FXレポート

下値トライ継続中!今週はトレンド転換なるか!?

金曜日のドル円は、前日ニューヨーク時間の急ピッチな下落に対する調整から始まった。日本時間の午前中に89.773円まで上昇し、2/3高値91.316円から2/4安値88.556円までの下落に対する38.2%戻し(89.610円)を達成したが、急激な変動に対するポジション調整の動きが一服すると伸び悩み、ロンドン時間ではこう着状態となった。注目されていた米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の+1.5万に対し-2万人と予想を下回った事や、過去の発表分が大幅に下方修正された事を受けて発表直後は急落したものの、失業率が2009年8月以来の水準に低下した事が好感された事で買い戻しが入り往来相場となった。その後は米株価が軟調な動きから再度ドル売りの流れとなり88.822円まで下落、値を戻す場面もみられたが、心理的な節目である90円を割り込んだまま89.221円で週末クローズを迎えた。

ユーロ円は、アジア時間の序盤に前日の急落に対して戻りを試したものの、ユーロ圏ソブリンリスクの高まりが意識されていることから上値は重く、123円にのせてからは小動きとなった。欧州時間に入ってからは、ドイツをはじめとした欧州各国の株価下落や、ギリシャ国債と独国債の利回り格差が再度拡大している事が嫌気され軟調な展開となった。ニューヨーク時間では、序盤に発表された米雇用統計の結果を受けて上下に値が振れた後は、米株価の続落を受けて、投資家がリスクを取りにくくなるとの見方から安全資産の円買いが優勢となり120.690円まで下落、週末ベースでは2009年2月以来の安値水準となる122.200円で取引を終えた。


                     今週の展開

ドル円は、2/5米雇用統計発表において過去分の下方修正があり、2009年における雇用環境の厳しさを改めて実感することになったが、1月の一般教書演説でオバマ大統領が雇用創出に力を注ぐ意思を表明しているため、今回の結果が尾を引く可能性は低そうだ。むしろ2/4の急落の引き金となった、バンク・オブ・アメリカのルイス前CEOらが提訴された問題の再燃に注意したい。前CEOらは「200億ドルの救済を得るために虚偽の報告した」とされており、社会批判が高まるようであれば、金融機関にとって厳しい内容が新金融規制案に盛り込まれる可能性もあるため、安全資産としての円買い圧力が強まり下値を試す展開もありそうだ。

ポンド円は2/10に発表される英中銀四半期インフレ報告が注目される。1/29発表の英消費者物価指数が2.9%となり、BOEの設定するインフレターゲット(2%±1%)の上限に近い結果となった事に対して、どのような見解がの述べられるかが焦点となりそう。イングランド銀行は2/4の金融政策委員会(MPC)で資産買い入れプログラムを一旦休止する事を決定しており、年内の早期利上げ期待も市場に漂っている。安全志向から円が買われやすく下向きの流れが続いているが、インフレ報告によって利上げ期待が高まった場合、反転する可能性も秘めている。


[今週の予想レンジ]
ドル ・円  87.00-91.50
ユーロ・円 119.00-123.50
ポンド・円 137.00-145.00

【今週の主な経済指標】
2/8
08:50(日) 12月国際収支/貿易収支          
08:50(日) 12月国際収支/経常収支         
14:00(日) 1月景気ウォッチャー調査         
15:45(スイス) 1月失業率    
22:15(加) 1月住宅着工件数          

2/9
16:00(独) 12月貿易収支     
16:00(独) 1月消費者物価指数(確報値)
18:30(英) 12月貿易収支           
21:45(米) 週間チェーンストア売上高          
22:55(米) 週間レッドブック大規模小売店売上高         
00:00(米) 12月卸売在庫
00:00(米) 12月卸売売上高

2/10    
08:50(日) 1月企業物価指数
08:50(日) 12月機械受注    
09:30(豪) 12月住宅融資額    
16:45(仏) 12月鉱工業生産     
18:30(英) 英中銀四半期インフレ報告                   
18:30(英) 12月製造業生産
18:30(英) 12月鉱工業生産
21:00(米) 週間住宅ローン借換申請指数         
22:30(米) 12月貿易収支     
22:30(加) 12月貿易収支         
02:45(米) プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁講演    
04:00(米) 1月財政収支

2/11
     (日) 建国記念日                                    
09:30(豪) 1月雇用統計/就業者数(増減)         
09:30(豪) 1月雇用統計/失業率    
17:15(スイス) 1月消費者物価指数
18:00(ユーロ) ECB月報                   
22:30(米) 週間新規失業保険申請件数              
22:30(米) 1月小売売上高コア指数     
22:30(米) 1月小売売上高    
00:00(米) 12月企業在庫

2/12
16:00(独) 第4四半期GDP(速報値)
16:45(仏) 第4四半期GDP
19:00(ユーロ) 第4四半期GDP(速報値)    
23:55(米) 2月ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)    
          

≪2010年2月5日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 急落後の反発期待もあり参加者は「ブル」を選択。2/5に日足ベースで陽線引けとなってるとはいえ、長い上
 髭で取引を終えているため上値の重たさが感じられる。投資家のリスク志向が低下し、ポジション解消目的
 の円買いが強まった場合、2009/11/27安値84.810円から1/8高値93.779円までの上昇に対して61.8%と押し
 となる88.23円が目先の下値目標となりそうだ。

 ユーロ円は「ブル」
 割安感から参加者の約80%が「ブル」を選択。しかし、ギリシャ・スペイン・ポルトガルといったユーロ圏の
 財政基盤が脆弱な国に対する信用不安はすぐに払拭できる問題ではないため、ユーロ円にとっては上値の重い
 展開が続きそうだ。2/5にはポルトガル議会が地方財政に関する法案を承認し、政府の歳出増加に伴う財政赤
 字拡大の可能性も出てきている上に、テクニカル的なサポートが見あたらないため、下値を試す展開となった
 場合には下げ足を早めるかもしれない。
 
 ポンド円は「ブル」
 2009/3/30安値(135.691円)以来の安値水準まで下落した事で割安感もあり、参加者は「ブル」を選択。しか
 し1/19に149.467円の高値をつけた後は下降トレンドとなっており、下値を探る展開となっている。2009/3/30
 以降の下落局面では4・9・10・11月の4回に亘り138円後半から139円後半で下げ止まっており、今回も同様の
 ラインを意識する事になりそうだが、下値サポートのブレイクを試す場面も考えられるため注意が必要となり
 そうだ。
 

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