FXレポート

史上最安値76.180円を意識した展開か!?

昨日のドル円だが、序盤は格付け大手会社のムーディーズやフィッチが米国の格付け「AAA」を確認したほか、「米債務上限引き上げに向けた取り組みによりデフォルトリスクが低下した」との見解を示した事が買いを促し77.40円付近まで小幅に上昇。欧州勢参加後は手掛かり材料に乏しく、77.30円前後で膠着状態となったが、米経済の先行き不透明感を背景にドル売り圧力が徐々に高まると77.10円付近まで弱含んだ。NY市場に移るとオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した7月の全米雇用リポートで、非農業部門雇用者数が前月比11万4000人増と市場予想を上回ったものの、政府発表の雇用統計と大きくかい離する内容だったこともあり、市場の反応は限定的。ただ、その後発表された7月米ISM非製造業指数が予想より弱い内容となったほか、米10年物国債利回りが2.56%付近まで低下すると一時76.783円まで下押しした。引けにかけて、NYダウが持ち直したことで小幅に買い戻しが入ったものの、76.999円で取引を終え、5営業日続落となった。

ユーロ円は、東京市場に発表された6月豪小売売上高や貿易収支がいずれも予想を下回り、豪ドル円の下落につられたほか、日経平均株価の大幅安を背景にリスクが回避される展開に109.40円まで弱含んだ。また、欧州市場序盤にはフランスとドイツの10年物国債の利回りスプレッドがユーロ導入来最高水準まで拡大したと伝わると、ユーロ圏のソブリンリスクが意識され、一時109.068円まで失速した。しかし、その後はスイス国立銀行(SNB)がスイスフラン高に対応するため金融緩和策を発表し、ユーロスイスフランが堅調に推移していることが支えとなった事や、6月ユーロ圏小売売上高が前月比、前年同月比でいずれも市場予想平均を上回ったことがユーロ買いを誘い110円半ばまで急反発となった。引けにかけても堅調な地合いは続き6営業日ぶりの反発となる110.251円で取引を終えた。

                               今日の展開

米国債務上限引き上げ交渉は合意し、米格下げ懸念もフィッチとムーディーズが「AAA」格付けに見合うとの見解を示し格付け懸念も剥落するなどイベントリスクを回避しつつあるが、ドルは依然として回復の兆しが見えてこない。背景としては米景気下振れ懸念が一段と高まっており、今週発表されたISMの製造業景気指数、非製造業景況指数や、個人消費支出が予想に反して減少するなど、足もとの米経済指標が相次いで悪化している状況下で積極的に買い進むことが困難なようだ。また、米国10年債利回りは一時2.5%台と年初来の低迷となっているほか、来週のFOMCに向けて追加緩和観測が再燃するのでは?といった憶測も日増しに高まっており、本日も史上最安値である76.180円を意識せざるをえないだろう。チャートを見ると76円前半で底堅く推移することができれば日足でダブルボトムを形成するが、短期的には日足一目均衡表の転換線や、ボリンジャーバンド-1σの差しかかる77.50円付近までの反発が精一杯か。

ユーロは前日、対スイスフランでの上昇を背景に6営業日ぶりに反発しているが、ユーロ自体の買い材料は乏しく、市場の関心が再び欧州ソブリンリスクに向かうなか、弱含みとなりそうだ。ギリシャ債務危機の波及からイタリアとスペインの10年物国債利回りが急上昇し、97年以来の高水準を更新。独連邦債との利回り格差もそれぞれユーロ導入後の最大となっていることは足枷となろう。また、本日開催されるECB理事会でも政策金利は1.50%に据え置きがコンセンサスとされているほか、インフレに対する文言も、利上げ予告となる「強い警戒」ではなく、様子見を意味する「注意深く監視」となる可能性が高く、慎重姿勢で臨むべきできか。


[今日の予想レンジ]
ドル ・円   76.20-77.80
ユーロ・円 108.00-111.00
ポンド・円 126.00-129.00

【今日の主な経済指標】
19:00 DEM 製造業新規受注
20:00 GBP イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表     
20:45 EUR 欧州中央銀行(ECB)政策金利     
21:30 USD 新規失業保険申請件数

≪2011年8月3日クローズ時点≫
 ドル・円   :「ブル」
 ユーロ・円  :「ブル」
 ユーロ・ドル :「ベア」
 英ポンド・円 :「ブル」
 豪ドル・円  :「ブル」
 NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。

ドル円は「ブル」
一時77円を割れるなど歴史的な安値圏であることもあり、リバウンド狙いの「ブル」は約95%と圧倒している。本日から2日間おこなわれる日銀金融政策決定会合では量的緩和政策や、政府・日銀による円売り介入への声明が注目されよう。ただし、昨日、野田佳彦財務相は「国として円高対策へ総力を挙げて対応していく」などと述べたほか、白川方明日銀総裁は「さまざまな環境の中で、為替を含めて必要と判断されれば適切な措置をとる」などの認識を示し口先介入したが、発言内容が新味に乏しく、市場の反応は限定的だった事を鑑みると大きく円安に振れるとは考えにくいだろう。

ポンド円「ブル」
陽線引けとなって割高感もあるが、スイス国立銀行(SNB)が「強いスイスフランに対して対策を講じる」との見解を示したことで対スイスフランで上昇期待に「ブル」は堅持されている。英景気に関しては先行の不透明感は残り、英中銀の量的緩和拡大観測も依然として根強いものの、欧州債務懸念の再燃や、米国の弱い経済情勢からユーロとドルは選考しづらい上、介入警戒感も強まっているスイスフランも仕掛けにくいため逃避的なポンド買いの可能性が高まるかもしれない。

豪ドル円「ブル」
豪6月貿易収支と豪6月小売売上高が発表され、両指標とも市場予想を下回る結果内容となり小売売上高に関しては、2ヶ月連続でマイナス値となるなど一時82円台に突入したことでバーゲン・ハント的な買いが入り「ブル」。安全資産の金とともに豪ドルに買われる展開が続いていたものの、悪化する豪経済指標や、利上げ期待が後退したことも重なり、短期的には調整が入る可能性もあるだろう。ただ、中、長期的には利上げ期待があり、上昇余地があるととれるため、下落局面では慎重に買い場を探してみたい。

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