19-20日にユーロ圏財務相会合!21-22日に米FOMC開催!
金曜日のドル円は、グリーンスパン前FRB議長が講演で「万が一、ギリシャがデフォルトとなった場合は米銀にもリスクが及ぶ」と発言したことで東京市場序盤はドル売りの展開。また、日経平均や上海総合などアジア株が下落したこともあり、リスク回避の円買いも散発的に入り80.50円まで下落した。欧州勢参加後も東京市場の流れが引き継がれてジリ安の展開となるとNY時間に発表された6月の米ミシガン大消費者態度指数(速報値)が71.8と市場予想平均の74.0程度を下回ったことを受け、日通しの安値となる80.10円付近まで下落した。また、引けにかけても安全な米国債へと資金をシフトする動きから米長期金利が低下するなど、日通し安値を更新する値動きが続き80.018円まで軟化して取引を終えている。
ユーロ円は序盤、週末要因から積極的な売買は手控えられたが、ユンケル・ユーログループ議長が「ギリシャ問題解決は非常に困難な道のり」と欧州債務問題に対し懸念を表するコメントを述べたことで113.728円まで下落した。しかし、欧州市場ではサルコジ仏大統領とメルケル独首相はがベルリンでギリシャ債務危機問題について協議し、「一刻も早い解決策が必要」との見解で一致。更に追加的な金融支援では欧州中央銀行(ECB)との対立を避け、完全に自発的な形で民間投資家の関与を求める考えを確認するとギリシャ債務危機への懸念が和らぎ、欧州株価が反発すると同時にユーロが買い戻され114.800円まで急反発となった。ただ、NY市場では、一時100ドル強上昇していたNYダウが上げ幅を縮小したほか、WTI原油先物相場が3ドル超下落するなど、投資家のリスク許容度が低下すると114.458円まで軟化して取引を終え、3日続落となっている。
今週の展開
今週は21-22日に米FOMCが開催されるが、6000億ドル規模の米国債券買い入れプログラムQE2の終了を確認する一方、QE3の有無やバーナンキFRB議長の記者会見などに注目が集まる。米経済指標では21日中古住宅販売件数、22日住宅価格指数、23日週間新規失業保険申請件数、新築住宅販売件数、24日耐久財受注、1-3月期実質国内総生産(GDP)確定値などが発表される。
ドル円はFOMCメンバーのQE3に対する否定的なスタンスが追い風となるほか、米国経済はソフトパッチ(景気の一時的後退)にあることが市場で周知されているため、経済指標では大きく下振れしない限りはドル売りにはつながらない可能性もあり底堅い展開となろうか。ただし、ギリシャ債務不履行問題が蒸し返された場合は、安全資産の米国債に資金が流入する可能性が高く、米国10年債利回りがもう一段低下することには注視しておきたい。
テクニカル面では、先週のレンジは1円にも満たないように膠着感が強く、上値は日足一目均衡表の雲下限、基準線、5月24日→6月8日の下降フィボナッチ50%戻し、25日移動平均線などのレジスタンスは強固で81円台定着は容易ではなさそうだ。また、下値も心理的な節目となる80.00円では本邦輸入企業や、個人投資家下値を支えているほか、先週ブレイクすることができなかったボリンジャーバンド-2σの差し掛かる79.70円付近では底堅く推移しそうだ。上昇基調が見えず、下値も底堅く79.70円-81.20円でボックス相場となった場合は、RSIを頼りに逆張りも有効となりそうだ。
ユーロは、先週末にギリシャ政府が内閣改造を実施したこと、独と仏がギリシャ追加支援策の早期解決を図ることで一致したこと、IMFが「EUはギリシャ救済に関し許可を与えなければならない」と述べたことなどギリシャ支援に関する解決の期待感から反発する可能性はある。ただ、今週20日にEUやユーロ圏の財務相会合が行われる予定が残っていることや、24日のEU首脳会議で合意するまでは楽観はできないだろう。また、上記日程でギリシャ支援合意がまとまらず、7月以降に話し合いが先送りになる可能性もあり、ギリシャ債務問題が潜在的なダウンサイドリスクを常にかかえていることは留意しておきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 79.00-81.50
ユーロ・円 112.00-117.00
ポンド・円 127.00-133.00
【今週の主な経済指標】
6月20日
8:01 GBR ライトムーブ住宅価格
8:50 JPN 通関ベース貿易収支
15:00 GER 生産者物価指数
17:00 EUR 経常収支
6月21日
18:00 EUR ZEW景況指数
18:00 GER ZEW景況感調査
21:30 CAN 小売売上高/小売売上高
21:30 CAN 景気先行指数
23:00 USA 中古住宅販売件数
6月22日
7:45 NZL 四半期経常収支
17:30 GBR 金融政策委員会(MPC)議事録-公表
