FXレポート

ドル売り再開!?1995年安値79.70円を意識した展開に!?

金曜日のドル円は、22日から始まったG20財務相・中央銀行総裁会議を睨んだポジション調整の動きが東京時間序盤の下支え材料となったが、ガイトナー米財務長官がG20各国宛ての書簡で「G20諸国は過小評価された通貨を下落させたり上昇を妨げたりすべきでない」「過小評価された通貨と多額の準備を保有する新興国は為替をファンダメンタルズに合わせて調整する必要」との見解を受けて一時81円を割れ80.992円まで下落した。その後、フレアティ加財務相がG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)終了後「G20は為替で必要な変更の方向性で合意する」との見通しを示すと、G20の結果を巡り思惑が交錯、売り込まれたドルの買戻しが優勢となり徐々に値を伸ばす展開となった。高官発言によって値が振れている状況ではあるが上下50銭程度の狭いレンジとなっており、明確な方好感は見出せないまま81.348円で取引を終えた。

ユーロ円は序盤、対ドルの動きに連れて上下に値が振れた後、欧州時間に発表された独IFO企業景況感指数が2007年5月以来の高水準を更新する強い結果(予想:106.5、結果:107.6)となり113.536円まで値を伸ばした。事前に弱い結果となるとの噂から下落していただけに1円近い大幅上昇となった。その後はG20の結果を見極めようとの様子見ムードから横ばい推移となり113.498円で取引を終えた。
     
                               今週の展開

ドル円はG20を経て、新たなトレンドが発生するかどうかが週初の注目ポイントとなるだろう。輸出拡大を狙って自国通貨安を後押しする通貨安競争回避のための国際協調体制の構築が焦点となっていたが、米提案の経常収支の数値目標(経常収支の黒字や赤字を国内総生産(GDP)比4%以内に抑える)について野田財務相は「現実的ではない」との考えを明らかにしており、中国も経常収支の限度義務付けや、通貨政策に対する規制を明確にした声明には反発する意向を示しているため、共同声明では具体的な政策の合意に至らない可能性が高まっている。声明において目新しい材料が出なければドル売りが再開し、1995年4月安値79.70円を意識した展開も想定しておく必要があるだろう。

ユーロ円はG20において先進国と新興国の溝を埋めることが出来ずに目新しい材料が無かった場合、対ドルでの上昇を背景に連れ高となるかもしれない。直近のユーロ圏経済指標は比較的良好な結果となっているため、今週発表予定の独GFK消費者信頼感調査、独失業率、ユーロ圏消費者物価指数等の指標に注目が集まっている。テクニカルで見ると、10月7日高値115.676円と10月14日高値114.717円を結んだ右肩下がりのトレンドラインがレジスタンスとして意識される水準と考えられるため、このラインをブレイク、または抑えられるかがポイントとなるだろう。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円   79.00-82.70
ユーロ・円 110.60-115.70
ポンド・円 125.00-133.70

【今日の主な経済指標】
25日 08:50      JPY      貿易統計(通関ベース)
25日 09:30     AUD     四半期卸売物価指数(PPI)
25日 18:00     EUR     製造業新規受注
25日 23:00     USD     中古住宅販売件数
26日 08:50     JPY     企業向けサービス価格指数
26日 15:00     DEM     GFK消費者信頼感調査
26日 15:45     FRF     消費者信頼感指数
26日 17:30     GBP     四半期国内総生産(GDP、速報値)
26日 22:00     USD     ケース・シラー米住宅価格指数
26日 23:00     USD     住宅価格指数[前月比]
26日 23:00     USD     消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
26日 23:00     USD     リッチモンド連銀製造業指数

27日 09:30     AUD     四半期消費者物価(CPI)
27日 11:00     NZD     NBNZ企業信頼感    
27日 15:45     FRF     消費支出[前月比]
27日 17:00     EUR     マネーサプライM3
27日 18:30     ZAR     消費者物価指数(CPI)
27日 20:00     USD     MBA住宅ローン申請指数    
27日 21:30     USD     耐久財受注・輸送用機器除く
27日 23:00     USD     新築住宅販売件数    

28日 05:00     NZD     ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
28日 08:50     JPY     対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)        
28日 08:50     JPY     対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)    
28日 08:50     JPY     小売業販売額
28日 08:50     JPY     大型小売店(既存店)販売額
28日 15:45     FRF     卸売物価指数(PPI)
28日 16:55     DEM     失業率
28日 16:55     DEM     失業者数
28日 18:00     EUR     消費者信頼感(確定値)
28日 18:30     ZAR     卸売物価指数(PPI)
28日 21:30     USD     新規失業保険申請件数

29日 06:45     NZD     貿易収支
29日 06:45     NZD     住宅建設許可件数        
29日 08:01     GBP     GFK消費者信頼感調査
29日 08:30     JPY     全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
29日 08:30     JPY     全国消費者物価指数(CPI)
29日 08:30     JPY     東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
29日 08:30     JPY     有効求人倍率
29日 08:30     JPY     失業率
29日 08:30     JPY     全世帯家計調査・消費支出
29日 08:50     JPY     鉱工業生産・速報値
29日 14:00     JPY     新設住宅着工戸数
29日 15:00     ZAR     マネーサプライM3
29日 17:30     GBP     マネーサプライM4    
29日 17:30     GBP     マネーサプライM4    
29日 17:30     GBP     消費者信用残高
29日 18:00     EUR     消費者物価指数
29日 18:00     EUR     失業率
29日 18:30     CHF     KOF景気先行指数
29日 19:00     JPY     外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)             
29日 21:00     ZAR     貿易収支
29日 21:30     USD     四半期実質国内総生産(GDP、速報値)
29日 21:30     CAD     月次国内総生産(GDP)    
29日 21:30     CAD     原料価格指数
29日 21:30     CAD     鉱工業製品価格
29日 22:45     USD     シカゴ購買部協会景気指数    
29日 22:55     USD     ミシガン大学消費者態度指数・確報値

≪2010年10月22日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
反発期待から「ブル」は継続しているものの、ブルの割合は70%を割り込み前日から大き
く減少している。G20をきっかけにドル独歩安に歯止めがかかるかもしれないとの期待が
膨らんでいたが、先進国と新興国の利害対立のなかでは、強力な合意は出来ないとの見方
が浮上している。歴史的安値圏を横ばいに推移していたが、G20後の声明を受けて上下ど
ちらの方向にトレンドが発生するかが注目となろう。

ポンド円は「ブル」
中期的な下降トレンドの中「ブル」は継続している。10月20日直近安値127.345円近辺で切
り替えし週末クローズとなっているものの、下降トレンドに変化はないため下値模索の展
開を想定しておく必要があるだろう。目先は5月20安値126.68円が下値目標として意識され
る水準となりそうだが、下抜けた場合は8月3日高値137.778円、9月4日安値127.647円、9月
17日高値135.047円を起点とした一目均衡表日足N計算値124.916円が中期的な下値目標と
なるかもしれない。

豪ドル円は「ブル」
根強い金利先高感から「ブル」継続となっている。G20で新しい材料が出なければ絶対的な
金利差から豪ドル買いが再開する可能性がある上に、日足ベースではG20を控えて変動幅を
徐々に狭め三角持合を形成していることから上離れとなる可能性も考えられる。上昇した
場合は10月19日高値80.873円が意識される水準となるだろう。

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