FXレポート

ドルの上値は重い!金融緩和観測を背景に売り優勢の展開か!

昨日のドル円は、米国市場の流れを引き継ぎ上昇して始まったが、上値は重く81.655円で頭打ちとなった。中国の利上げをきっかけとしたドルの買い戻しも一服し、高金利通貨の豪ドルやユーロに資金が還流したことからドル売りの流れが再燃、じりじりと値を崩す展開となった。米国時間に入ると米有力コンサルタント会社が、11月の初めに開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での追加金融緩和について「当局が半年で5,000億ドル規模の国債購入を検討している」とのリポート発表をきっかけにドル売りが加速し80.841円まで下落した。注目されていたベージュブック(米地区連銀経済報告)の総括判断では「経済活動はほぼ全国的に緩やかながら拡大が続いている」とし、前回の「景気減速の兆候が広がった」から若干修正はあったものの目新しさは無かったため市場の反応は薄かった。安値からは、わずかに反発し81円台を回復してはいるが、戻りは鈍く81.105円で取引を終えた。

ポンド円は弱地合の中、欧州時間に10月分の金融政策委員会の議事録要旨が発表され、ポーゼン委員が500億ポンドの資産買取プログラムの増額を主張したことが明らかになった。タカ派のセンタンス委員は以前から利上げを主張していたが、量的緩和の拡大に投票した委員が出たのは初めてとなり、さらなる金融緩和を実施するとの観測が高まったため127.345円まで下落した。その後は米金融緩和に関するリポートを機にドルが独歩安となったことで、対ドルの上昇に連れ高となり128.781円までの大幅反発となった。対ドルでの上昇が下支え材料となっているが不安を残したまま128.525円で取引を終えた。

                   本日の展開

本日のドル円は、10月15日直近安値を割り込み底が見えない状況となっている。米追加金融緩和についてはかなり織り込まれているとの見方が多かったものの、より具体的なリポートの発表に大きな反応をみせたことから、ドルの下値余地は残っているように感じられる。また、米国時間には新規失業保険申請件数・フィレデルフィア連銀製造業景気指数・景気先行指標総合指数等、比較的注目度の高い指標を控えている。前回から改善予想となっているものもあるが、現在のドル売りトレンドの中で市場予想を下回る結果となった場合、ドル売りに拍車をかける可能性を秘めているため警戒が必要となるだろう。

ユーロ円は対ドルでの動きに連られて値を崩し、111.556円をマークした後は反発し大幅上昇となっており、短期的にはどこまで値を戻すかが注目される。昨日は一目均衡表日足基準線に支えらえた後、転換線に上値を抑えられているため、明確に上抜けできるかどうかがポイントとなりそう。また、最近は特に対ドルの動きと酷似しているため、日・米・欧に関わる経済指標・高官発言には注意を払う必要があるかもしれない。欧州時間にはユーロ圏製造業購買部担当者景気指数、サービス部門購買担当者景気指数、その後に米経済指標も複数控えていることから、発表毎に上下に値が振れる展開も想定しておく必要がありそうだ。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   80.00-82.80
ユーロ・円 111.80-114.60
ポンド・円 126.50-129.40

【今日の主な経済指標】
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式)[前週分]
08:50 JPY 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債)[前週分]
13:30 JPY 全産業活動指数[前月比]
15:15 CHF 貿易収支
15:45 FRF 企業景況感指数
17:00 EUR 製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
17:00 EUR サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)
17:30 GBP 小売売上高指数[前月比]
21:30 CAD 景気先行指数[前月比]
21:30 USD 新規失業保険申請件数
23:00 EUR 消費者信頼感(速報値)
23:00 USD フィラデルフィア連銀製造業景気指数
23:00 USD 景気先行指標総合指数[前月比]   

≪2010年10月20日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
米金融緩和を背景としたドル売りの流れに変化はないが、割安感から「ブル」は継続
している。日々の下落幅は比較的小さいとはいえ、1週間~1ヶ月のスパンで考えた場
合、下落幅も大きくなっていることからブルを継続する場合は、急落となったケース
の対処方法を考えておく必要があるだろう。

ポンド円は「ブル」
底値圏において、日足で下ヒゲ陽線が出現したため反発期待も膨らみ「ブル」となっ
た。瞬間的には9月14日直近安値127.647円を下回ってはいるが、その後急速な戻りを
見せていることから、目先は一目均衡表日足転換線が控える129円近辺が上値目標と
して意識される水準となるかもしれない。

豪ドル円は「ブル」
対ドルでの調整によって下押ししていたが早くも反発となり、更なる上昇期待から
「ブル」は継続している。中国の利上げによる世界景気減速・資源価格の下落懸念は
尾を引くこともなく短期で終っているため、絶対的金利差を背景とした豪ドルの強さ
に変化はないように感じられる。

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