6月23日
1:30 USA 米FOMC政策金利発表
16:28 GER 製造業PMI
16:28 GER サービス業PMI
16:58 EUR 製造業PMI
16:58 EUR サービス業PMI
21:30 USA 新規失業保険申請件数
23:00 USA 新築住宅販売件数
6月24日
17:00 GER IFO景況指数
18:00 EUR 鉱工業新規受注
21:30 USA 四半期GDP
21:30 USA 四半期GDP価格指数
21:30 USA 四半期コアPCE
21:30 USA 四半期個人消費
21:30 USA 耐久財受注 / 耐久財受注(除輸送用機器)
≪2011年6月17日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
一時80.00円付近まで下落したことでバーゲン・ハント的な買いが入り、約95%の
参加者が「ブル」と圧倒している。市場の関心は、ギリシャをはじめとする欧州
の信用問題に集まるなか、安全通貨のドルと円がリスク許容度の変化で同一方向
に動くため、方向感がつかみづらく80-81円を中心とした狭い値動きに終始する可
能性もあるだろう。
ポンド円「ブル」
130円を割れて押し目買いが入ったほか、ギリシャ債務危機への懸念が緩和したこ
とでユーロのリバウンドに連れ高となるタイミングでは買いが優勢となり「ブル」
となった。今週は22日に6月分の英金融政策委員会議事録が公表される。利上げに
関してはタカ派の急先鋒だったセンタンス委員が退任したため、今回から委員に
加わったブロードベント氏がどのような投票行動を見せたか注目が集まる。ただ
し、英早期利上げに関しては先週発表された5月雇用指標で失業者数が悪化を示し
ているように英国経済の改善が見られない限り過度の期待は禁物となろう。また、
ギリシャのデフォルトリスクが高まるなか、欧州株価下落もポンドの足枷となり
そうだ。
豪ドル円「ブル」
独仏首脳会談が開かれ、ウィーン方式でのギリシャ債ロールオーバーを支持し、
統一の見解が出されたことでギリシャ懸念が和らいだことを好感して「ブル」は
継続されている。先週は中国の消費者物価指数(CPI)はほぼ予想通りの結果だ
ったことで、目先の豪ドル売り圧力は緩和しているように思える。しかし、中国
の経済成長の伸びが緩やかとなってきているほか、世界経済の回復のスピードも
減速傾向を示しつつあることから、経済成長の鈍化による資源需要の減少といっ
た流れが、豪ドルの上値を抑える可能性もあり、方向感はでにくいだろう。また、
豪州の経済状況が強弱まちまちなうえ、今週は目立った指標もないことから、ギ
リシャ債務問題など外部要因に左右される展開となろうか。
ユーロ円は序盤、週末要因から積極的な売買は手控えられたが、ユンケル・ユーログループ議長が「ギリシャ問題解決は非常に困難な道のり」と欧州債務問題に対し懸念を表するコメントを述べたことで113.728円まで下落した。しかし、欧州市場ではサルコジ仏大統領とメルケル独首相はがベルリンでギリシャ債務危機問題について協議し、「一刻も早い解決策が必要」との見解で一致。更に追加的な金融支援では欧州中央銀行(ECB)との対立を避け、完全に自発的な形で民間投資家の関与を求める考えを確認するとギリシャ債務危機への懸念が和らぎ、欧州株価が反発すると同時にユーロが買い戻され114.800円まで急反発となった。ただ、NY市場では、一時100ドル強上昇していたNYダウが上げ幅を縮小したほか、WTI原油先物相場が3ドル超下落するなど、投資家のリスク許容度が低下すると114.458円まで軟化して取引を終え、3日続落となっている。
今週の展開
今週は21-22日に米FOMCが開催されるが、6000億ドル規模の米国債券買い入れプログラムQE2の終了を確認する一方、QE3の有無やバーナンキFRB議長の記者会見などに注目が集まる。米経済指標では21日中古住宅販売件数、22日住宅価格指数、23日週間新規失業保険申請件数、新築住宅販売件数、24日耐久財受注、1-3月期実質国内総生産(GDP)確定値などが発表される。
ドル円はFOMCメンバーのQE3に対する否定的なスタンスが追い風となるほか、米国経済はソフトパッチ(景気の一時的後退)にあることが市場で周知されているため、経済指標では大きく下振れしない限りはドル売りにはつながらない可能性もあり底堅い展開となろうか。ただし、ギリシャ債務不履行問題が蒸し返された場合は、安全資産の米国債に資金が流入する可能性が高く、米国10年債利回りがもう一段低下することには注視しておきたい。
