FXレポート

ギリシャ問題再燃でリスク回避の流れが強まるか

昨日の為替相場は、東京市場の時間帯においてギリシャが欧州から支援を得られず国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請する可能性があるとの報道から円買いユーロ売りの展開に。ロンドン市場でもこの流れが続き、ユーロ円は一時122.640円まで下落。ドル円も対円でのユーロ売りに連れる形で90円台を割り込み、一時89.753円まで下落した。しかし、ドル円は急ピッチで下落した反動から買い戻され往って来いの展開となり、90.20円付近での値動きが続いた。

ニューヨーク市場の時間帯に発表された2月米消費者物価指数は前月と変わらず、コア指数も0.1%上昇にとどまったことからインフレ懸念が後退。また、米新規失業保険申請件数は3週連続で前週から減少したことが確認されると市場はドル買いで反応した。加えて米フィラデルフィア連銀が発表した3月の製造業景気指数は18.9と大幅な改善を示したことからNYダウが上昇。リスク志向が改善したことからクロス円全般に買いが入り、ドル円は90.797円まで上昇。ユーロ円も一時123.74付近まで買い戻される展開となった。その後は新規材料にも乏しく、方向感が定まらない展開となり、ドル円は90.371円、ユーロ円は122.993円で取引を終えた。


                                   本日の展開


心理的節目となっていた90円を下回る展開となったドル円であるが、昨日発表された各経済指標ではインフレを抑制しつつも労働市況や景況感の改善が見て取れたことが好感されているようだ。しかし、90円台後半には早くも高値警戒感からの売り圧力が強まり、上値の重たさは拭えない状況となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が公定歩合を引き上げるとの噂が市場に流れているものの、強いドル買いを支えるだけの材料にはなっていないようだ。本日は米国主要経済指標等の発表も控えていないため、狭いレンジでの値動きが予想される。ただし、昨日の安値となる89.753円を下回る展開となれば、ドル買い材料の乏しい中、ドル売りに強いバイアスが掛かる状況も念頭に入れておきたい。

一方、ユーロ円は下値を模索する展開が続いている。ギリシャの財政懸念が再び高まったことを背景に、リスク回避の流れが強まったことからユーロの上値を重くしている模様だ。本日も引き続きギリシャ問題については様々な思惑が交錯する状況から、方向感の定まらない展開が予想されるが、ロンドン市場の時間帯のトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁、ストラスカーン国際通貨基金(IMF)専務理事の講演内容によってはユーロ相場に動きが見られる可能性も否定できないため注意したい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  89.00-91.20
ユーロ・円 120.20-124.30
ポンド・円 134.00-139.20


【今日の主な経済指標】

13:30(日)全産業活動指数
16:00(独)生産者物価指数(PPI)
21:30(加)消費者物価指数(CPI)
21:30(加)消費者物価指数(CPIコア)
21:30(加)小売売上高
21:30(加)小売売上高(除自動車)


≪2010年3月18日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 減少傾向が続く米新規失業保険申請件数や大幅な改善を見せた製造業景気指数など、米国
 の景気回復への期待感が強まっている。 参加者も引き続き「ブル」を選択しており、今
 一段のドル買い材料を模索している状況であろうか。しかし、米連邦準備制度理事会によ
 る公定歩合を引き上げとの噂がドル円を下支えしている状況であることも念頭に入れてお
 きたい。

 ユーロ円は「ブル」
 再び高まったギリシャの財政懸念がユーロ円に重く圧し掛かっているものの、参加者は引
 き続き「ブル」を選択。本日のトリシェ欧州中央銀行総裁やストラスカーン国際通貨基金
 専務理事の講演では同問題に対する言及があると思われ、ユーロ相場への影響も慎重に見
 極める必要がありそうだ。本日は122円台を維持できるかどうかが焦点となろうか。

 ポンド円は「ブル」
 2月英財政赤字が予想より強い内容となったことを受け、ポンド円は買い戻しが進んだ。昨
 日に引き続き上昇基調となっていることから、相対的にポンドを買いやすい地合いとなっ
 ているだろうか。しかし、英国の景気下振れ懸念等、課題は多く残っており、高値警戒感
 からのポンド売りには警戒したい。

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