期の成長率が-5.5%から-6.4%へと大きく下方修正されたことや、個人消費が-1.2%と予想以上に落ち込んでいたことから米景気先行きへの懸念が強まり、一転してドル売りの流れに。更に、米国長期金利の低下や国際通貨基金(IMF)による「ドルがやや過大評価されている」との指摘が重なると、ドル円は一気に売り込まれる展開となり、94.50付近まで下落した。
ユーロ円はドル円の動きを投影したものになり、一時135円60付近まで上昇したが、利食い売りなどで134円30付近まで下落。一方で、ポンド円は一時157円割れの水準まで下落するものの、格付け会社フィッチ社が「英国のソブリン債格付けを据え置く」と発表したことを好感してNY終盤には158.30付近まで回復する動きとなった。
今週の展開
先週のドル円は終値で95円台をキープできず、上値の重さが強く意識される展開となった。また、先週序盤に発表された米国の経済指標が軒並み良好な結果であったため、市場のコンセンサスを徐々にドル買いへと成していただけに、逆にドルに対してはネガティブな情報に過剰に反応しやすい状況になっている感は否めない。
先週の米GDPの結果により、雇用・消費動向の悪化がドル投資にリスクを感じさせる局面であり、雇用情勢の悪化に対する懸念から個人消費が更に悪化するという悪循環が顕著に現れると、ドル売りが加速する展開も十分に予想される。
今週は4日の個人消費支出(PCE)、及び7日の雇用統計とドルの今後を占う重要指標の発表が控えており、方向感の定まらないドル相場の転換点になる可能性が高そうだ。要人発言や各種報道等にも十分な注意を払いたい。
一方、ユーロ円は米国景気先行き不安定感の台頭によるドル売り・円買いに連れ、一時134.30円付近まで下落したものの、対ドルでユーロ買いが加速したことやNYダウが底堅い動きとなったことで135円台を回復している。また、対円での高金利通貨も同様に底堅い値動きとなっている。
従って、市場全体で見れば総じてリスク回避の流れが一方的に強まったとまでは言い切れないだろう。株価や対円でのドルが比較的底堅く推移する状況となれば、対円でのユーロ・高金利通貨買いが進む展開も十分に考えられる。
[予想レンジ]
ドル ・円 93.50~97.10
ユーロ・円 133.50~137.50
ポンド・円 153.60~160.60
【今週の主な経済指標】
8/3
08:50(日) 毎月勤労統計調査
10:30(豪) 小売売上高 前月比
16:30(ス) SVME購買部協会景気指数
17:00(欧) 製造業購買担当者景気指数
17:30(英) 製造業購買担当者景気指数
23:00(米) 建設支出
23:00(米) ISM製造業景況指数
8/4
08:50(日) マネタリーベース
10:30(豪) 四半期住宅価格指数
13:30(豪) 豪準備銀行(中央銀行)政策金利発表
18:00(欧) 卸売物価指数
21:30(米) 個人消費支出
23:00(米) 住宅販売保留指数
8/5
10:30(豪) 貿易収支
17:30(英) 製造業生産指数
18:00(欧) 小売売上高
20:00(米) MBA住宅ローン申請指数
21:15(米) ADP雇用統計
23:00(米) 製造業新規受注
23:00(米) ISM非製造業景況指数
8/6
10:30(豪) 失業率
10:30(豪) 新規雇用者数
14:00(日) 景気一致指数
14:00(日) 景気先行指数
19:00(独) 製造業新規受注
20:00(英) イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
20:45(欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30(米) 新規失業保険申請件数
8/7
15:00(独) 経常収支
17:30(英) 卸売物価指数
20:00(加) 失業率
21:30(米) 失業率
21:30(米) 非農業部門雇用者数
28:00(米) 消費者信用残高
さて、マーケット参加者のポジションは......
≪2009年7月31日クローズ時点≫
ドル・円 : ブル
ユーロ・円 : ベア
ユーロ・ドル :ベア
英ポンド・円 :ベア
豪ドル・円 : ブル
NZドル・円 : ブル
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル・円は「ブル」
市場参加者は94円台に入ると値ごろ感から強気な姿勢に戻りロングポジションを選択したようだ。
しかし、雇用・消費動向に回復の兆しが見られない状況で、来週の雇用統計を控えたロングポジ
ションを取るならば、慎重な押し目買いが無難かも知れない。
ユーロ・円は「ベア」
リスク許容度の回復で相対的に買われやすい地合が続いている。米国GDP速報値の下振れもあり、
ドルや円を売って欧州通貨を買う動きが強まり、ユーロ円は終始堅調な値動きだったものの、
参加者のスタンスは月末・週末という事でポジション調整や利益確定の売りが目立ち「ベア」
となっている。
ポンド・円は「ベア」
利益確定の流れが強まったことや、対ドルでの円売りの流れから参加者はのスタンスは「ベア」
となっている。しかし、株高連鎖でハイリスク通貨が買われやすい地合となっているうえ、
英中銀の資産買入れプログラムが上限の1250億ポンドに達したとから、量的緩和打ち止めの観測が浮上。
ポンド買いが強まる可能性もあり、注意が必要だ。