テクニカル面では、先週のレンジは1円にも満たないように膠着感が強く、上値は日足一目均衡表の雲下限、基準線、5月24日→6月8日の下降フィボナッチ50%戻し、25日移動平均線などのレジスタンスは強固で81円台定着は容易ではなさそうだ。また、下値も心理的な節目となる80.00円では本邦輸入企業や、個人投資家下値を支えているほか、先週ブレイクすることができなかったボリンジャーバンド-2σの差し掛かる79.70円付近では底堅く推移しそうだ。上昇基調が見えず、下値も底堅く79.70円-81.20円でボックス相場となった場合は、RSIを頼りに逆張りも有効となりそうだ。
ユーロは、先週末にギリシャ政府が内閣改造を実施したこと、独と仏がギリシャ追加支援策の早期解決を図ることで一致したこと、IMFが「EUはギリシャ救済に関し許可を与えなければならない」と述べたことなどギリシャ支援に関する解決の期待感から反発する可能性はある。ただ、今週20日にEUやユーロ圏の財務相会合が行われる予定が残っていることや、24日のEU首脳会議で合意するまでは楽観はできないだろう。また、上記日程でギリシャ支援合意がまとまらず、7月以降に話し合いが先送りになる可能性もあり、ギリシャ債務問題が潜在的なダウンサイドリスクを常にかかえていることは留意しておきたい。
[今週の予想レンジ]
ドル ・円 79.00-81.50
ユーロ・円 112.00-117.00
ポンド・円 127.00-133.00
【今週の主な経済指標】
6月20日
8:01 GBR ライトムーブ住宅価格
8:50 JPN 通関ベース貿易収支
15:00 GER 生産者物価指数
17:00 EUR 経常収支
6月21日
18:00 EUR ZEW景況指数
18:00 GER ZEW景況感調査
21:30 CAN 小売売上高/小売売上高
21:30 CAN 景気先行指数
23:00 USA 中古住宅販売件数
6月22日
7:45 NZL 四半期経常収支
17:30 GBR 金融政策委員会(MPC)議事録-公表
6月23日
1:30 USA 米FOMC政策金利発表
16:28 GER 製造業PMI
16:28 GER サービス業PMI
16:58 EUR 製造業PMI
16:58 EUR サービス業PMI
21:30 USA 新規失業保険申請件数
23:00 USA 新築住宅販売件数
6月24日
17:00 GER IFO景況指数
18:00 EUR 鉱工業新規受注
21:30 USA 四半期GDP
21:30 USA 四半期GDP価格指数
21:30 USA 四半期コアPCE
21:30 USA 四半期個人消費
21:30 USA 耐久財受注 / 耐久財受注(除輸送用機器)
≪2011年6月17日クローズ時点≫
ドル・円 :「ブル」
ユーロ・円 :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円 :「ブル」
NZドル・円 :「ブル」
※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。
ドル円は「ブル」
一時80.00円付近まで下落したことでバーゲン・ハント的な買いが入り、約95%の
参加者が「ブル」と圧倒している。市場の関心は、ギリシャをはじめとする欧州
の信用問題に集まるなか、安全通貨のドルと円がリスク許容度の変化で同一方向
に動くため、方向感がつかみづらく80-81円を中心とした狭い値動きに終始する可
能性もあるだろう。
ポンド円「ブル」
130円を割れて押し目買いが入ったほか、ギリシャ債務危機への懸念が緩和したこ
とでユーロのリバウンドに連れ高となるタイミングでは買いが優勢となり「ブル」
となった。今週は22日に6月分の英金融政策委員会議事録が公表される。利上げに
関してはタカ派の急先鋒だったセンタンス委員が退任したため、今回から委員に
加わったブロードベント氏がどのような投票行動を見せたか注目が集まる。ただ
し、英早期利上げに関しては先週発表された5月雇用指標で失業者数が悪化を示し
ているように英国経済の改善が見られない限り過度の期待は禁物となろう。また、
ギリシャのデフォルトリスクが高まるなか、欧州株価下落もポンドの足枷となり
そうだ。
豪ドル円「ブル」
独仏首脳会談が開かれ、ウィーン方式でのギリシャ債ロールオーバーを支持し、
統一の見解が出されたことでギリシャ懸念が和らいだことを好感して「ブル」は
継続されている。先週は中国の消費者物価指数(CPI)はほぼ予想通りの結果だ
ったことで、目先の豪ドル売り圧力は緩和しているように思える。しかし、中国
の経済成長の伸びが緩やかとなってきているほか、世界経済の回復のスピードも
減速傾向を示しつつあることから、経済成長の鈍化による資源需要の減少といっ
た流れが、豪ドルの上値を抑える可能性もあり、方向感はでにくいだろう。また、
豪州の経済状況が強弱まちまちなうえ、今週は目立った指標もないことから、ギ
リシャ債務問題など外部要因に左右される展開となろうか。