FXレポート

米雇用統計までは、神経質な展開か!?

昨日のドル円は序盤、時間外の米10年物国債利回りの上昇も買いを誘ったほか、前日のショートカバーによるドル買いが優勢の展開となった。また、藤井裕久財務相の辞任と、菅直人副総理の後任就任の報について市場では、政局や財政規律の不透明感が増したとの見方もあり、円安で反応した。NY時間では米ADP雇用統計で非農業部門就業者数が事前予想を下回ったことで、いったんはドル売り方向に傾いたが、ISM米非製造業景況指数でサービス業の改善傾向が確認されたこともあり、改めてドル買いが強まる展開。引けにかけてFOMC議事録が公表され、早期の「出口戦略」のヒントは見えず、米国の低金利長期化観測を改めて強める内容となったことで上げ幅を縮小し、92.301円で引けた。

ユーロ円は格付機関フィッチ・レーティングスがアイスランド格下げを実施したことを背景に序盤から軟調に推移。さらにシュタルクECB専務理事が「EUはギリシャを救済することはない」と発言したことをきっかけとしたギリシャ破綻懸念が再燃し一時131.253円まで下落したものの、ユーロ圏11月生産者物価指数は前年比-4.4%となり、市場予想の-4.5%より強い結果となったことや、NYダウや金先物価格の上昇を意識したリスク選好意欲の拡大に伴い反発し、132.988円で取引を終えた。


さて本日のドル円だが、FOMC議事録を受けて米国の低金利長期化観測を改めて確認する内容となった。米金融当局者が相次いで低金利の必要性について言及するなど、利上げへの慎重な見方が多くなれば、じりじりと米ドルが売られる展開も有り得そうだ。また、公式雇用統計への指針の一つとして注目された12月ADP雇用統計は-8.4万人と事前予想(-7.5万人)を下回った。ただ、事前予想に比べると悪いものの、数値自体は2008年3月以来の縮小幅であり、企業の規模別で見てもその減少幅は縮小している。今回の結果は決して良いものとは言えないが、米労働市場の回復は着実にその歩みを進めつつあり、ISM製造業景気指数における「雇用指数」が好悪分岐点である「50」を3ヶ月連続で超えている事は、先行きの見通しにとっても非常に明るいニュースと言える。現時点での非農業部門雇用者数変化に対する事前予想は「0.0万人」(前回 -1.1万人)と、増減はしないと見られている。ここまで23ヶ月連続でのマイナスを記録しており、仮に予想通りとなれば、2007年12月以来のマイナス脱却となるかが焦点となるだろう。

ユーロ円は、ギリシャの先行き不透明感が蒸し返されたことで、再び売られやすい状態となりそうだ。アイスランドの問題は欧州全体からみれば影響は大きくないものの、市場の関心が欧州の信用不安やソブリン・リスクに向かうきっかけとなる可能性が高く、引き続き注視すべきだろう。一方、FRBの早期利上げ期待は下火となっているものの、米国の景気回復期待は高まっている。今週金曜日の米雇用統計など米景気指標が予想を上回った場合は、出口戦略の先にある利上げの思惑が再び高まり、対ドルは軟化、対円もつられて下落といったシナリオも考えられ、慎重スタンスで臨みたい。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円  91.50-92.80
ユーロ・円 131.80-133.80
ポンド・円 146.30-148.90

【今日の主な経済指標】
09:30 AUD 貿易収支
09:30 AUD 小売売上高
17:15 CHF 消費者物価指数
19:00 EUR 消費者信頼感
19:00 EUR 小売売上高
20:00 DEM 製造業新規受注
21:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
22:30 USD 新規失業保険申請件数

≪2010年1月6日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ベア」
 ユーロ・ドル :「ブル」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ベア」

 ※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

 ドル円は「ブル」
 FRBが慎重な姿勢を崩していないことが明らかとなり、早期利上げ期待の後退から米ドルの上値を抑える要
 因となっている。8日(金)の米雇用統計までは、米ドルの神経質な動きが予想され、参加者も週末までは静
 観する構えだ。また、昨日新たに日本の財務相となった菅直人副首相だが、昨年末まで円高を見て見ぬふ
 りをしてきた藤井裕久前財務相とは対照的に、円安を好む姿勢を示してきている。現在の円相場は政府の
 早急な対応を必要とする水準ではないので、今回の任命に対する市場の当初の反応は限定的だったが、去
 年11月末のような急激な円高局面では「介入」もあるだろうか・・・

 ポンド円は「ブル」
  明日に英中銀金融政策委員会を控え、ポンド円はポジションを傾けにくい状況の中、僅かに「ブル」優勢
 だった。しかし、英財政赤字に対する不安感が市場に強まっており、英国債の格下げ懸念なども騒がれ始
 めている。また、総選挙を前にブラウン首相の総裁としての信認の是非を問うなど、与党労働党の足並み
 の崩れもネガティブ要因となる為、下値が脆弱となる可能性も否定できない。
 
 豪ドル円は「ブル」
 豪11月住宅建設許可件数が前月比+5.9%と予想の同-0.6%を大幅に上回ったことが好感されたことや、商
 品市況が堅調に推移するにつれリスク志向も高まりから参加者の「強気」は継続された。株価、商品市況
 の堅調な推移を背景としたリスク選好姿勢の拡大にオセアニア通貨を物色する流れが続いているが、今週
 金曜日までは米景気指標に一喜一憂する展開が続く可能性が高く、柔軟姿勢で臨むべきだろう。

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