FXレポート

ドルの買い戻し強まる!トレンド転換なるか!?

昨日のドル円は、前日にガイトナー米財務長官が「強いドルの信頼性を維持するために努力しなければならない」と発言したことを手掛かりに、積み上がったドル売りポジションを解消する買い戻しの動きが優勢となり、東京時間の後半には81.548円まで上昇した。欧州時間の序盤では中国人民銀行が預金・貸出金利を共に0.25%引き上げることを発表し、世界経済の鈍化懸念からリスク回避の動きが強まり、ユーロや豪ドル等の幅広い通貨に対してドルが買い戻されたことがドル円にも波及、一段高となった。米国時間に発表された住宅指標は強弱入り混じる結果となったが、住宅着工件数の結果が材料視され[予想(前月比):-3.0%、結果:0.3%]年率換算件数[予想:58万件、結果:61万件]発表後も値を伸ばし、この日の高値となる81.916円をマークした。その後は利益確定等の売りに押され値を崩したが、時間足ベースでの上昇トレンドの下限(19日9時と18時を結んだ右肩上がりのサポートライン)で下げ止まり後、わずかながらも反発し81.577円で取引を終えた。

ユーロ円は東京時間序盤にこの日の高値となる113.654円をマークした後は、欧州時間に発表予定の独ZEW景況感調査が市場予想以上に悪化するのではないかという噂(予想:-7、噂:-15)に押されじりじりと値を崩した。しかし、蓋を開けてみると(結果:-7.2)と市場と予想とほぼ同水準であったことに加え、同時刻に発表されたユーロ圏ZEW景況感調査が(予想:-2.0、結果:1.8)と予想を上回る結果が好感され上昇した。その後は中国利上げの報を受けて対ドルでの急落に連れて大きく値を崩し111.796円まで下落、終値は111.998円と112円台を回復できずに取引を終えた。


                      本日の展開

本日のドル円は、昨日の中国利上げをきっかけにドルが買い戻されており、短期的には戻りを試す展開となるかもしれない。また、昨日公表された公定歩合議事録で、ダラス連銀・カンザスシティー連銀の2地区連銀が0.25%の公定歩合引き上げを主張したことが明らかになったこともドルの支援材料となっており、米追加金融緩和観測を背景としたドル売りの流れに変化をもたらすかが注目となりそうだ。本日は米国時間に公表されるベージュブックによって各地区の経済状況が明らかになり、市場予想よりも強い内容となった場合は、上値を伸ばす展開も想定されよう。昨日は一目均衡表日足転換線近辺で上値を抑えられる格好となったが、上抜けした場合は9月16日直近高値85.926円から10月15日直近安値80.875円までの下落に対し38.2%戻しとなる82.804円が意識される水準となるかもしれない。

ユーロ円は、対ドルでの下落が重石となって値を崩しているため、ドルの買戻しが進んだ場合は連れ安となりかねない状況となっている。対ドルでは9月13日以降一本調子で上昇していただけに、ドルの買戻しが活発化した場合には大きな調整となりかねないため、ユーロ円の値動きを考える上では、引き続き対ドルでの動きに注意を払う必要がありそうだ。また、欧州時間には独生産者物価指数の発表を控えており、前回から改善予想となっている。外部環境(ドルの買い戻し)による下押し圧力は強いものの、指標の結果が市場予想を上回りユーロ自体の買い材料となれば下値は限られるかもしれない。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   80.00-82.80
ユーロ・円 111.00-113.60
ポンド・円 126.50-129.40

【今日の主な経済指標】
14:00 JPY  景気先行指数(CI)・改定値
14:00 JPY  景気一致指数(CI)・改定値
15:00 DEM  生産者物価指数(PPI)[前月比]
17:30 GBP  英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
17:30 GBP  マネーサプライM4速報値[前月比]
17:30 GBP  マネーサプライM4速報値[前年同月比]
20:00 USD  MBA住宅ローン申請指数[前週比]
21:30 CAD  卸売売上高[前月比]
03:00 USD  米地区連銀経済報告(ベージュブック)  

≪2010年10月19日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
3日振りの陽線引けとなり短期的には上値を伸ばす可能性もある中「ブル」継続
となった。中国の突然の利上げはサプライズとなり結果的にドルを買い戻すきっ
かけとなっているが、ドル買いがどこまで続くか注目される。本日はベージュブ
ックが最大の注目材料となるが、米国時間の序盤に控えているMBA住宅ローン
申請指数も軽視は禁物だろう。

ポンド円は「ブル」
2日間で大きく下落し割安感から「ブル」が9割以上を占めている。9月14日直近
安値127.647円とほぼ同水準まで下落し、一目均衡表日足遅行線がローソクの実
体を下回る等、地合は弱い状態となっている。9月14日安値を下抜けた場合は、
5月20日安値126.68円を試す展開も想定しておく必要がありそうだ。

豪ドル円は「ブル」
昨日の下落によって割安感が強まったため「ブル」の割合が高まっている。昨日
公表されたRBA議事録において、委員の意見は利上げ・据え置きで拮抗し、最終
的には政策金利据え置きとなったものの、利上げもあり得たことが明らかになっ
た。将来的な利上げ期待が残る状態のため、対ドルでの下落が一服した場合は上
値をうかがう展開となるかもしれない。

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