ドル上値を狙った展開となるか
先週の為替は、米雇用統計のドル全面高の影響から一変して、ドル売り圧力が強まる展開となった。
週明け月曜日のドル円は98.585円からスタート。雇用統計の堅調な結果を受けて景況感が
後退したことによる米金利の低下を受け火曜日には今週一番の下げ幅(-1.106円)となる97.409円を記録した。
水曜日以降は、米10年債入札の利回りが予想を上回る4.000%付近まで急上昇したことにより、ドルがユーロなど他通貨に対して全面高となった。
木曜日は、材料が乏しい展開が続いていたが、日経平均の上昇から売買が活発になり、さらに、ロンドン時間でファンド勢から
ユーロ買いの観測が出るなどしてユーロ高ドル安となり1.41142ドルで引けた。
週末の金曜日は、ユーロ圏の鉱工業生産の指標が統計開始以来の最大下落により、ドル買いを後押したことによりドル円は98.386円で取引を終えた。
先週の流れを追うと、経済指標よりも米長期金利及び米国債の価格や利回りの低下によって大きく為替が反応したケースが多かった。
さて今週は、、、米雇用統計のドルの全面高からドル売りが一巡して底堅く推移しているため、今週から99円台を試していく可能性がある。
経済指標では、米経常収支と新規失業保険申請件数がある上に、16日はBRICs首脳会議、17日には金融リテラシーに関する会合にバーナンキFRB議長が参加する。
また、ガイトナー財務長官の発言の場が多いため発言内容などに注意したい。
基本は経済指標や発言等も重要だが、日経平均やダウ平均など株価の動きに対して注目していきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル・円 97.20~ 99.40
ユーロ・円 136.60~139.30
ポンド・円 159.60~164.80
【今週の主な経済指標】
16日(火) 17:30 GBP 小売物価指数(RPI) 前回(0.1%)予想(0.2%)
17:30 GBP 消費者物価指数(CPI)前回(2.3%) 予想(2.0%)
21:30 USD 住宅着工件数 前回(45.8万件) 予想(48万件)
21:30 USD 卸売物価指数 前回(0.1%) 予想(0.1%)
17日(水) 21:30 USD 経常収支 前回(-1328億ドル) 予想(-850億ドル)
21:30 USD 消費者物価指数 前回(0.0%) 予想 (0.3%)
18日(木) 21:30 USD 新規失業保険申請件数 前回(60.1万件) 予想(N/A)
さて、マーケット参加者のポジションは......
≪2009年6月12日クローズ時点≫
ドル・円 : ベア
ユーロ・円 : ベア
ユーロ・ドル :ブル
英ポンド・円 :ベア
豪ドル・円 : ブル
NZドル・円 : ブル
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル・円は「ベア」、参加者は週末のポジション調整から、ドル売りを選択しているようだ。ただし、先週ドル売りが一服した感もあるため、今週からドル買いに転じる可能性もあるため注意が必要だ。
ユーロ・円は「ベア」、債券利回りの下落や価格上昇を買われ過ぎと見た向きのショートが優勢のようだ。しかし、今回の動きが限定的と見る向きもあり、ユーロ買い優勢の流れが強くなる可能性も否定できない。
英ポンド・円は「ベア」、先週は、英国経済が成長したことを示す指標や発表を受けて同国経済が回復の途上にある可能性がある見方がでた。そのため、リスク志向の高まりから英ポンドが上昇したが、参加者は買われすぎとの警戒感からショートから入っているようだ。